数理工学は、主に「数理」という道具を使って、現実にある諸現象、特に工学に関する課題を攻略する分野のことです。扱うべき事項は、電気、機械などの電気工学、機械工学のように特定の対象にはならず、不特定で多岐にわたります。すべてを列挙するのは困難ですが、具体的には、数理解析、離散数学、統計、最適化、制御、情報、アルゴリズム、ソフトウェア工学、ファイナンス、統計解析、カオス等々の事に関連します。このことが、数理工学の大きな特徴の一つといえるでしょう。
数理工学では、現実に解決が望まれる具体的な問題から、問題の本質の抽出(=数理モデル化)を行うことが出発点となり、その解決のために「数理」を用いることになります。勿論、既存の数理が必ずしも役立つとは限らないので、新しい方法や、手法を開発しなければならない訳です。すなわち、工学から数学への新しい研究の方向性を示す分野なのです。