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フラクタル幾何学入門

Introduction to Fractal Geometry

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講師山川陸夫

授業の概要

(授業概要) 雲や山,海岸線,樹木等自然界に存在するものの多くは非常に不規則な形をしており,それらの形状そのものは科学,幾何学の対象から除外されて来た.この分野に初めて足を踏み入れたのがマンデルブローである.彼は1975年にフラクタル理論を提唱し,この未開の分野に言わば科学のメスを入れた.それから僅か30年であるが,コンピュータの進歩と相まって急速に発展し,また広まり,今や自然科学の分野に留まらず社会科学はたまた芸術の世界にまでその影響を及ぼしている.ここでは,そのフラクタルの入門を試みる.フラクタル図形を実際に描いてもらうが,出来るだけ独自の図を作成して欲しい.数学的には概略を述べるに留め,したがって数学の諸知識は前提にしないこととするが,高校程度の線形代数や複素数に関しての簡単な知識は欲しい.またコンピュータルーム使用等もあり,止む終えず履修制限をすることがある.定員は70名程度である.

達成目標

1.曲線の長さの数学的求め方を基礎に「海岸線の長さは無限大」の意味を理解する
2.従来の図形とフラクタル集合の図形との違いを理解する.また自己相似集合の概念を実際の図形を通して理解する
3.種種の次元の考え方があることを知り,極く簡単なフラクタル集合のフラクタル次元,相似次元を求めることが出来る
4.複素力学系における周期点(周期は2まで)とその性質の概念を理解する
5.与えられたそのものではなく独自のフラクタル図形を描く

授業計画

1.フラクタルとは
  ・今までの科学とフラクタルとの違い
2.海岸線の長さは? 
  ・海岸線の長さは無限大 ・フラクタル次元
3.至る所微分不可能な関数
  ・高木「関数                    演習1
4.自己相似性
  ・縮小写像 ・自己相似
5.自己相似集合の構成と例
  ・カントールの塵集合 ・コッホ曲線 ・杉の葉    演習2
6.相似次元
7.コンピュータ演習(1)
  ・マセマティカの練習
8.コンピュータ演習(2)
  ・マセマティカで応用問題を解く
                (コンピュータ)演習3(範囲は簡単な数学問題)
9.マセマティカを使ってコンピュータでフラクタル図形を描く(1)
  ・高木関数 ・コッホ曲線 ・杉の葉
                 (コンピュータ)演習4(範囲は上記高木関数)
10.マセマティカを使ってコンピュータでフラクタル図形を描く(2)
  ・Tree 他          (コンピュータ)演習5(範囲は左記Tree)
11.複素力学系概略(1)
  ・複素数と複素平面の復習 ・複素関数と微分 ・複素力学系とは
12.複素力学系概略(2)
  ・固定点と周期点およびそれ等の性質
13.複素力学系概略(3)
  ・ジュリア集合、マンデルブロー集合概略
14.コンピュータでジュリア集合等を描く
       (コンピュータ)演習6(範囲はジュリア集合、マンデルブロー集合)
15.期末試験(範囲は上記1-6,11-13)

評価方法と基準

達成目標1,2は演習1,2により,達成目標5は演習3−6により,また達成目標3,4は期末試験でそれぞれ評価期するが,期末試験では他に大切な事項につき評価し直す役割も果たすことにする.科目の合否は,演習と期末試験の総合(演習60%,期末試験40%の予定)で判断し,総合得点率60%以上を合格とする.

教科書・参考書

参考書:残念ながら適当な書物が見当たりません.その都度授業中にお知らせします.

履修前の準備

高等学校での「線形代数」,「微積分」,「複素数」を復習しておいてください

学習・教育目標との対応(機械工学科)

1.(F)機械に関わる諸現象を物理の原理から数学的に導くことができ,機械の設計や性能評価に必要な技術計算ならびに統計処理を正確に適用することができる.

学習・教育目標との対応(機械工学第二学科)

1.(E)機械工学における基盤分野の理解に必要な基礎的な数学の知識と応用能力,実験・分析の遂行に必要な確率・統計,情報処理の基礎的な知識や自然現象を数学的にモデル化し,シミュレーションする基礎的な知識と応用能力を習得する (1) 基礎的な数学の知識 (2) 実験データの分析能力 (3) 情報リテラシの習得 (4) 自然現象をモデル化し,シミュレーションする能力

学習・教育目標との対応(応用化学科)

1.(A)応用化学をささえる工学一般・自然科学・情報技術に関する知識と,その応用能力.

学習・教育目標との対応(電気工学科)

1.C1:自然科学全般の基礎的な考え方を理解し、技術の基盤となる自然科学の原理を説明できる。

オフィスアワー

授業終了後の20分間程度,講師室において.

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Sat Nov 26 11:12:07 JST 2011