A0020600

力学の基礎2

Fundamentals of Engineering Mechanics 2

開講部

工学部

開講学科

機械工学科

開講学年

1年次

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

選択

系列区分

専門

講義区分

講義
教授角田和巳

授業の概要

【授業の概要と目的】 「力学の基礎1」に引き続き、古典力学の基礎を学習する。機械や構造物の運動を解析し、それらを設計どおりに制御するためには、具体的な形状と大きさを持つ物体についての知識(物質の微視的構造に関する知識と力学的思考法)が必要である。そこで本授業では、後者に関する知識ーすなわち“剛体”の力学ーを習得し、これを使いこなせるようになることを主目的とする。ただし実践的な力学という観点から、運動方程式を根本原理に据えて運動量・エネルギー・角運動量の各保存則を導出するという立場をとる。特に角運動量とモーメントの学習には、十分な時間を割きたいと考えている。
【本科目の位置づけ】 本科目では、剛体に関する動力学がメインテーマとなるが、ここで取り上げる原理原則は、今後扱うことになる材料・流体・熱などの連続体力学に拡張される重要な力学概念である。すなわち、力学を機械工学の基盤原理に据える機械工学科のカリキュラムにおいて、本科目はその入門に該当する基礎科目に位置づけられると同時に、分野横断的に展開される力学現象を原理的な視点から把握する役割も担っている。
【履修上のアドバイス】 本授業だけで十分な演習時間を確保することが難しいため、同時期に開講されている「解析演習」において、本科目に関連した問題を取り上げる予定でいる。両科目を平行して学ぶことで、自分なりの力学概念が形成されることを期待している。

達成目標

1.材料・流体・熱など連続体力学に拡張される力学の考え方の基本として,質点系から剛体へ力学概念を展開することができる.(目標E)
2.速度,加速度を極座標で表示することができ,それらを用いて運動方程式を記述することができる.さらに運動方程式を微分方程式として理解し,初期条件を満たす解を求めることができる.(目標E・F)
3.また,上記に関連して,直交座標から極座標へ座標変換を行うことができ,速度・加速度の極座標成分を計算できる.(目標F)
4.角運動量の保存則を理解し,これを実際の問題に適用して物体の運動を決定することができる.(目標E)
また,角運動量とモーメントを計算するにあたって,ベクトル積の性質を理解し.その成分を計算することができる.(目標F)
5.慣性モーメントの物理的な意味を理解し(目標E),簡単な形状の物体について重積分を正確に実行して慣性モーメントを計算することができる.(目標F)
6.慣性モーメントを用いて剛体の角運動量方程式を記述することができ,平面運動する剛体のつり合い問題や動力学の問題にこれを適用し,重心運動の方程式と組んで剛体の運動を決定することができる.(目標E)特に,角運動量の方程式を微分方程式として理解し,初期条件を満たす解を求めることができる.(目標F)

授業計画

1.「1粒子の運動に関する力学 ー質点力学の復習ー」
 ・速度・加速度の極座標表示
 ・運動量保存の原理と運動方程式
 ・運動方程式の極座標表示
2.「1粒子の運動に関する力学(演習1)」
 ・速度・加速度の極座標表示に関する演習
 ・極座標による運動方程式の記述と解法に関する演習
3.「1粒子の運動に関する力学(演習2)」
 ・速度・加速度の極座標表示に関する演習
 ・極座標による運動方程式の記述と解法に関する演習
4.「学力到達度試験(1)」
 [試験範囲]極座標による質点の平面運動(達成目標2・3に対応)
5.「角運動量」
 ・ベクトル積の基礎
 ・角運動量ベクトルの定義とその表現方法
6.「角運動量保存則」
 ・角運動量と力のモーメント
 ・中心力と角運動量保存
7.「角運動量保存則(演習1)」
 ・角運動量に関する演習
 ・平面運動を対象とした角運動量保存に関する演習
8.「角運動量保存則(演習2)」
 ・中心力として重力を受ける物体の運動に関する演習
 ・角運動量・エネルギー保存による制約を受ける運動についての演習
9.「学力到達度試験(2)」
 [試験範囲]角運動量保存とその応用(達成目標4に対応)
10.「剛体の力学の基礎」
 ・剛体の概念
 ・剛体の重心運動と回転運動の分離
 ・剛体の方程式の導出
11.「剛体の力学の基礎(演習)」
 ・剛体の釣り合いに関する演習
12.「剛体の平面運動」
 ・固定回転軸を持つ剛体の平面運動
 ・種々の物体の慣性モーメント
13.「剛体の平面運動(演習1)」
 ・物体の慣性モーメントに関する演習
 ・固定回転軸を持つ剛体および質点系に関する演習
14.「剛体の平面運動(演習2)」
 ・固定回転軸を持つ剛体および質点系に関する演習
 ・剛体振り子に関する演習
15.「学力到達度試験(3)」
 [試験範囲]剛体の運動を中心として全範囲(主として達成目標1・5・6に対応)

評価方法と基準

【成績評価の条件】 初回の授業時に、目標達成度のチェックシートを配付する。講義内容に関する理解度・達成度を毎週記入し、教員の指定する日時にチェックシートの確認を受けること。チェックシートが確認済みの履修者に対してのみ成績評価を行う。
【評価方法】「極座標を用いた運動学と動力学」、「角運動量保存とその応用」、「慣性モーメント」、「剛体の静力学・動力学」に関する問題を3回の学力到達度試験で出題し評価する。
第1回30%、第2回30%、第3回40%の配分で評価し、総合点60%以上を合格とする。

教科書・参考書

講義で使用する資料は機械工学科のWebサイト(http://www.mech.shibaura-it.ac.jp/)に掲載されている。教室では資料を配付しないので、受講前に各自でダウンロードし、必ず予習をしておくこと。
講義内容は毎回ビデオで収録し、講義終了後に動画コンテンツとして配信している。授業中に聞き漏らした点や十分理解できなかった点などをフォローアップするために、映像教材を積極的に利用してもらいたい。また、本科目の目標を達成するためには演習が欠かせないので、自習する際の演習書として「メリアム例解演習工業力学/動力学編I、同じく動力学編II(サイエンス社)」を推薦しておく。(解析演習で推奨する演習書と同じ)

履修前の準備

「力学の基礎1」を必ず履修しておくこと。

学習・教育目標との対応

1.(E)機械の運動機構や動特性,構造や強度,物質・運動量・エネルギーの流れなど,機械工学の基盤技術に関わる物理現象を,自然科学の法則に基づいて理解することができる.
2.(F)機械に関わる諸現象を物理の原理から数学的に導くことができ,機械の設計や性能評価に必要な技術計算ならびに統計処理を正確に適用することができる.

オフィスアワー

大宮キャンパス:月曜昼休み,豊洲キャンパス:水曜・木曜午後,担当者と直接連絡をとることが難しいときは、メールでも質問を受け付けます。

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Mar 28 07:44:19 JST 2013