B0410700

基礎伝熱学

Fundamental Heat Transfer

開講部

工学部

開講学科

機械工学第二学科

開講学年

3年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
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授業の概要

『伝熱学』では,温度差すなわち温度勾配の結果として生ずる各種の熱移動現象ならびにそれらの具体的な熱移動速度の計算方法に関して学びます.伝熱学は,熱エネルギーの有効利用の観点から,また加熱・冷却,温度制御が必要な多くの装置の実用的な場面で役立つ内容といえます.多くの機器の設計に必要となる学問です.この講義では,伝熱に関する様々な機構やその定量的な算出方法について具体的な計算例を含めて学習します.また今後の応用力を養うため,伝熱現象の科学的側面の基礎事項にも注目し,工学的基礎学力の習得を目指します.

達成目標

1.伝熱学でよく用いられる物理量,伝熱の三形態の基本概念に関する物理現象を正しく理解する.
2.熱伝導率,比熱,潜熱や温度伝導率など熱物性の定義と機構,代表的な熱物性に関する特徴を理解する.
3.熱伝導に関する基礎方程式,定常・非定常熱伝導および拡大伝熱面の考え方と熱伝導問題の基礎的な数値解法について理解する.
4.流れの状態である層流や乱流の機構,各種物体まわりの対流現象と熱伝達機構やその関係式を理解する.
5.物体表面からの放射現象や放射に関する法則について理解する.さらに黒体系および灰色体系の二つ以上の固体面間の放射伝熱について,形態係数を導入して計算できる.
6.伝熱の三形態を基礎として,熱交換器の伝熱性能や,その性能を評価する方法について理解する.その上で,実際の装置や機器の熱交換器を熱的に設計できる.

授業計画

1.基礎伝熱学で学ぶこと
 ・日常生活における身の回りの伝熱現象 
 ・伝熱の三形態の基本概念(熱伝導,熱対流,熱放射)
2.伝導伝熱(1)
 ・フーリエの法則
 ・定常一次元熱伝導と各種形状の定常熱伝導
3.伝導伝熱(2)
 ・各種物体の熱伝導率と熱伝導方程式
 ・非定常一次元熱伝導
4.伝導伝熱(3)
 ・数値解析法の基礎(差分法)
 ・定常二次元定常熱伝導
5.伝導伝熱(4)
 ・非定常熱伝導の数値解析
 ・熱通過率
6.対流熱伝達(1)
 ・熱伝達率と熱通過率
 ・強制対流熱伝達と自然対流熱伝達
7.対流熱伝達(2)
 ・各種無次元数から熱伝達率の計算
 ・各種物体まわりの熱伝達率の計算例
8.中間試験
9.フィンと熱交換器
 ・拡大伝熱面とフィン効率
 ・熱交換器の種類と対数平均温度
10.放射伝熱(1)
 ・熱放射とは
 ・波長とウィーンの変位則
 ・ステファン・ボルツマンの法則,黒体とキルヒホッフの法則
11.放射伝熱(2)
 ・物体間の放射伝熱の基礎
 ・形態係数
12.相変化を伴う伝熱現象
 ・沸騰伝熱
 ・凝縮伝熱
 ・融解凝固を伴う伝熱
13.伝熱問題のモデル化とデザイン  
 ・熱電対の温度測定精度解析,ジェット機の翼面温度推定,電子機器の放熱など
 ・具体的な熱設計例について考える
14.特別講義
 ・他大学や企業で活躍している研究者,技術者から伝熱学に関連した最新知識を学ぶ
15.期末試験

評価方法と基準

講義内で実施予定のミニテスト(5回),課題レポート(1回),中間試験と期末試験で評価する.ミニテストの結果を10点,課題レポート10点,中間テストを40点,期末テストを40点とし,合計100点において60点以上を合格点とする.

教科書・参考書

教科書:日本機械学会編「伝熱工学」 丸善
参考書:その他,伝熱工学,伝熱学がタイトルの参考書 
    データ資料としては日本機械学会編:伝熱工学資料など

履修前の準備

基礎伝熱学では熱移動に関して,基礎的な現象から応用まで幅広く説明する.流れの力学1,熱力学1を履修していることが望ましい.

学習・教育目標との対応

1.(D)技術・工学の根幹をなす「物質」,「エネルギー」および「情報」を基盤とした機械工学の基礎的な知識と応用能力を習得する (1) 力学,材料力学,熱力学,流れの力学の基礎 (2) 多く (17科目以上) の専門科目の習得
2.(E)機械工学における基盤分野の理解に必要な基礎的な数学の知識と応用能力,実験・分析の遂行に必要な確率・統計,情報処理の基礎的な知識や自然現象を数学的にモデル化し,シミュレーションする基礎的な知識と応用能力を習得する (1) 基礎的な数学の知識 (2) 実験データの分析能力 (3) 情報リテラシの習得 (4) 自然現象をモデル化し,シミュレーションする能力

オフィスアワー

授業終了後ならびに研究室にて対応します.研究室(4-E-32-a)に在室の時は,特別な事情がない場合を除き常時対応します.

環境との関連

環境関連科目 (環境教育割合20%)

最終更新 : Thu Sep 20 07:43:42 JST 2012