J0170000

構造力学

Structural Mechanics

開講部

工学部

開講学科

建築学科

開講学年

1年次

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

必修

系列区分

専門

講義区分

講義
准教授林正司この先生のアンケート一覧を参照

授業の概要

建物は、利用者や家具などの重さ、それに構造自らの重量からなる力に耐えなければならない。これに加えて風や地震などの自然の大きな力も受けるが、これらの力に対して安全な構造である必要がある。建物を設計するときはこのような各種の力に対して、快適でありながら安全な性能を持つように、構造の検討を行う必要がある。
構造設計においては、構造体の柱や梁、壁などの各部分にどのような種類の力がどのくらい加わるのか、どのように分布するか、を最初に知る必要がある。
この講義では、これらの基礎知識を身につけるために、構造部材にかかる力の種類とその分布を知る基礎知識を学ぶ。
ここでは、構造を考えるときに常に基本となる静定構造について、その基本理論とその応用をできるだけわかりやすい言葉で行う。建築には色々な分野があるが、将来いずれの分野にすすむ場合にも、この基礎知識は非常に必要でありまた有用であると考える。

達成目標

1.静定構造に加えられる外力に対する支点反力と、部材に分布する各種応力の大きさとその分布を示す応力図の作成能力とその意味を理解する。
2.静定トラスの仕組みと、部材応力の計算方法を理解する。
3.この科目を通じて、建物にかかる外力と、その結果部材にどのような力が生じるかを学び、力学的な感覚を養う。
4.建物の安全をどのように考えるかについて、工学的な判断能力を会得する。
5.建物の設計における、構造と意匠の関係を理解し、総合的な判断力を養う。

授業計画

1.構造の考え方
  ・建築における構造の位置づけ
  ・構造設計における構造力学の位置づけ
  ・静力学と動力学の原理
2.力の合成と分解
  ・力の合成法、分解法の基礎(ベクトルと射影法の概念、幾何学的方法)
  ・1点にあつまる力、平行な力の処理法
  ・斜影法
  ・数式解法と図解法
3.力の釣合い1
  ・平行な力の釣り合い
  ・モーメントと偶力
  ・数式解法と図解法
4.力の釣合い2
  ・力の中心、図心、重心
  ・分布力
5.各種荷重とフレームの支点の反力
  ・荷重の種類と支点反力の求め方
  ・数式解法と図式解法(幾何学的方法)
6.構造物の安定、不安定
  ・安定、不安定の意味
  ・静定構造と不静定構造の意味
  ・構造の安定の判別法
7.部材の断面力(部材応力)
  ・内力と外力
  ・断面にかかる応力の種類と大きさ
  ・応力の求め方
8.静定構造の応力の分布
  ・各種応力の分布の表現方法(応力図)
  ・単純はりの応力の分布
  ・応力図の描き方
9.各種静定構造の応力分布1
  ・片持ち梁等の応力
  ・荷重、曲げモーメント、せん断力の関係(微分積分の概念との関係)
10.各種静定構造の応力分布2
  ・静定ラーメンの応力図
  ・3ヒンジラーメンの応力図
  ・せん断力と曲げモーメント(応力図に於ける分布曲線とその増分)
  ・せん断力と軸力の関係
11.中間試験(支点反力と応力図)
12.静定トラスの解法1
  ・トラスの特徴と考え方
  ・トラス部材応力の求め方(数式解法、図解法)
  ・マクスウェル線図(クレモナ図法)について
13.静定トラスの解法2
  ・リッターの切断法による部材応力の求め方
14.基本的なはりの変形
 ・モールの定理と梁の変形理論との関係(曲げ理論に於ける力と変形の関係)
  ・高次曲線で表される荷重に対する、積分による応力図の求め方
15.期末試験

評価方法と基準

毎回のレポート、中間試験および期末試験。
再試験は行わない。

教科書・参考書

講義時に紹介する。

履修前の準備

「力学の基礎」程度の内容を理解しておくこと。
高校程度の物理を理解しておくこと(特に力の釣合い)
微分積分の基本的な概念を理解しておくこと

学習・教育目標との対応

建築における技術の役割を、構造の力学および設計を通して考える。
構造については、この後に続く不静定構造に関する力学、各種構造設計法を学ぶ必要があるが、デザインと技術の関係をその実態を通して考える必要があり、この科目ではその基礎的な内容を学んでいる。
技術分野としては、入り口の役目を負っているが、その大きな位置づけ、目標を認識できるように説明をおこなう。

オフィスアワー

原則として開講日は終日

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Mar 28 07:48:48 JST 2013