A0470300

制御工学2

Control Engineering 2

開講部

工学部

開講学科

機械工学科

開講学年

3年次

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授内村裕

授業の概要

 制御工学2では,制御工学1で学んだ古典制御では扱いの難しい「多入力多出力系」を対象とする現代制御理論を学ぶ.古典制御は,システムを伝達関数を用いた表現に変換し,周波数領域において制御系を解析・設計するが,現代制御理論は,状態変数の概念に基づく時間領域における解析と設計の方法論を与える点が特徴である.
 本講義では,はじめに現代制御理論のベースとなる状態変数表現を導入し,線形システムの動特性を状態方程式で記述する方法について説明する.また,システムが制御可能か否かを判定する可制御性,システムの状態を知ることが出来るかの指標である可観測性について解説する.さらに,安定性の解析法の説明の後,直接観測できない状態量を推定する状態観測器,評価関数を最小化する最適制御設計法を解説する.

達成目標

1.システムの状態変数表現を理解し状態方程式が導出できる.
2.状態方程式の線形変換が行える.
3.システムの可制御性,可観測性の意味,判定が行える.
4.線形システムの安定性が判別できる.
5.状態フィードバックによってシステムの挙動を制御できる.
6.最適レギュレータによる最適制御の設計法が理解できる.
7.状態観測器(オブザーバ)を構成し,直接観測できない状態を推定できる.

授業計画

1.古典制御の復習と現代制御の概要
2.状態変数と状態方程式
    状態変数の導入と動的システムの状態方程式の導出
3.状態方程式の求め方
    微分方程式,伝達関数,ブロック線図から状態方程式を求める
4.伝達関数と伝達関数行列
    状態方程式から伝達関数を求める.多入出力の場合は伝達関数行列を求める.既約分解.
5.状態方程式の解
    状態遷移行列の定義と状態遷移行列による状態方程式の解法
6.安定性理論と線形変換
    安定性の概念と安定判別.リャプノフ安定理論.システムの線形変換
7.中間試験
8.可制御性,可観測性
    システムが制御可能か否かを判定する可制御性,システムの状態を知ることができるかの指標である可観測性について
9.極零消去,可制御・可観測標準形
    不可制御,不可観測,実現性との関連性,双対性の定理,可制御・可観測標準形
10.状態フィードバック
    状態フィードバックによる極配置
11.最適レギュレータ
    最適フィードバック制御系とリカッチ方程式の解法
12.状態観測器(オブザーバ)
    直接観測できない状態量を推定するための観測器(オブザーバ)の設計,最小次元観測器
13.状態観測器を用いたフィードバック系とカルマンフィルタ
    状態観測器を用いたフィードバック系,カルマンフィルタ
14.全体のまとめ
15.期末試験

評価方法と基準

演習・レポート 20%,中間試験 30%, 期末試験 50%
の配分で評価し、総合点60%以上を合格とする。

教科書・参考書

白石昌武著 「入門現代制御理論」 日刊工業新聞社

履修前の準備

制御工学1を履修し内容を理解していることを前提とする.
また,線形代数2(数理専門基礎科目)を履修していることが望ましい.

学習・教育目標との対応

1.(A)材料,流体,熱・エネルギー,振動・制御,設計・加工,応用領域の6分野を柱として専門基礎知識を活用できるとともに,それらを互いに関連づけてデザインの基本概念を理解することで,技術的・社会的要求の実現に向けた具体的なプロセスを発案し,計画を遂行することができる.
2.(F)機械に関わる諸現象を物理の原理から数学的に導くことができ,機械の設計や性能評価に必要な技術計算ならびに統計処理を正確に適用することができる.
3.(H)機械を実現するために必要な工学特有の手法(計測,制御,設計,加工,プログラミングなど)に習熟し,それらを問題の状況に応じて適切に使うことができる.

オフィスアワー

授業終了後および平日午後随時(事前にメール等で連絡のこと).

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Mar 28 07:44:40 JST 2013