J0060300

居住空間史

History of Dwelling Space

開講部

工学部

開講学科

建築学科

開講学年

1年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

選択

系列区分

専門

講義区分

講義
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授業の概要

住宅は建築のなかでも人間の生活・人間の生き方・家族のありかたなどに直接かかわる重要な存在である。住文化は歴史・民俗・風土・自然などに密接にかかわり、伝統的、保守的、地域的色彩が強い分野である。しかし、現代日本の住文化は急激に変貌をとげつつある。私たちにとって、もっとも大きな変換点は明治の文明開化期と戦後の高度成長期であろう。わずか百数十年の間に、わが国の住文化は驚くべき変貌をとげ、近代化、洋風化の名のもとに、均一化、単調化におちいり、無表情なものになりつつあるのではないだろうか。日本の住文化を真に理解するために、あるいは、これからの新しい豊かな住文化を構築するために、わたしたちは伝統的住文化の中から、何を失い、新たに何を獲得したのか、あるいは一貫して変らないものは何なのか、を考える必要がある。
 本講義では、先史時代から現代にいたるまでの住宅の歴史を概観するとともに、住宅を単独の建築物としてとらえるだけでなく、人間は古くから集住してきたことに注目して、都市、集落という広がりのある空間の歴史に目をむけ、あわせて居住空間史ととらえて考察する。

達成目標

1.日本の伝統的な居住文化を理解する。
2.日本の伝統的な集住の形態と文化を理解する。

授業計画

1.テーマの提示、基本的用語の解説
  ・屋根の形、屋根葺材
  ・基本的な部材名称の解説
2.基準寸法の変遷と畳の大きさ
  ・尺貫法
  ・心々制と内法制
  ・畳の大きさと地域性
3.先史時代の住宅と集落
  ・銅鐸、家形土器、家屋文鏡にみるすまい
  ・近年の発掘成果と復元事例
4.古代の住居、寝殿造
  ・寝殿造以前の貴族住宅
  ・絵画史料、文献にみる寝殿造
  ・発掘遺構の検討
5.都城の源流とその理念
  ・中国の都城
  ・藤原京、平城京、平安京
  ・都城の計画と理念
6.中世の住居、寝殿造から書院造へ
  ・寝殿造の変容
  ・ハレとケ、会所の発達
  ・書院造の成立
  ・床間、違棚、付書院、帳台構
7.中世の都市と集落(1)
  ・市、町、宿、惣村
  ・中世の庶民住宅
8.中世の都市と集落(2)
  ・中世京都の町並とくらし
9.近世の貴族住宅(1)
  ・書院造
10.近世の貴族住宅(2)
  ・数奇の建築文化と茶室
11.近世の庶民住宅(1)
  ・農家
12.近世の庶民住宅(2)
  ・町家
13.近世の都市と集落
  ・三都のにぎわい
  ・洛中洛外の生活風景
  ・城下町、港町、門前町の景観
14.近代化とすまい
  ・洋風住文化の受容
  ・住文化における和と洋の出会い
  ・同潤会アパートとその後の集合住宅
  ・高度経済成長期前後の住文化
15.期末試験

評価方法と基準

2つの課題と期末試験を総合して評価する。第1課題(住宅の見学レポートおよび写真撮影)、第2課題(課題図書の要約および、自身で記す家についてのエッセイ)。

教科書・参考書

課題図書『家』(日本の名随筆83、作品社、1989)
参考書 『日本建築史図集』(日本建築学会編、彰国社)

履修前の準備

歴史・民俗・文学など文化一般についての読書

オフィスアワー

大宮校舎では授業終了後、講師室にて。芝浦校舎では研究室在室中、時間のあるとき。

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Sep 20 07:47:13 JST 2012