G0836200

バイオセンサー

Biosensor Engineering

開講部

工学部

開講学科

電子工学科

開講学年

3年次

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授六車仁志この先生のアンケート一覧を参照

授業の概要

 バイオセンサーは、測定対象物の情報を電気記号に変換するデバイスの一つである。ゆき使用の容易さ、コンパクトなサイズ、リアルタイムでのモニター、資料の前処理が不要などのため環境や医療計測において有用である。バイオセンサーは二つの部分から構成されている。一つは目的とする物質のみを認識する部分(分子識別素子)であり、もう一つは認識したという情報を電気的な信号などに変換する部位(信号変換素子)である。前者に生物由来のもの(主に生体分子)を用いるために「バイオ」センサーと呼ばれる。本講義は、バイオセンサーおよび関連分野について行う。
 バイオセンサーは、学際領域の学問であり、関連分野は電子工学の他に生化学、電気化学、分子生物学などの広範な領域にわたる。本講義では、これらの基礎的な分野についても取り上げる。

達成目標

1.生命と電子を結びつけた一例であるバイオセンサーについて理解する。

授業計画

1.序論:バイオセンサーの歴史的背景なども取り上げバイオセンサーの基本概念について解説する。典型的なバイオセンサーの構造は、生物由来のコンポーネントと物理的信号変換素子を融合させたものである。
2.生化学の基礎1:バイオセンサーを理解する上で必要な生化学の知識(酸素)について解説する。
3.生化学の基礎2:バイオセンサーを理解する上で必要な生化学の知識(核酸)について解説する。
4.生化学の基礎3:バイオセンサーを理解する上で必要な生化学の知識(糖質、脂質)について解説する。
5.電気化学の基礎:バイオセンサーを理解する上で必要な電気化学について解説する。
6.化学センサー:バイオセンサーは化学センサーを発展させたものであるので、基礎としての化学センサーについて解説する。
7.グルコースバイオセンサー:もっとも典型的なバイオセンサーについて解説する。最初に発明されたバイオセンサーであり、その経緯について解説する。また、センサーの形態(バッチ、フロー式)についても解説する。
8.糖尿病と血糖値センサー:グルコースバイオセンサーとくに携帯血糖値センサーについて糖尿病との関連について解説する。この種のグルコースバイオセンサーは、電気信号の変換を効率よく行うための「メディエータ」についても解説する。
9.酸素を用いるバイオセンサー:様々な酵素を用いるバイオセンサーについて学習する。また、様々な信号変換素子についても学習する。
10.微生物を用いるバイオセンサーと環境計測:バイオセンサーの分子認識素子には生体に限らず、生物そのもの利用されている。代表的な例として、環境汚染の指標となるBOD(生物学的酸素要求量)センサーを上げながら解説する。
11.表面プラズモン共鳴バイオセンサー:抗原抗体反応、レセプターとホルモンの結合、核酸塩素対形成などの生体分子間の特異的相互作用を検出する表面プラズモン共鳴バイオセンサーついて解説する。
12.水晶振動子型バイオセンサー
  生体分子の相互作用を検出するデバイスに水晶振動子も利用されている。水晶振動子は質量の変化を周波数の変動として検出できるので微量天秤とも呼ばれる。
13.DNAチップ
  ヒトゲノムは約100,000の遺伝子がエンコードされている。遺伝子チップは、半導体基板上に100種類以上のDNAやオリゴヌクレオチドのマイクロアレイを形成したデバイスである。煩雑なDNA診断を短時間で容易に行える利点を持つ。この遺伝子チップについて解説する。
14.生命工学を支えるエレクトロニクス
  バイオセンサーは、電子機器と生命機能の組み合わせからなるが、これを広義に解釈し生命工学におけるエレクトロニクスの有用性について解説する。
15.期末試験

評価方法と基準

講義中の小テスト20%、期末試験80%を100点満点とし、総合得点60点以上を合格とする。なお評価を受けるためには授業日数の2/3以上の出席が必要である。

教科書・参考書

六車仁志著 バイオセンサー入門 コロナ社

履修前の準備

高校の化学程度の知識は必要である。

オフィスアワー

毎週水曜日13:30〜16:00

環境との関連

環境教育科目 (環境教育割合30%)

最終更新 : Tue Mar 27 08:12:46 JST 2012