A0460400

制御工学1

Control Engineering 1

開講部

工学部

開講学科

機械工学科

開講学年

3年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授内村裕

授業の概要

 制御工学は,現代社会を根幹で支えるインフラから,最新の自動車や最先端のロボットまで,様々な分野に応用されている.このような制御の対象となるシステムが,安定かつ所望の動作をするためには,どうしたら良いかを理論的に体系的したものが制御工学である.制御工学1では,入力に対する影響が出力に現れる「因果性を満足するシステム」を対象に,システムからの出力結果を入力に反映することで,所望の動作を実現する「フィードバック制御」を中心に学ぶ.フィードバック制御系の設計においは,対象となるシステムの入出力関係を,周波数領域で表現した方が扱いやすく,そのための数学的な道具である「ラプラス変換」や「伝達関数」について習得する.また,時間領域におけるシステムの挙動と伝達関数の特異値である「極」や「零点」の関係についても学び,システムの安定性と極の相関について学習する.最後に,安定性と制御性能を向上する制御器の設計法の実際について学ぶ.

達成目標

1.微分方程式による数学モデルによってシステムを表現できる.
2.ラプラス変換を理解し応用することができる.
3.基本的なシステムの伝達関数と特性が理解できる.
4.システムの安定条件と特性方程式の極の関係を理解し、安定判別ができる.
5.フィードバック系の応答特性と性能を解析できる.
6.直列補償およびPID制御による制御系の設計ができる.

授業計画

1.制御とは何か
    実社会における制御の実用例,線形システムの性質
2.フィードバック制御の構成
    制御系の基本構成,ブロック線図,フィードバック制御の効果
3.線形微分方程式とシステムの応答
    システムの微分方程式表現,インパルス応答とたたみ込み積分
4.ラプラス変換
    ラプラス変換の定義,ラプラス変換の定理,ラプラス変換の応用
5.周波数応答と伝達関数
    ラプラス変換による伝達関数の定義
6.周波数応答の表示と基本伝達関数の特性
    ナイキスト線図,ボード線図,一次遅れ・進み要素
7.二次要素の特性とむだ時間要素
    二次要素の時間応答と周波数応答,むだ時間要素の特性
8.中間試験
9.システムの安定性と安定判別法
    閉ループ伝達関数と安定性,ラウス,フルビッツの判別法
10.安定性と安定度
    ナイキストの安定判別法,位相余裕とゲイン余裕の評価
11.速応性と定常特性
    時間領域の過渡特性,定常偏差の解析方法
12.フィードバック制御系の設計(1)
    フィードバック系の閉ループ特性および開ループ特性
13.フィードバック制御系の設計(2)
    直列補償による特性の改善とPID制御の設計法
14.フィードバック制御系の設計(3)と全体のまとめ
    根軌跡法による設計法
15.期末試験

評価方法と基準

演習・レポート 20%,中間試験 30%,期末試験 50%
の配分で評価し、総合点60%以上を合格とする。

教科書・参考書

「自動制御理論」樋口龍雄著 森北出版

履修前の準備

微分積分1(数理専門基礎科目)を履修し内容を理解していること.
また,ラプラス変換(数理専門基礎科目)を履修していることが望ましい.

学習・教育目標との対応

1.(A)材料,流体,熱・エネルギー,振動・制御,設計・加工,応用領域の6分野を柱として専門基礎知識を活用できるとともに,それらを互いに関連づけてデザインの基本概念を理解することで,技術的・社会的要求の実現に向けた具体的なプロセスを発案し,計画を遂行することができる.
2.(F)機械に関わる諸現象を物理の原理から数学的に導くことができ,機械の設計や性能評価に必要な技術計算ならびに統計処理を正確に適用することができる.
3.(H)機械を実現するために必要な工学特有の手法(計測,制御,設計,加工,プログラミングなど)に習熟し,それらを問題の状況に応じて適切に使うことができる.

オフィスアワー

授業終了後および平日午後随時(事前にメール等で連絡のこと).

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Sep 20 07:43:03 JST 2012