J0730100

環境行動学

Introduction to Environment Behavior Stud

開講部

工学部

開講学科

建築学科

開講学年

2年次

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

選択

系列区分

専門

講義区分

講義
講師古賀紀江この先生のアンケート一覧を参照

授業の概要

 本講議は、人びとが豊かな生活を展開できる環境デザインの目を養うための知識の習得を目指している。講議では、講議内容に即したテーマの演習とその発表の機会を設ける。
 講義では次のことを大きな目標としたい。
 講義は大きく5つの項目に分けられる。それぞれの項目と項目が掲げる目標は以下のとおりである。
1 人間・環境系としての環境理解:環境行動学への招待
目標:基本的な概念の説明と講義概要を伝達する。
2 環境行動を捉えるための基本的な概念
目標:環境行動デザインのための基本的な知識を習得する。
3 環境行動の把握と分析・考察
目標:環境行動研究を調査プロセスの体験を通して理解する。調査内容の分析により、上記の項目2で得た知識についての理解を共感を持って理解する。
4 「生活の質」と環境行動デザイン
目標:人々がより、豊かに環境とかかわりあうことができる可能性のデザインという視点から構築環境を考察する。
5 環境行動と時間
目標:環境と人々のかかわりを時間軸の上で見ることについて考察する。

達成目標

1.環境と人間が相互に作用しあう「人間・環境系」の概念を理解する。
2.人間・環境系における現象を捉える基本的な手がかりを理解する。
3.物理的環境が人間に与える影響に関する基礎的な知識を得る。
4.文化的側面が環境行動に及ぼす影響の存在を確認する。
5.環境行動が一定不変なものではない事実を確認する。

授業計画

1.人間・環境系としての環境理解:環境行動学への招待
(1)man - in - environmentな考察単位についての説明と理解の試み
(2)授業の概要と進め方の説明
2.環境行動を捉えるための基本的な概念 その1
(1)感覚的寸法
  固体距離、パーソナルスペースなどの基礎的概念を理解する。
(2)もののかたちと人間の行動
  アフォーダンスの理論の理解:ギブソンの研究の紹介とその後この概念に触発された  人々によるデザインをする立場からのアフォーダンスという概念に対する理解につい  て紹介する。
3.環境行動を捉えるための基本的な概念 その2
(3)物理的な環境と行動
  行動セッティングの概念を理解し、デザインのために必要な情報を得るツールとして  の理解を試みる。
観察による環境行動の記述と分析 その1
(1)マッピング調査手法の概説と調査準備
4.観察による環境行動の記述と分析 その2
(2)調査事例の紹介
(3)マッピング調査の実践方法
5.観察による環境行動の記述と分析 その3
(4)調査結果の整理方法 潤オ研究事例の紹介
(5)調査結果の分析と考察
6.「都市のイメージ」と環境行動 その1
前章までの「観察」ではなく、環境の利用者による環境の理解の仕方から環境行動を理解するという視点を理解する。
(1)リンチの研究の概要
(2)「イメージ」による環境把握の研究事例
7.「都市のイメージ」と環境行動 その2
(3)演習:都市活動の記録と都市のイメージの関係
 都市での活動について各自が自分自身に「インタビュー」をした結果をまとめ結果を分析する。
8.ユニバーサルデザインと環境行動
(1)ユニバーサルデザインの概念
(2)多様な状況・視点からの環境理解
9.「もの」の意味と環境 その1
(1)「もの」の意味
(2)「もの」と居住環境
10.「もの」の意味と環境 その2
(3)演習:「もの」環境の把握と分析
11.プライバシーと環境行動デザイン その1
(1)プライバシーの理解
(2)「専有化」のプロセスと環境行動
12.プライバシーと環境行動デザイン その2
(3)平面計画への反映
13.環境行動と時間
(1)環境移行という概念
(2)人生における環境移行と危機的移行
14.環境行動と時間
(3)環境移行の実際と考察 潤オ高齢者居住施設における研究事例潤オ
15.生活の質と環境行動支援
16.予備日 必要があれば補講を行う。

評価方法と基準

講義中の演習課題のうち特に指定したものと学期末のレポートとする。
演習、およびレポートでは各自が確実に必要なプロセスを自ら体験し、理解をしているかが重要であるため、単に提出した事実だけが合格に結びつくものではない。

教科書・参考書

指定の教科書はないが、参考書は講義テーマに従って随時紹介する。

履修前の準備

特にないが、街や建物の中での人々の行動、場所の使い方などに興味を持って欲しい。

学習・教育目標との対応

この講義では人々と環境との関わりを、いかに捉え、捉えた現象から何を学び取ることができるのかを学ぶ。ここでは、人と構築環境をめぐってなされた様々な科学知識の習得と、科学的、普遍的なまなざしで環境を捉える方法(あるいは技術)の初歩的な技術を習得する。これは、学習の目標である「技術と関連する普遍的科学に関する理解」である。また、環境行動の観察は、現実の環境を読み取りそこに問題点を見出すことであり、これは「技術が現実社会に減少している状況を認識し、その問題点を提起」することの基本的段階に他ならない。

オフィスアワー

講義内容や当該分野についての質問など、いつでも受け付けます。

環境との関連

環境関連科目 (環境教育割合 5%)

最終更新 : Thu Mar 28 07:48:47 JST 2013