B0380200

熱機関工学

Heat Engine Engineering

開講部

工学部

開講学科

機械工学第二学科

開講学年

3年次

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授中野正光この授業の2009年度のアンケートを参照

授業の概要

〔授業の概要〕
 この講義は、熱力学1、熱力学2と重複ところもあるが、熱エネルギーを機械仕事に変換する機械、すなわち、熱機関といわれるものが対象である。その内容は、熱力学の一般関係式、サイクル論、燃焼など、熱機関を扱う上での基礎から応用面について取り扱うことを目標とする。

達成目標

1.熱機関に関連を持つ熱力学の一般関係式、特に、完全ガスの状態変化に関する数式の把握、また、その状態変化に際し、熱力学の一般関係式を利用できるようになること。
2.各種の熱機関が熱エネルギーをどのように状態変化させながら機械仕事に変換していくのかを、P−V線図、T−S線図上の状態変化で理解すること。
3.熱機関の中で最もポピュラーな4サイクルガソリン機関の性能を左右する因子について性能との係わりを理解する。2サイクル機関についてはガス交換過程の仕組みと掃気特性を左右する効率との関連を理解すること。
4.内燃機関に試用する燃料について燃焼とオクタン価、セタン価の関連を理解する。
また、オクタン価、セタン価とノッキング現象との関わりについて把握すること。

授業計画

1.第1章 概要(熱機関の歴史)
   エンジンを含めた熱機関の歴史と周辺
   熱機関の歴史を紐解くと、先達の研究者達の思いや努力を垣間見る事ができる
2.第2章 熱機関の熱力学
  熱力学の一般関係式(1)
   熱機関におけるサイクル腺図の作成、熱効率の算出、平均有効圧等を算出するに   当たり、熱力学の一般関係式は不可欠である。ここでは、
   (1) エネルギと出力の単位関係
   (2) ガスの比熱の取り扱いと関連の数式
   (3) 内部エネルギ・エンタルピーの取り扱いと関連の数式
   (4) 熱力学の第1法則の式とその利用方法
3.  熱力学の一般関係式(2)
   熱エネルギが仕事エネルギに変換される際の仲立をする作動流体は種々の状態変   化を経ながらエネルギ変換を行う。状態変化とガスがする仕事の関係を扱う。
   (1) 状態方程式で関係付けられる、等圧変化・等容変化・等温変化の関係
   (2) 熱機関で多く用いられる断熱現象の概念と断熱変化の式の導出
   (3) 実際の熱移動現象を表し、全ての状態変化を表すポリとロープ変化の概念と     各種状態変化の関係
4.第3章 各種熱機関とそのサイクル
   各種熱機関のサイクル線図(PーV線図、TーS線図)の作成と理論熱効率の算   出式の導出、すなわち、各種熱機関のサイクルがそれぞれどのようは状態変化を   しながら仕事エネルギーを生み出すかをP-V腺図、T-S 腺図で検討する。
   (1) オットーサイクルのP-V線図と熱効率
(2) デイーゼルサイクルのP-V線図と熱効率
(3) サバテサイクルのP-V線図と熱効率
   (4) スターリングエンジンのサイクル線図
5.  (5) ガスタービンのサイクルの構造とサイクル線図と理論熱効率
    ・ブレイトンサイクル
    ・再生ブレイトンサイクル
   (6) 蒸気原動機のサイクル
    ・蒸気のカルノーサイクル
    ・ランキンサイクル
              レポート:1
6.第4章 4サイクルガソリン機関の性能
   4サイクルガソリン機関は最もポピュラーで馴染みやすく、また、理解もし易い   と思われるので、関連する項目とその計測を含めて詳細に検討する
  1.平均有効圧
   出力性能の代表的標記として平均有効圧があり、平均有効圧を用いて出力性能に   関するファクターを吟味する。
  2.出力性能を向上させるする過給機の効果
    出力性能の向上をめざす過給機関の特性の取り扱い
    過給機は小さい排気量の機関で大きな出力をえることができるが、過給機の種
類や性能、それによる機関の性能の関連について検討する
  3.出力性能を左右するその他のファクター
   (1) ブースト圧
   (2) 吸入管温度
   (3) 背圧
   (4) 圧縮比
(5) 空燃比・空気過剰率・等量比
   (6) 充てん効率・体積効率
7.第5章 2サイクル機関
   2サイクル機関の特徴である長所・短所について言及し、4サイクル機関と比較   検討する
(1) 2サイクル機関のガス交換過程
   (2) 2サイクル機関の出力と掃気特性
8.第6章 内燃機関の計測
   内燃機関の計測項目には、コマーシャルベースのトルク、出力、燃料消費率など   の他に、空気消費量、燃料消費量、エンジン各部の温度、冷却水温度などがあ
り、さらに研究ベースとして、トルク変動、摩擦損失、機械効率、シリンダ内燃
焼圧力、排気ガスなど、多岐にわたる。
   ここでは計測項目とそれを計測するセンサ・機器等について学ぶ。
                                 レポート:2
9.第7章 熱機関の燃料および燃焼(1)
   特に、オットーサイクル、デイーゼルサイクル、高速デイーゼルサイクルに使用   される燃料について言及。また、燃料の燃焼に関連する項目について言及
   (1) 内燃機関とその燃料
   (2) オクタン価、セタン価
10.   熱機関の燃料および燃焼(2)
   (3) ガソリン機関の燃料
   (4) ガソリン機関の燃焼
11.     熱機関の燃料および燃焼(3)
   (5) ノッキング現象その発生メカニズム 
   (6) ノッキング防止法   
(レポート:3)
12.第8章 吸排気流れ
   (1) 吸入効率に及ぼす動的効果
(2) 排気流れ
13.第8章 内燃機関の構造
   (1) 冷却方式、
   (2) 水冷シリンダ壁の熱伝達
  (3) 空冷エンジンにおけるフィンの伝熱
   (4) その他の部品
14.第9章 内燃機関の運動学
   (1) ピストンの運動、速度、加速度
   (2) ピスト運動の級数展開
   (3) その他
15.期末試験
17. (7) 図示平均有効圧
(8) 摩擦平均圧力
   (9) 補機駆動出力
   (10) ポンピング出力

評価方法と基準

達成目標1および達成目標2はレポート:1、達成目標3はレポート:2、達成目標4はレポート3で評価する。
科目の合否は、期末試験結果を70点に評価、レポート提出を30点に評価し、合計点が60点以上を合格とする。
 レポートの内容は期末試験に大きく関連を持つので決しておろそかにしてはならい。レポートの内容は必ずノートに記述しておくこと。期末試験はノート・教科書・参書・計算機持ちこみ可であるが、レポートの内容は詳細に吟味しておくのが望ましい。

教科書・参考書

教科書:
(1) エンジン 熱と流れの工学(産業図書、是松孝治・森棟隆昭 編集、
  是松孝治・森棟隆昭・小西奎二・小倉勝・雑賀高・吉本康文・中野正光・
  村木正芳・木下英二 共著)
参考書:
(2) JSMEテキストシリーズ・熱力学(日本機械学会 編集)
(3) その他、内燃機関に関する書物
  (熱機関というタイトルの書物はほとんど見当たらない)

履修前の準備

熱力学1、熱力学2を履修しておくことが望ましい。

学習・教育目標との対応

1.(A)学科の教育理念に基づき,設計・実験および卒業研究を中核として,人間環境および感性をも含めた総合的な視点で問題を捉えて機械を創成できる基礎的な知識と応用能力を身につける (1) 与えられた課題に対し,自ら考え,調査・検討し目的を達成する能力
2.(B)技術・工学が地球環境に与える負荷を十分認識できる基礎的知識と応用能力を習得する
3.(C)技術・工学が地球環境と生態系との共生・共存を無視して独走することがないように,「技術・工学が社会に果たす役割」を強く自覚するための基礎知識と総合能力を習得する
4.(D)技術・工学の根幹をなす「物質」,「エネルギー」および「情報」を基盤とした機械工学の基礎的な知識と応用能力を習得する (1) 力学,材料力学,熱力学,流れの力学の基礎 (2) 多く (17科目以上) の専門科目の習得

オフィスアワー

授業日に対応する

環境との関連

環境教育科目 (環境教育割合50%)

最終更新 : Sat Nov 26 10:18:55 JST 2011