建築は本来,大地にしっかりと根付いているもので,それ故建築はそれぞれの土地や地域の有り様と深い関わりをもっている。すなわち,地形や地盤といった地勢,風/雨や雪/気温や湿度/太陽光の具合などの気候,植物や動物の生態など諸々の自然の条件の影響を受けている。人はそれ等自然の条件を活用したり,排除したりして生活の場を創ってきた。建築は自然の中で空間を仕切ることにより安定した内部空間を形成すると同時に建築を群としてまとめることにより共同体を形づくる人間社会の生活空間として住居や共用施設, 集落や都市を形成するものである。ここでは建築のそういう性格を重視し,各地の建築やまちの有り様に注目し,それぞれの土地や地域に固有である部分が,どのような根拠で計画され,設計されているかを探り,特定の場所や地域にふさわしい建築を生みだすための新しい計画や設計の方法を発見しようとするものである。