C0080600

量子物性論

Quantum Physics of Materials

開講部

工学部

開講学科

材料工学科

開講学年

4年次

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授永山勝久この先生のアンケート一覧を参照

授業の概要

(授業の概要)
「材料科学(Materials Science)」は工学と理学を融合する最先端の科学研究分野として位置付けられている。
本講義は、広範囲な材料・物質群に対する量子論ならびに電子論の基礎を組み込んだ新たな観点から、固体状態の物質が示す、電子構造に依存した、量子化状態に対する基礎的理解を目的に紹介・講義することを目的とする。さらに、種々の機能物性発現の支配因子となる電子論の基礎概念についての知識修得を目指す。
(到達目標)
ミクロな物質が示す新たな物性は、量子力学によってのみ説明される。本講義は、4年前期で講義・習得した「固体物性論」に続き、特に電子間の交換相互作用、3d−4f電子間結合を利用した新たな機能材料開発ならびに量子効果(量子力学、電子論)を積極的に応用した「21世紀の新たな物質創製科学研究」に対する大学院入学前の高度な学問の基礎知識の習得を目指す。

達成目標

1.「古典物性論から量子物性論への歴史的推移と意義」を理解し、併せて材料・物質科学研究を担う「固体の場の量子論」に対する基礎知識を理解・修得する。
2.量子論の基本的事項となる(1)電子構造、(2)物質の二重性、(3)電子の運動状態などを中心に理解・修得する。
3.固体電子論の基礎概念(自由電子モデルとバンドモデル)を理解・修得する。
4.電子の運動状態(シュレディンガーの波動方程式が有する量子力学的意味)を理解・修得する。
5.量子力学に基づいた?固体の比熱理論、(1)量子統計、(2)物質の磁性状態(特に多電子系の電子間結合)についての理解・修得を目指す。

授業計画

1.講義の概要と学問的背景
  1.量子物性論とは何か
  2.物質創製科学研究と量子物性論の関係
2.現代物理学と量子物性論の関係
  1.材料研究と量子物性論の意義と関係
  2.材料研究に対する量子物性論の位置づけ
3.量子物性論を踏まえた電子論の基礎(1)
  1.d電子(局在かつ遍歴電子)と機能物性の関係
  2.f電子と機能物性発現の関係
4.量子物性論を踏まえた電子論の基礎(2)
  1.直接交換相互作用
  2.間接交換相互作用
5.量子効果応用と物質科学研究
  1.磁性体物理
  2.半導体物理
6.理想状態における固体量子物性
  1.固体の場の量子論1
  2.固体の場の量子論2
7.非平衡状態における固体量子物性
  1.ランダム系の固体物性1
  2.ランダム系の固体物性2
8.量子物性論の基礎と応用1
  1.量子力学の工学領域への応用1
  2.量子力学の工学領域への応用2
9.量子物性論の基礎と応用2
  1.量子効果を利用した物性評価・解析1
  2.量子効果を利用した物性評価・解析2
10.量子物性論の今後の展開1
  1.ナノマテリアル研究の現状と意義
  2.ナノマテリアルと量子物性論の関係
11.量子物性論の今後の展開2
  1.ナノマテリアルの物質群および形態
  2.ナノマテリアルの量子物性と応用
12.量子物性論を踏まえた21世紀の新たな物質創製科学研究1
  1.物質生成過程と量子物性の関係
  2.量子物性を踏まえた核生成現象
13.量子物性論を踏まえた21世紀の新たな物質創製科学研究2
  1.電子間結合を踏まえた物質生成理論
  2.ランダム系固体の物質創製と量子物性論の関係
14.量子物性論の新たな展開
  1.機能性非平衡新物質創製に対する量子物性論の意義と効果
  2.極限環境を利用した機能性新物質創製科学研究の今後の展開
15.期末試験

評価方法と基準

レポート30%(課題を提示し、全員提出)、中間試験30%、期末試験40%

教科書・参考書

プリント教材を配布(担当者作成)

履修前の準備

共通科目の「物理」及び「物性論」および担当者の専門科目(セラミックス、固体物性論)を履修しておくこと

学習・教育目標との対応

4年前期に履修した、「固体物性論」と密接に関係し、物質が示す様々な物性に対し、量子論および量子力学に基いた、新たな学問となる「量子物性論」と「21世紀における物質創製科学研究」についての理解し、学問の習得を目指す。さらに、宇宙環境に代表される「極限環境」における新機能性物性発現に対し、量子論、量子力学、固体の電子状態、バンド構造および3d−4f弱電子間結合状態などを考慮し、本学大学院入学前における物質科学研究に対する導入教育を目的とし、これを紹介・講義する

オフィスアワー

・大宮校舎での講義日(前期 毎週水曜日・木曜日)以外であれば、豊洲校舎 永山研究室(10F−M−25)へ来室下さい。

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Mar 28 07:46:02 JST 2013