B0340600

熱力学1

Thermodynamics 1

開講部

工学部

開講学科

機械工学第二学科

開講学年

2年次

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授田中耕太郎この先生のアンケート一覧を参照

授業の概要

〔授業の概要〕熱力学は,熱エネルギーと仕事などのエネルギーが関与する現象や,それにかかわる物理法則を明らかにする学問です.機械工学のみならず自然界の物理現象を記述する基礎科学の1つとして重要な分野といえます.
 初めて学ぶ人にとっては抽象的で実感の伴わない,いくぶん難解な分野とも思われますが,自然界において風が吹いたり,雨や雪が降ったりする現象も全て熱力学の法則にしたがって発生しています.人間がエンジン,冷蔵庫など,熱や仕事に関する現象を積極的に利用できるのも,その過程に関係する熱力学の法則により設計されているためです.
 講義では,熱力学の基礎事項と第1法則,第2法則と呼ばれる法則を学びます.これらの内容は後に続く熱力学2,熱機関工学,基礎伝熱学などの講義の基礎を成しています.抽象的になりがちな熱力学の基礎概念について学びますが,実際の熱機関を例題とするなど平易に解説します.

達成目標

1.熱力学の基礎概念である温度,圧力,エネルギーなどの物理量と単位系が理解できる.
2.熱力学第1法則の意味を実際の熱現象,エネルギー変換などの物理現象に応用できるようになり,また数量的に扱うことができる.
3.理想気体の状態変化を理解し計算できる.状態量,平衡の考え方を理解できる.理想気体サイクルの考え方を理解することができる.
4.熱力学第2法則を表す現象を理解し,可逆・不可逆過程,エントロピーの考え方を理解できる.

授業計画

1.熱力学とは
  ・歴史的発展と日常生活における熱現象
  ・熱力学で対象とする分野
2.物理量と熱力学第0法則
  ・熱力学で扱う物理量,SI単位系の説明
  ・各種用語(系,状態量など)の説明
3.熱力学の第1法則(1)
  ・熱力学の第1法則と内部エネルギー
  ・エンタルピー
4.熱力学の第1法則(2)
  ・開いた系の第1法則
  ・絶対仕事と工業仕事
5.理想気体(1)
  ・理想気体の状態式
  ・気体分子運動論による微視的な見方
6.理想気体(2)
  ・比熱の意味とその取り扱い
  ・理想気体の混合
7.理想気体の準静的過程
  ・等温変化,等圧変化,等積変化,可逆断熱変化,ポリトロープ変化
8.中間試験
9.エントロピー
  ・エントロピーとは
  ・可逆と不可逆
10.熱力学の第2法則(1)
  ・カルノーサイクル
  ・逆カルノーサイクル
11.熱力学の第2法則(2)
  ・カルノーサイクルから第2法則へ
  ・クラウジウスの不等式
12.熱力学の第2法則(3)
  ・状態量としてのエントロピーとエントロピー生成
  ・熱力学温度目盛
13.熱力学の第2法則(4)
  ・TS線図
  ・エントロピー変化の計算方法
14.熱機関とエントロピー
  ・スターリングサイクル
  ・ガソリンサイクル
15.期末試験

評価方法と基準

 講義内に実施するミニテスト(10回),中間試験と期末試験で評価する.
期末試験の結果を50点,中間試験の結果を30点,ミニテストの結果を20点とし,合計100点において60点以上を合格とする.なお試験とミニテストを受ける際は,関数電卓を準備する必要がある.

教科書・参考書

教科書: 日本機械学会編「熱力学」丸善
参考書: その他,熱力学・工業熱力学がタイトルの参考書

履修前の準備

[履修前の準備]
 講義の内容を理解するためには,物理の基礎的な事項を理解していること,また微分・積分の基礎的な事項を理解していることが必要である.1,2年次で関連科目を習得しておくことが望ましい.

学習・教育目標との対応

1.(A)学科の教育理念に基づき,設計・実験および卒業研究を中核として,人間環境および感性をも含めた総合的な視点で問題を捉えて機械を創成できる基礎的な知識と応用能力を身につける (1) 与えられた課題に対し,自ら考え,調査・検討し目的を達成する能力
2.(B)技術・工学が地球環境に与える負荷を十分認識できる基礎的知識と応用能力を習得する
3.(D)技術・工学の根幹をなす「物質」,「エネルギー」および「情報」を基盤とした機械工学の基礎的な知識と応用能力を習得する (1) 力学,材料力学,熱力学,流れの力学の基礎 (2) 多く (17科目以上) の専門科目の習得
4.(E)機械工学における基盤分野の理解に必要な基礎的な数学の知識と応用能力,実験・分析の遂行に必要な確率・統計,情報処理の基礎的な知識や自然現象を数学的にモデル化し,シミュレーションする基礎的な知識と応用能力を習得する (1) 基礎的な数学の知識 (2) 実験データの分析能力 (3) 情報リテラシの習得 (4) 自然現象をモデル化し,シミュレーションする能力

オフィスアワー

講義後の休み時間に対応します.講義日の昼休み4103教室に在室の時は対応します.またメールも受け付けます(k-tanaka@sic.shibaura-it.ac.jp)

環境との関連

環境関連科目 (環境教育割合10%)

最終更新 : Thu Mar 28 07:45:07 JST 2013