A0340800

エンジンシステム

Engine System

開講部

工学部

開講学科

機械工学科

開講学年

3年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授矢作裕司

授業の概要

講義の概要と目的
熱機関(エンジン)は,輸送用機器あるいはコジェネレーションシステムの動力源として今後も利用されつづけると考えられる.しかしながら,エンジンの熱源は,燃焼によりられれているため,大気汚染物質の排出や化石燃料の枯渇化など様々な問題を抱えている.燃焼から得られる高密度のエネルギーと簡便性のために,燃焼に代わる熱源を直ちに導入することは困難であると考えられる.このような背景から、本講義では,エンジンの効率の向上を図るために必要な基本的知識を熱力学的な観点,燃焼工学的な観点から解説する.さらに,大気汚染物質の排出を抑制し,エネルギー損失を少なくするための方法をについても議論する.後半では,近年,着目されている直噴ガソリンエンジン,ハイブリットエンジン,コンバインドサイクルなどの様々なエンジンシステムの形態を解説し,マクロな熱効率の観点からも検討を加える.本講義は、15回で構成されている.そのうちの2回は,外部の研究者の方を招聘して講義していただく予定である.

達成目標

1.火花点火機関,圧縮点火機関,ガスタービン機関などの熱機関の基本的な構造を理解できる.
2.各種熱サイクルの特性を理解して,スロットルサイクルおよびスパーチャージサイクルの特性を説明できる.
3.熱機関内での燃焼現象の基礎を理解できる.例えば,消炎距離,燃焼速度,可燃限界,乱流火炎構造などについて基本的なことが説明できる.
4.燃焼現象の特性が熱機関の基本特性に及ぼす影響について理解できる.前述の3項目,1〜3を統合して熱機関の特性を説明できる.
5.熱力学的な観点,化学反応エネルギーの観点などから,燃料電池などの他のエネルギー源とハイブリット化についての適応性および展開について説明できる.

授業計画

1.序論(エネルギー環境の展望)
  ・化石燃料の枯渇問題と燃焼排出物の環境負荷
  ・各種の内燃機関および外燃機関の構造
2.エンジン内でのガス流動および各種熱サイクル
  ・作動流体の流れと役割
  ・エンジンの熱サイクル特性について
3.燃焼現象の基礎
  ・拡散火炎と予混合火炎、層流火炎と乱流火炎
  ・火炎安定性と可燃限界、着火特性
4.圧縮点火機関(ディーゼル機関)の構造
  ・圧縮点火機関の構造および特性
  ・ディーゼルサイクルと効率、スパーチャージサイクル
5.圧縮点火機関の燃焼
  ・圧縮点火機関の燃料および燃焼
  ・噴霧燃焼とすすの発生、燃料噴射ポンプ
6.火花点火機関(ガソリン機関)の構造
  ・火花点火機関の構造および特性
  ・スロットルサイクルとスーパーチャージサイクル
7.火花点火機関の燃焼
  ・火花点火機関の燃料および燃焼
  ・アンチノック性とオクタン価
  ・ガソリンエンジンの直噴化
8.高効率エンジンおよび燃焼の限界
  ・乱流燃焼の特性とその限界
  ・作動流体の圧力損失
9.ガスタービン機関の構造
  ・ガスタービン機関の構造、圧縮機
  ・ターボジェットエンジンおよびターボファンエンジン
10.ガスタービン機関の燃焼
  ・ガスタービン機関の燃料および燃焼
  ・複合サイクルへの応用と適応性
11.ガスタービン機関の応用と展開
  ・ガスタービン機関の種類(工業用、発電用、船舶用、自動車用)
  ・亜音速から超音速へ(高超音速および極超音速推進機関)
  ・宇宙空間での推進機関(固体ロケット、液体ロケット、液体推進剤、固体推進剤)
12.外部講師のよる特別講義
13.外部講師による特別講義
14.まとめ
  ・エンジンシステムの将来展望
  ・ハイブリット化への適応性と問題点
15.定期試験および試験問題の解説

評価方法と基準

小テスト又はレポート30%、期末試験70%

教科書・参考書

教科書は使用しない.
以下の参考書を薦める.
1 John B. Heywood, Internal Combustion Engine Fundamental, McGRAW-HILL.
2 Richard Stone, Introduction to Internal Combustion Engines Third Edition, palgrave macmillan.
3 The Jet Engine, Rolls Royce.
講義は,スライドを用いて行う.講義に使用するスライドは,研究室のホームページからダウンロードできるようになっている.下記のURLを参照していただきたい.
http://www.thp.mech.shibaura-it.ac.jp

履修前の準備

液体力学、熱力学、機械力学、材料力学などの基礎知識が必要である。さらに、燃焼工学、化学工学および高速高温ガス力学などの予備知識があると講義が理解しやすい。

学習・教育目標との対応

1.(A)材料,流体,熱・エネルギー,振動・制御,設計・加工,応用領域の6分野を柱として専門基礎知識を活用できるとともに,それらを互いに関連づけてデザインの基本概念を理解することで,技術的・社会的要求の実現に向けた具体的なプロセスを発案し,計画を遂行することができる.
2.(C-1)エネルギー問題や環境問題などについて,熱力学的視点からグローバルな議論ができる.
3.(E)機械の運動機構や動特性,構造や強度,物質・運動量・エネルギーの流れなど,機械工学の基盤技術に関わる物理現象を,自然科学の法則に基づいて理解することができる.
4.(F)機械に関わる諸現象を物理の原理から数学的に導くことができ,機械の設計や性能評価に必要な技術計算ならびに統計処理を正確に適用することができる.

オフィスアワー

火曜日および水曜日の9:00〜12:00.e-mailにより予約を入れてください.
yahagi@sic.shibaura-it.ac.jp

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Sep 20 07:42:59 JST 2012