これまでの地震による建物被害の調査研究から,わが国における建築構造物の地震被害は確実に減少しており,現在の耐震構造設計法が一定の成果をあげていることは事実である。しかしながら,社会の一般認識として,決して満足のいく現状とは言えないのもまた事実であろう。このような実情を踏まえ,建物構造物の耐震安全設計法について論ずる。
建築構造物を3次元におけるエネルギー吸収体としてとらえ,どうすれば社会的に容認される設計が可能になるかを考えていきたい。構造物に加わる地震荷重の大きさ,個々の部材を集積した建物のモデル化, 地盤の支持耐力など,不詳にも関わらず建物が設計・施工されていくなかで有効な手法を以下の点について検討する。
1.建物に要求される安全性能
2.外力としての地震荷重
3.部材耐力と変形能力
4.骨組の種類とエネルギー吸収能力