近年,社会のさまざまな変化に伴い労働の形態も変化し,そこで働く人々の心身の健康に重大な影響を及ぼす要因が増え,心身健康の維持管理(ストレスマネージメント)がますます重要になってきている.
本講では,まず心身の健康感を主観的に評価する方法である「蓄積的疲労徴候インデックス(CFSI)」について,その内容と使用法について述べる.CFSIは質問紙による個人の主観的な応答を求め,これを職場単位で分析し,定量的に評価し,判定する方法であり,職場環境の問題点,改善すべき点を抽出することが可能なシステムである.次に,心身健康状態の職場グループ単位の評価・判定のアルゴリズムを検討し,ニューラルネットワークを応用した自動判定システム(エキスパートシステム)の構築について論ずる.
さらに,これら主観的評価と脳波や心電図などの生体電気情報との関連について考える.