A0290500

熱力学1

Thermodynamics 1

開講部

工学部

開講学科

機械工学科

開講学年

2年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授山田純

授業の概要

熱力学は,自然界の物理現象を記述する重要な学問であり,機械工学を学ぶ学生にとって必須である.本講義では,これまでに物理学の講義で学んできた物理学的視点からの熱力学に加えて,機械工学的視点からの熱力学について論じる.熱機関や冷凍機について,その動作原理や性能(効率)などを熱力学的に解釈するための基礎を修得することを目標とする.

達成目標

1.熱力学の第1法則をエネルギー保存則の熱力学的表現として理解し,これを具体的問題に適用できる.
2.理想気体の巨視的および微視的性質を理解し,種々の状態変化において,状態量間の関係や,それらと熱や仕事との関係を導くことができる.
3.熱力学第2法則を理解し,熱機関の熱効率やヒートポンプの動作係数を評価できる.
4.種々の状態変化におけるエントロピー変化を計算できる.
5.エクセルギーの意味を理解し,無駄に捨てられるエネルギーを量的に評価できる.

授業計画

1.熱力学の意義
・エネルギーに関連する諸現象の理解に,何故,熱力学の第1法則,第2法則が必要か
・エネルギーの形態と,その変換
・歴史的背景と現在の社会背景
2.熱力学を学ぶための基本概念
・系・物質・エネルギー
・熱力学の微視的理解
・分子間相互作用と相変化
3.温度と熱平衡
・(熱平衡)熱力学の第0法則
・温度の定義(熱力学的温度,理想気体温度)
・状態量
・単位系と単位
4.熱力学の第1法則
・熱や仕事など種々のエネルギー形態と,それらの間の変換
・エネルギーの保存則と熱力学の第1法則
・準静的過程と最大仕事
5.開いた系における熱力学の第1法則
・定常流動系とそこでのエネルギー保存則
・エンタルピーの導入
・各種機械における定常流動
6.理想気体における熱力学の第1法則
・理想気体の状態方程式
・一般ガス定数,ガス定数
・理想気体の内部エネルギー
・理想気体のエンタルピー
7.中間試験
8.理想気体の微視的理解
・エネルギー等分配則
・気体分子運動論の基礎
・気体の微視的モデルから見た比熱
9.理想気体の準静的過程
・理想気体の状態変化
・理想気体の混合
・演習
10.熱機関のモデル
・熱機関と熱効率
・ヒートポンプと動作係数(COP)
カルノーサイクル
・カルノーサイクルとその効率
11.熱力学の第2法則
・閉じた系の第2法則
・クラジウスの不等式
・状態量としてのエントロピーの定義
12.エントロピーの利用
・理想気体のエントロピー変化
・不可逆性の程度を表すエントロピー
・第2法則の演習
13.エクセルギーの基礎
・最大仕事とエクセルギー効率
・様々な系のエクセルギー
14.総合演習
15.期末試験

評価方法と基準

中間試験35%,定期試験50%,レポートおよび小テスト15%の配分で評価し,100点満点で総合得点60点以上を合格とする.
達成目標1:小テスト(あるいはレポート),中間試験,定期試験
達成目標2:中間試験,定期試験
達成目標3:小テスト(あるいはレポート),定期試験
達成目標4:小テスト(あるいはレポート),定期試験
達成目標5:レポート,定期試験

教科書・参考書

JSMEテキストシリーズ「熱力学」(日本機械学会編)

履修前の準備

数学,物理,化学の基礎的知識

学習・教育目標との対応

1.(E)機械の運動機構や動特性,構造や強度,物質・運動量・エネルギーの流れなど,機械工学の基盤技術に関わる物理現象を,自然科学の法則に基づいて理解することができる.
2.(F)機械に関わる諸現象を物理の原理から数学的に導くことができ,機械の設計や性能評価に必要な技術計算ならびに統計処理を正確に適用することができる.

オフィスアワー

大宮キャンパス:水曜日授業終了後
豊洲キャンパス:随時.ただし,事前に予約することが望ましい.

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Sep 20 07:42:58 JST 2012