従来、耐久性能に優れるコンクリート構造物は、メンテナンスフリーで「半永久的」に使用できるものと信じられてきた。しかし、多くの研究結果や既存構造物の調査結果から、コンクリート構造物であっても経年劣化は避けられず、それ相応のメンテナンスを施さないと長期の使用に耐えられないことが明らかになってきた。そのため、コンクリート構造物の健全性をモニタリングできる監視技術や構造性能を把握できる検査技術のインテリジェント化が求められている。こうした状況の中、ヘルスモニタリングという新しい概念が提案され始めている。ヘルスモニタリングとは、時間軸上で対象物(構造物)の健全性を監視することである(Structural Health Monitoring,以下,SHMとする)。従来から、構造物の健全性を確認する目的で定期点検・調査・診断が行われているが、SHMではこれら一連の作業を自動化し、効率化・省力化を図り、最終的には現状の健全度評価に加え、将来的な健全度の予測までがSHMの目的となる。コンクリート構造物のヘルスモニタリングに必要とされる技術として、1)構造物の挙動を測定する光ファイバー等のセンシング技術、2)構造物から管理箇所へのデータ送信技術、3)計測データに基づく健全度診断技術(例えば,有限要素逆解析やニューラルネットワーク手法等)に分けることができる。本研究では、これらの要素技術を調査研究するとともに、実験的な検証を行う。
・要素技術の調査
・要素技術の考案
・要素技術の実験的検証
・学会への論文投稿