A0030500

材料力学1

Mechanics of Materials 1

開講部

工学部

開講学科

機械工学科

開講学年

1年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

必修

系列区分

専門

講義区分

講義
准教授小谷邦夫

授業の概要

[授業の概要と目的]
 一見剛体と思われるような金属製品も,わずかではあるが力が加われば変形し,加えた荷重と変形の関係は最初は比例関係にある.材料力学はこのような範囲での,機械や構造物の各部分に働く力とか,変形とか,を求めることを対象とする.このような変形を入れた考え方は高等学校までの力学では取り扱っていないので,最初は戸惑うことが多いと思う.
 なお,授業は毎回進むものであるから,1回でも欠席をするとその後の授業内容を理解することは不可能と思われる.何らかの理由で欠席をした場合は,次の週にならない内にその授業の内容を掌握して,次の授業に備えなければならない.
 また、次週のプリントを配布し事前に自習することを前提とするので、授業時には、細かな内容は講義せず演習を主として行う。

 材料力学の考え方の基本は大きく分けて次の3つのカテゴリー(範疇)に区分される。これらは、他のものとは独立に存在するから、それぞれを明確に分離して考える習慣を付けることが、望ましい。

1.力の釣合い
  モーメントの釣合いを含む、力の釣合い。
  変形する物体でも、力の釣合いを求めるときは、考えている部分を剛体して取り扱う。

2.幾何学的な適合条件
  物体が変形しても、物体内部に空間が出来たり、重なり合いを生じないことを、式で表す。

3.構成法則
  加えられた力に対して、どの程度変形するか、温度上昇に対してどの位伸びるか、などのその物体独自の
  物性で、実験によって得られる定数である。
  なお、普通の材料力学と同様にこれらの値は、与えられているものとする。
  また、力と変形の関係は比例するとして、いわゆるフックの法則として、考える。

達成目標

1.微小変形の仮定を理解できる。
2.力の釣合いを理解し、具体的問題に応用できる。
3.変位の幾何学的適合条件を理解し、具体的問題に応用できる。
4.フックの法則を理解し、引張・圧縮問題に応用できる。
5.熱膨張による応力を理解し、温度変化をともなう物体の応力を計算できる。
6.加工誤差などによる応力を理解し、具体的問題に対して応力計算ができる。
7.はりの変形における「断面の平面保持の仮定」を理解できる。
8.ばね構造、棒状部材、はりについて、具体的に立式して、計算できる。

授業計画

1. 材料力学の基本的考え方(1)
    ・解析可能な状態
    ・適合条件,構成法則
    ・力のモーメント
    ・力の置き換え
    ・力の釣合,モーメントの釣合
    ・演習(採点せず)
2.材料力学の基本的考え方(2)
    ・Free Body Diagram
    ・部材力
    ・フックの法則
    ・変形と変位
    ・演習1
3.ばねを構成要素とする例題(1)
    ・ばね定数
    ・微小変形の仮定
    ・ばねの直列結合
    ・ばねの並列結合
    ・ばねの複雑な結合
    ・演習2
4.ばねを構成要素とする例題(2)
    ・不静定問題
    ・未知数と式の数
    ・基準(全体)座標
    ・部材(局所)座標
    ・座標変換
    ・微小変形と大変形
    ・構造非線形問題
    ・演習(採点せず)
    ・レポート
5.棒状部材(1)
    ・垂直応力,縦ひずみ,フックの法則
    ・ヤング率(縦弾性係数)
    ・サンブナンの原理
    ・座標系
    ・静定問題
    ・演習3
6.棒状部材(2)
    ・分布荷重および自重,遠心力
    ・微分方程式
    ・演習4
7.棒状部材(3)
    ・不静定問題
    ・演習5
8.棒状部材(4)
    ・熱応力,熱ひずみ,熱変形
    ・演習6
9.中間試験(範囲 上の1.〜4.、教科書プリント参照可、計算機使用可)
10.はり(1)
    ・はりの定義
    ・支点の種類
    ・せん断力および曲げモーメント
    ・せん断力線図(S.F.D.)
    ・曲げモーメント線図(B.M.D.)
    ・分布荷重,せん断力,曲げモーメントの関係
    ・演習7
11.はり(2)
    ・曲げ応力
    ・断面二次モーメント
    ・演習8
12.はり(3)
    ・はりのたわみ
    ・二重積分法
    ・演習9
13.はり(4)
    ・不静定問題
    ・未知数の数と式の数および境界条件の数
    ・演習10
14.ラーメン(軸力を無視)
    ・平面内構造物
    ・折れ曲ったはり
15.期末試験(範囲 上記5.〜14.選択制、教科書プリント参照可、計算機使用可)

評価方法と基準

達成目標1〜3は授業計画2,3の演習で、達成目標4は授業計画5の演習で、達成目標5は授業計画8の演習で、達成目標6は授業計画6,7の演習で、達成目標7は授業計画10〜13の演習で、達成目標8はレポートと中間試験と期末試験で評価する。


科目の合否は、演習10回とレポート1回と中間試験と期末試験の合計点で評価する。
演習4点×10=40点+レポート 10点+中間試験 10点+期末試験 40点  合計 100点
60点以上を合格とする。

教科書・参考書

教科書:材料力学要論 S.TIMOSHENKO & D.H.YOUNG著 前澤 成一郎訳 コロナ社

履修前の準備

高等学校の数学,力学を再点検しておくこと.

学習・教育目標との対応

1.(E)機械の運動機構や動特性,構造や強度,物質・運動量・エネルギーの流れなど,機械工学の基盤技術に関わる物理現象を,自然科学の法則に基づいて理解することができる.
2.(F)機械に関わる諸現象を物理の原理から数学的に導くことができ,機械の設計や性能評価に必要な技術計算ならびに統計処理を正確に適用することができる.

オフィスアワー

火曜日終了後(ただし、事前に申し出ること。)

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Mar 28 07:44:20 JST 2013