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宇宙空間科学

Space Science

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水谷興平この授業の2010年度のアンケートを参照

授業の概要

自然を観察して、あるいは実験室で実験して、われわれはいくつかの自然法則を学んできました。いちばん大きく包んでいるわれわれの自然環境は宇宙です。すでにわれわれの知っている自然法則も、まだ分かっていない自然法則も、この宇宙に起因しているはずです。また、宇宙もこれらの自然法則にしたがっています。もしわれわれが自然法則について十分な知識があれば、さまざまな手段によって観測されている宇宙の諸現象はこれらの法則によって理解できるはずです。ここでは、われわれの知っている自然法則を用いて、これまでに観測されている宇宙の諸現象を理解することを試みます。宇宙には実験室では実現できない極端な環境条件をもつところもあります。したがって宇宙はわれわれの学んできた自然法則を試す場でもあるのです。

達成目標

1.もっとも大きく包んでいるわれわれの環境である宇宙での諸現象の記述方法について理解します。

授業計画

1.1.膨張する宇宙
Olbersのパラドックス「夜はなぜ暗い?」、無限に広い宇宙、一様な星の分布、ガスによる光の吸収と放出、Doppler効果、Earnshawの定理
2.「恒星系」Hubbleによる宇宙膨張の発見、天体の速さの測定、原子のスペクトル線の波長の観測、赤方偏移、
 地球の公転の速さ、天の川銀河、ローカルな運動
3.天体の距離の測定、見かけの明るさ、標準光源、セファイド変光星、Hubble定数、Hubble宇宙望遠鏡衛星
4.Hubble時間、宇宙の年令
5.一様かつ等方な宇宙、エネルギー保存則、宇宙の密度、加速膨張、減速膨張、ダークマター、銀河の大きさ
 スーパーカミオカンデ、ニュートリノの質量
 過去の膨張の速さ、ハワイのKECK望遠鏡、「すばる」望遠鏡
6.2.過去の観測
過去からの情報、クェイサーより遠いふつうの銀河、観測のバイアス電磁波で見る観測の限界
7.マイクロ波の宇宙背景放射、熱放射の光と水素原子によるその吸収、温度のゆらぎ、現在の宇宙の温度、COBE衛星
8.光と物質、状態方程式、指数関数的な宇宙の膨張、インフレーション宇宙物質と反物質の性質の違い
9.高エネルギー加速器、素粒子実験による宇宙の進化のなぞの解明、ニュートリノによる観測、重力波
10.3.激しく活動する天体
重力による収縮、収縮による密度のゆらぎ増幅、光と物質の熱平衡の状態、星の生成、自分自身の重力でつり合っている天体、エネルギー放出と収縮による温度の上昇、ビリアル定理、重力エネルギーから熱エネルギーへの変化
11.水素の熱核融合反応、原子核エネルギーの放出、ヘリウムの生成、ニュートリノの発生、ヘリウムの核と
 それを包む水素の外層、外層の膨張、ヘリウムの熱核融合反応、炭素や酸素の生成、鉄の生成、鉄でできた星の中心核の収縮、リバウンドとその衝撃波
12.超新星爆発、1例だけの計算例、中性子星
13.超新星の残骸、「かに」星雲、パルサー、高エネルギー宇宙線、衝撃波による粒子加速、ガンマ線の生成、
 遠方の銀河の活動的な中心核、高エネルギーのニュートリノ、巨大なブラックホール、円盤状とジェット状の構造、
 ジェットの中の衝撃波、マイクロクェイサー、ブラックホールの周辺での自然法則、「あすか」衛星、超高エネルギーの電子の存在
14.ガンマ線バースト、中性子星同志の合体、超高エネルギーの宇宙線の生成
 太陽表面での高エネルギー現象
15.太陽フレア、陽子の加速、中性子の生成

評価方法と基準

学期末に提出を求めるレポート(100点満点)によって評価します。提出されたレポートの内容が指示に正しく従っておれば合格(60点以上)とします。

教科書・参考書

教科書はとくに指定しません。

履修前の準備

高等学校で履修する微分と積分の知識を必要とします。

学習・教育目標との対応(機械工学科)

1.(E)機械の運動機構や動特性,構造や強度,物質・運動量・エネルギーの流れなど,機械工学の基盤技術に関わる物理現象を,自然科学の法則に基づいて理解することができる.

学習・教育目標との対応(機械工学第二学科)

1.(E)機械工学における基盤分野の理解に必要な基礎的な数学の知識と応用能力,実験・分析の遂行に必要な確率・統計,情報処理の基礎的な知識や自然現象を数学的にモデル化し,シミュレーションする基礎的な知識と応用能力を習得する (1) 基礎的な数学の知識 (2) 実験データの分析能力 (3) 情報リテラシの習得 (4) 自然現象をモデル化し,シミュレーションする能力

学習・教育目標との対応(応用化学科)

1.(A)応用化学をささえる工学一般・自然科学・情報技術に関する知識と,その応用能力.

学習・教育目標との対応(電気工学科)

1.A1:種々の文化および社会の発展の歴史を理解して、説明することができる。

オフィスアワー

授業開始前15分、講師室にて。

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Sep 20 07:42:20 JST 2012