D0150500

電気化学

Electrochemistry

開講部

工学部

開講学科

応用化学科

開講学年

3年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

選択

系列区分

専門

講義区分

講義
教授今林慎一郎この先生のアンケート一覧を参照

授業の概要

 電気化学は電気エネルギーと化学エネルギーの相互変換や電気信号と化学情報の相互変換を扱う学問であり、1800年のボルタによる電池の発見に始まる長い歴史をもつ。現在まで、電池・電解合成・センサー・表面処理などの技術分野に応用され、光合成・神経伝達などの生体内で起きている現象を理解する助けにもなっている。本授業では、(1)電気化学系とは何か、(2)電極電位と電解電流は電気化学反応の何を反映した物理量であるか、(2)電気化学反応と化学反応の違いは何か などの電気化学の基礎的事項を学んだあと、基礎的事項を基にして電気化学の応用分野を概観する。

達成目標

1.多くの化学反応が酸化・還元であるため、酸化還元反応(=電気化学反応)を扱う電気化学の基礎的概念を把握することが化学を学ぶ上で重要であることを認識する。
2.電気化学反応は物理化学で学んだ[熱力学]や[反応速度論]などをベースにしている。これら基礎的理論と関連づけて理解できるようになる。
3.界面反応である電気化学反応と一般的な溶液中の化学反応の共通点、相違点を整理して理解する。
4.各種電池、工業電解、センサーなど電気化学が日常生活で役立っていることや、光エネルギーから化学エネルギーへの変換である[光合成]や[光触媒]の原理を知る。

授業計画

1.電気化学とは何か?
・電気化学という学問の内容や領域、応用分野の簡単な紹介
・電解や電池を例に第2〜9週で学習する事項と関連付けた電気化学系の説明
2.電極電位(1)
・「エネルギーと化学平衡」に関する復習
・電位と電圧の違い
・標準電極電位と電気化学反応に伴うエネルギー変化の関係
3.電極電位(2)
・標準電極電位の求め方、有用性
4.電極電位(3)
・ネルンスト式(反応物質の量と電位の関係)
5.電解電流(1)
・「反応速度論」に関する復習
・電解電流と電気化学反応速度の関係
6.電解電流(2)
・バトラー・フォルマー式(電位と電解電流の関係)
7.電解電流(3)
・電気化学反応は界面で起こる不均一反応である
・界面反応であることの電解電流に対する影響
8.電解質溶液(1)
・電解質溶液の導電率の意味
・導電率の大きさを支配する因子
・電極/電解質界面の姿
9.電解質溶液(2)
・モル導電率の電解質濃度依存性(強電解質と弱電解質の違い)
・プロトンの導電率が大きい理由(プロトンジャンプ機構)
10.中間試験
・9回目までの授業範囲の理解度チェック
11.実用電池
・各種実用電池(一次、二次電池や燃料電池)の構造や性能
12.半導体電極と光電気化学
・光電気化学の基礎
・光触媒、色素増感太陽電池、光合成の概説
13.めっきと防食
・めっき反応と腐食反応の比較
・めっき反応の応用例、防食(腐食を防ぐ)技術と電気化学
14.生物電気化学
・酸化還元酵素とは
・酸化還元酵素の反応を電気化学的に制御する方法(バイオインターフェース)
・バイオインターフェースのバイオセンサーや生物燃料電池への応用
15.期末試験
・授業全体の理解度チェック: 出題範囲は第1〜9回70%+第11〜14回30%

評価方法と基準

演習(数回)30%、中間試験30%、期末試験40%を100点とし、総合得点60点以上を合格とする。

教科書・参考書

〔教〕渡辺正・金村聖志・益田秀樹・渡辺正義 共著 「電気化学」 (丸善)
〔参〕松田好晴・岩倉千秋 編 「電気化学」 (丸善)
   大堺利行、加納健司、桑畑進共著 「ベーシック電気化学」 (化学同人)

履修前の準備

物理化学1、2、の履修

学習・教育目標との対応

1.(B)無機化学,有機化学,物理化学,分析化学,生物化学,化学工学,高分子化学,材料化学等の応用化学の基礎知識と,その応用能力.

オフィスアワー

授業や会議、特に忙しい時以外はいつでも。出来る限り、メールでアポを取ってから来てください。

環境との関連

環境教育科目 (環境教育割合30%)

最終更新 : Thu Sep 20 07:44:28 JST 2012