B0650800

機械創成設計演習

Practice of Machine Creation

開講部

工学部

開講学科

機械工学第二学科

開講学年

3年次

開講時期

通年

単位数

2

単位区分

必修

系列区分

専門

講義区分

演習
教授青木孝史朗この先生のアンケート一覧を参照
講師田中貴雄

授業の概要(前期)

機械系技術者に限らず,工学技術者にとって,全仕事中にデザインの占める割合は少なくない.工学の多くの学問体系の特徴はシステムとしてのデザインを目標としている.工学技術者にとっての当面の要求は,機器間の性能を統合するシステム・デザインである.設計をとりまくこうした外的環境を考慮し,創造性をかん養できる授業形態と環境を設け,自分たちで設計し,図面化した課題を製作あるいは生産に結び付ける体系を学習できる.またグループ活動を通して自分達が設計した「モノ」と実際とのギャップを理解できるように,設計プロセスの全般について体験学習する.

授業の概要(後期)

1年〜3年までに習得した学力を駆使し,基本となる旧来のサイドバルブ単気筒エンジンを理解し,新しくガソリンエンジンを創造設計する.作業はプロジェクト方式で6〜7名を1チームとしてグループワークで進め,授業では構成メンバーが交代でプレゼンを行う.チームで新エンジンのコンセプトを練り上げ,自由な発想でこの要求仕様を満足する主要諸元の決定,性能設計,機構・部品設計,製作図を作成する.また新エンジンの設計ではコンセプトつくりを含む工程表を作成し,予定表に実績を記録し課題の抽出を行う.設計は,今までに学んだ学問の総合力によって,複数の解の中から実現可能な最適解を見出すことであり,多様な発想にもとづく,自由な考え方を発揮し,明るく・楽しく・前向きに挑戦することが望まれる

達成目標

1.【前期課題】
設計・製作すべき課題を「コト」として解析・総合する方法を正しく理解し,応用できる.
2.グループワークを通して,コミュニケーション,プレゼンテーションやマネジメントが行える.
3.設計・製作すべき課題を与えられた制約の下で計画的に設計するプロセスを理解できる.
4.設計された機器を「モノ」として創成するプロセスを理解できる.
5.【後期課題】
チームワークを通してエンジンの基本特性を理解し,チームで練り上げたコンセプトのエンジンを作業フローに則り設計・評価でき,工程に関しては予定と実績を比較し課題の抽出ができる.
6.往復動内燃機関の特性を理解し把握できる.
7.設計コンセプトの作成とその要求仕様への対応ができる.
8.要求仕様を満足する新エンジンを設計できる.
9.新エンジンの評価と工程に関し予定と実績を比較し考察できる.

授業計画

1.I.前期課題:(教材用空気スターリングサイクル機関の設計・製作)
はじめに
 ・設計教育における模型試作導入の意義 ・設計の工学における位置付けの説明 ・設計の【方法論的背景】(設計過程)について ・ミニカンパニー制度(社長,監査,企画・設計,生産・製作,実験・検査,資材・情報,営業・会計で構成)の導入の意義とグループワークによる設計・製作の方法等の説明.
その後,グループ構成作業と各担当の役割分担等の話し合いをし,各グループから口頭による報告を毎授業ごとに行う.
2.設計課題に関わる基盤的な知識(材料力学,機械力学,熱力学,伝熱工学,エネルギー・環境工学,機械設計,材料工学,機械加工法など)の概要の説明

グループワークを通して,コミュニケーション,プレゼンテーションやマネジメントがおこなえる.
3.与えられた課題の設計基本方針(技術開発の特徴など)と技術開発項目の設定および工程表の作成とその報告

設計・製作すべき課題を与えられた制約の下で計画的に設計するプロセスを理解できる.
4.課題の仕様(目標値)決定と概念設計および材料の選定と加工法の概要検討と評価の報告,および加工法の現場実習

設計された機器を「もの」として創成するプロセスを理解できる.
5.概念設計に基づく基本設計および解決方法の具体的な項目の工程表の作成とその報告
 ・部品の空間的配置,使用材質・力学的・加工学的特性からの検討と報告
6.基本設計に基づく詳細設計と生産図面の作成と加工法の検討とその報告
・設計のアウトライン,設計機器の動特性解析と考察,その他(加工法・資材・会計・実験・検査など)
7.課題製品の試作組み立てとその改良点の考察と評価とその報告
 ・設計製品の性能解析・考察およびまとめ
8.最終提出(設計書・製作図面)および製作品のコンセプションの説明と動態デモンストレーションとその評価
9.II.後期課題:(基本のSV単気筒汎用エンジンから新しいコンセプトのエンジンを創造・設計する)
・ 基本性能の把握から新エンジン設計を5〜6名のチームによるグループワークで行う.
・ 各回の発表は資料をA3用紙1枚にまとめ各チーム毎に行う.
・ 各自は工程表と設計ノートを作成し,担当の項目と作業内容・結果および,その作業に要する予測時間と実績を設計ノートに記録する.
10.1.現行ガソリンエンジンの基本性能の把握
 ・主要部品の要求仕様のまとめ
11.2.現行ガソリンエンジンの性能の把握
 ・要素分解と設計フローシートおよび計算書を作成し性能評価
12.3.設計コンセプトの創造と設計
 ・設計コンセプトの創造と工程表の作成
13.4.新エンジンの基本設計
 ・設計計算書の作成と基本設計
14.5.新エンジンの詳細設計
 ・主要部品の形状・材料等の選定
15.6.新エンジンの部品図の作成
 ・材料、加工方法等を考慮した部品図の作成
16.7.新エンジンの性能評価と考察
 ・詳細設計に従い設計計算書のトレースによる要求仕様の確認
17.8.プレゼンテーションと成果物の提出
 ・チームの成果物:設計図書(工程表・設計コンセプト・設計書・製作図・所用時間表・考察)
 ・個人の成果物 :設計ノート(設計フローシート,予定所要時間とその実績,担当の実績,考察)

評価方法と基準(前期)

【評価基準】前期課題:課題提出(授業最終週に提出:設計書・CAD図面および動態模型)と達成目標1〜4まではミニカンパニー制度(グループ)構成メンバー全員による与えられた課題のプレゼンテーション(報告書付き)で評価する.総合した科目の合否は(課題提出70点満点)+(プレゼンテーション30点満点)として総合得点が60点以上を合格とする.なお,評価を受けるためには授業日数の2/3以上の出席が必要である.
(毎講義時におけるプロジェクターを用いた課題の進捗状況のプレゼンテーションと口頭諮問および報告書の提出が求められていることに注意して下さい)

評価方法と基準(後期)

【評価基準】課題提出(授業最終週に提出:設計図書)と各自作成の設計ノートおよびプレゼンテーションを併せて評価する.

設計図書50点(製作図20点,設計書30点),設計ノート35点,プレゼンテーション15点として,総合得点が60点以上を合格とする.なお,評価を受けるためには授業日数の2/3以上の出席が必要である.

教科書・参考書

テキスト:●「模型スターリングエンジン」浜口 和洋 他著/山海堂および担当者で作成した資料.
      ●「エンジン ガソリン/ディーゼル」齋藤 孟 監修/オーム社 (後期)
参考書: ●「スターリングエンジンの理論と設計」山下 厳 他著/山海堂

履修前の準備

設計は種々の学問,技術の総合応用力である.
機械工学に関する基礎,例えば,材料力学,工業力学,流体力学、熱力学と伝熱学を十分に理解しておいて欲しい.さらに,材料とその加工方法に関する知識も忘れられない要素である.

学習・教育目標との対応

1.(A)学科の教育理念に基づき,設計・実験および卒業研究を中核として,人間環境および感性をも含めた総合的な視点で問題を捉えて機械を創成できる基礎的な知識と応用能力を身につける (1) 与えられた課題に対し,自ら考え,調査・検討し目的を達成する能力
2.(D)技術・工学の根幹をなす「物質」,「エネルギー」および「情報」を基盤とした機械工学の基礎的な知識と応用能力を習得する (1) 力学,材料力学,熱力学,流れの力学の基礎 (2) 多く (17科目以上) の専門科目の習得
3.(E)機械工学における基盤分野の理解に必要な基礎的な数学の知識と応用能力,実験・分析の遂行に必要な確率・統計,情報処理の基礎的な知識や自然現象を数学的にモデル化し,シミュレーションする基礎的な知識と応用能力を習得する (1) 基礎的な数学の知識 (2) 実験データの分析能力 (3) 情報リテラシの習得 (4) 自然現象をモデル化し,シミュレーションする能力
4.(F)科学的および工学的に思考し,与えられた制約の下で計画的に技術・科学論文を作成して表現できる能力を身につけ,さらに,総合的な観点から自主的,継続的に学習が持続できる能力を身につける (1) 技術・科学論文の作成能力 (2) 自ら継続的に学習する能力

オフィスアワー

鴨志田:授業終了後30分,研究室にて
田中:授業終了後30分,講師室にて
眞下:授業終了後30分,講師室にて

環境との関連

環境関連科目 (環境教育割合 5%)

最終更新 : Thu Mar 28 07:45:31 JST 2013