複素関数論(複素解析, 解析関数)の入門を行います.微分積分1,2では実数を変数とする関数の微積分を扱いました.複素関数論では変数を複素数の範囲にまで広げた複素関数を考察します.(2次)方程式の虚数解として複素数に出会っていると思いますが,複素数は数学上の(虚しい)想像の産物ではなく自然現象, 例えば波などを記述するのに不可欠な言語です.また指数関数, 三角関数, 対数関数などの馴染みの関数も複素関数として扱うことで実数の世界では見えなかった本性を顕します.複素関数の微分可能性(正則性)はコーシーリーマン方程式で特徴づけられ, コーシーの積分定理,べき級数展開可能性など強力な結果を導きます.
複素関数論は広汎な応用を持つ豊かな理論であり,その展開の仕方や力点はいくつかの代表的な教科書を眺めても実に様々です.この講義では初歩的な内容に絞っていますが,受講生は手を動かしながら複素関数の幾何的な側面を実感し理解を深めるよう努めて下さい.
履修上の注意:微分積分1, 2の後に続く科目です.微積分で習ったはずの事項で理解が不確かなものが出てきた場合には速やかに教科書やノートを開いて勉強しなおすことが不可欠です.尚履修希望者が多数の場合は人数制限が行われる場合があります.