生命体は,恒常性を保ち自己を保存するため,非常に複雑な機構で制御作用を営んでいる。運動機能,代謝機能,分泌・生殖機能,知覚・記憶・学習機能等いずれをとっても,生命維持のためには必要不可欠である。これらの制御の本体は言わずと知れた脳神経系である。しかしながら,神経がどの様な機構で情報を伝達し,どの様に制御するかについては,現在わからないことが多い。さらに,明らかにされた神経がもたらす現象を,人工的に人体に応用するための工学的思考も今後必要であろう。例えば,あと50年すると神経に直結した人工の目が出来,指の先に目を付けることができるであろうと予測されている。こうしたトピックスを交えて,従来行われてきた研究事例を中心に論じる。