A0720100

エネルギー変換工学

Energy Conversion Engineering

開講部

工学部

開講学科

機械工学科

開講学年

3年次

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授角田和巳

授業の概要

【授業の概要と目的】 莫大なエネルギー消費に支えられた現代社会では、環境を汚染せずに自然から効率良くエネルギーを抽出する技術の実現が望まれる。社会とテクノロジーの関わりを重視する本学科のカリキュラムにおいて、エネルギーの概念やその工学的応用は各々の専門科目の中で断片的に触れられているが、本科目ではそれらを再整理し、輸送現象を中心としたミクロな立場と、熱機関の応用を中心としたマクロな立場とから,エネルギー変換機の実際について解説する。
エネルギーと言ってもその形態は様々で、我々は状況に応じてエネルギーを使い分けている。そこで講義の前半では、基本的なエネルギー形態である力学的エネルギー・熱エネルギー・核エネルギー(質量エネルギー)を取り上げ、それらの物理的背景を考察することにより、力学的エネルギー保存・熱量保存・質量保存の概念が、エネルギー保存としてひとつにまとめられることを確認する。
講義の後半では、上述の基礎知識をベースにして、熱流体を利用したエネルギー変換機の原理や特性、性能評価の手法について考えていく。特に、原子力発電やプラズマを利用したMHD発電に関しては,現在の研究開発状況を踏まえて詳しく述べる予定である。

達成目標

1.広義のエネルギー変換についてその意味を説明することができ,主要なエネルギー形態の違いを区別することができる
2.質点および流体に対する力学的エネルギー保存則(ベルヌイの定理)を,流体機械等の解析に適用し,必要な物理量を求めることができる
3.熱力学第一法則の本質をミクロな視点から説明できるとともに,実際の工学問題に対して適切に熱力学第一法則を適用することができる
4.熱流体を利用したエネルギー変換機の特性を,エンタルピーやエントロピーを用いて説明することができ、その知識を性能評価や簡単な設計に適用することができる
5.現在使われているエネルギー機器とその将来性について熱力学的な観点から理解することができる
6.講義ビデオとレポート投稿システムを中心とするe-Learning環境を利用して、自主的に学習を継続することができる.また,そのために必要な知識や情報を,インターネットを通じて取得することができる
7.エネルギーをテーマとした英語の文献を読み,その概要を理解することができる

授業計画

1.Introduction:工学的な立場からみたエネルギー変換
 ・広義、狭義のエネルギー変換とエネルギー形態
 ・物質を構成する粒子間の相互作用
2.エネルギーの形態とエネルギー保存則(1−1)
 ・運動エネルギーとポテンシャルエネルギー
 ・力学的エネルギー保存則
3.エネルギーの形態とエネルギー保存則(1−2)
 ・ポテンシャルの例(重力場と静電場)
 ・電磁エネルギー
4.エネルギーの形態とエネルギー保存則(1−3)
 ・理想流体の力学的エネルギー
 ・Bernoulliの定理
5.エネルギーの形態とエネルギー保存則(2−1)
 ・熱エネルギーの微視的考察
 ・気体の分子運動とエネルギー
6.エネルギーの形態とエネルギー保存則(2−2)
 ・分子間力と分子間ポテンシャル
 ・気体の内部エネルギー
7.エネルギーの形態とエネルギー保存則(2−3)
 ・気体と固体との間の熱交換(微視的にみたエネルギーの流れ)
 ・熱の移動を含むエネルギー保存則(熱力学第1法則)
8.熱流体機器におけるエネルギー変換(1)
 ・熱の移動を伴う流体のエネルギー保存則
 ・流体機械におけるエネルギー保存則とエンタルピー
9.熱流体機器におけるエネルギー変換(2)
 ・可逆断熱変化とよどみ点状態
 ・原動機および被動機の性能評価(断熱効率)
10.核エネルギーの工学的利用(1)
 ・原子核反応に伴う高エネルギー現象
 ・質量変化を含むエネルギー保存則
11.核エネルギーの工学的利用(2)
 ・質量欠損と結合エネルギー
 ・核分裂連鎖反応と原子炉
 ・核融合反応の基礎
12.直接発電技術(1)ーMHD発電ー
 ・MHD発電開発史
 ・MHD発電の概念と動作原理
13.直接発電技術(2)ーMHD発電ー
 ・MHD発電機の電気特性
 ・MHD発電機の種類と発電性能
14.直接発電技術(3)ー燃料電池ー
 ・燃料電池の作動原理
 ・燃料電池の種類と開発状況
15.期末試験

評価方法と基準

【成績評価の条件】 初回の授業で目標達成度のチェックシートを配付するので、授業の進展にあわせて講義項目の達成度を毎週チェックシートに記入し、講義最終日に提出する。このチェックシートの提出者に対してのみ成績評価を行う。
【評価方法】 演習・小テスト30%・期末試験70%として評価する。

教科書・参考書

講義で使用する資料は機械工学科のWebサイトに掲載されているので、受講前に各自でダウンロードし、目を通しておくこと。その他の専門書籍、有益なサイトなどは、必要に応じて授業中に紹介する。
講義内容は毎回ビデオで収録し、講義終了後に動画コンテンツとして配信している。授業中に聞き漏らした点や十分理解できなかった点などをフォローアップするために、映像教材を積極的に利用してもらいたい。

履修前の準備

熱力学と流体力学の基礎事項は理解できているという前提で話を進めるので、両科目とも履修しておくことが望ましい。

学習・教育目標との対応

1.(C-1)エネルギー問題や環境問題などについて,熱力学的視点からグローバルな議論ができる.
2.(E)機械の運動機構や動特性,構造や強度,物質・運動量・エネルギーの流れなど,機械工学の基盤技術に関わる物理現象を,自然科学の法則に基づいて理解することができる.

オフィスアワー

豊洲キャンパス:水曜・木曜午後、質問の受付・担当者と直接連絡をとることが難しいときは、電子メールでの質問も受け付けています。

環境との関連

環境関連科目 (環境教育割合25%)

最終更新 : Thu Mar 28 07:44:50 JST 2013