(1)電力機器は電力システム内において様々の異常電圧に耐えなければならない。具体的には、雷・開閉サージの影響が問題になる。特にGIS(Gas Insulated Switchgear, 縮小形ガス絶縁開閉装置)では、断路器の開閉動作時に高周波(数MHz)のサージ、いわゆるVFTO(Very Fast Transient Overvoltage)が発生することが知られており、GIS直結の変圧器に減衰なしに侵入し、巻線の内部で高周波の共振を起こすことにより絶縁を脅かすことが懸念されている。
これらの変電機器に関する問題を実験的、解析的に研究する。
(2) 今日の高度技術・情報社会を支える電気工学の発展は、近年の電気・電子・光材料の急速な進歩に負うところが大きい。主として誘電・絶縁材料の電気電子物性の研究を重点におくが、電力機器に限定することなく、エネルギー分野、情報通信分野などにおいて用いられる広範な材料の研究を行い、電力機器工学への新たな応用を検討してゆく。
(3)この他に高周波部分放電パルスの検出による絶縁診断技術および変圧器内の油流による流動帯電現象の研究も行なっている。
・雨谷昭弘、長岡直人、馬場吉弘、菅雅弘:「電気/電子回路解析プログラムEMTP入門」、電気学会、2001
・Allan Greenwood: “Electric transients in power systems” (2nd ed.), John Wiley & Sons, Inc., New York, 1991