A0743300

機械分子工学

Micro scale Mechanical Engineering

開講部

工学部

開講学科

機械工学科

開講学年

3年次

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

選択

系列区分

専門

講義区分

講義
講師岡村哲至

授業の概要

 工学への応用に力点を置きながら、統計力学ならびに量子力学の両分野に関する物理学の基礎を講述する。講義では、基本的な概念の理解を重視し、基礎的な問題が解ける力を養うことをめざす。統計力学は東京工業大学の岡村教授が、量子力学は慶應義塾大学の小林准教授が担当する。
 統計力学では、集団の性質を学ぶ。例えば、分子一つ一つは、勝手にあちこちに向かって動いているが、分子がたくさん集まったときの、全体としての物理的な特徴はどうなるのか。温度が変われば、時間とともにその特徴がどう変わるか、など。
 量子力学は、ミクロな物質の従う力学である。すなわち、ミクロな物質である分子、それを構成する電子や原子さらには光子などの世界の話である。量子力学の発展により、原子構造の解明がなされ、半導体やレーザーが作られた。このような微視的世界観は、これからのナノテクノロジーには、必要不可欠な概念である。講義では、常に古典論との違いを明確にしながら、量子力学ならではの世界を理解できるようにつとめる。電子は、量子と呼ばれる粒子であり波である二重性をもった物質であるので、シュレーディンガーの波動方程式により、その位置やエネルギーが規定できることを学ぶ。その結果、古典論では、通過できない壁を電子が通過してしまうトンネル効果やとびとびのエネルギーしか許されない振動現象など特
徴的な例を理解する。量子力学の1つの画期的な成功例である水素原子の構造について学ぶ。このようなミクロな世界での観測という考え方も学ぶ。

達成目標

1.統計データを特徴付ける、平均値と標準偏差の物理的意味が理解できる。
2.熱力学に必要な諸量、たとえば絶対温度やエントロピーなどの基礎概念が理解できる。
3.電子の位置・エネルギーが波動方程式で記述できることを理解し、様々なポテンシャル下での解の性質を説明できる。
4.量子論での観測やトンネル効果を理解し、ナノテクノロジーに応用できる。

授業計画

1.光の粒子性と電子の波動性
2.シュレーディンガーの波動方程式
3.波の反射と透過
4.トンネル効果
5.量子力学における振動現象
6.水素原子
7.不確定性原理とナノテクノロジー
8.中間試験
9.統計とはどんな場合に使えるのか
10.確率の基本的な概念
11.平均値と標準偏差
12.状態の数
13.絶対温度とは・乱雑さとエントロピー
14.ボルツマン分布とマクスウェル分布
15.期末試験

評価方法と基準

量子力学は、中間試験で100%評価、統計力学は、期末試験で100%評価。
それぞれ50点満点で合計100点として最終評価をする。

教科書・参考書

久保亮五 監訳 「バークレー物理学コース5 統計物理 上、下」 丸善
原康夫 著 「岩波基礎物理シリーズ5 量子力学」 岩波書店

履修前の準備

最初の授業時に指示。

学習・教育目標との対応

1.(E)機械の運動機構や動特性,構造や強度,物質・運動量・エネルギーの流れなど,機械工学の基盤技術に関わる物理現象を,自然科学の法則に基づいて理解することができる.
2.(F)機械に関わる諸現象を物理の原理から数学的に導くことができ,機械の設計や性能評価に必要な技術計算ならびに統計処理を正確に適用することができる.

オフィスアワー

授業終了後、講師室にて

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Mar 28 07:44:55 JST 2013