J0220300

建築振動論

Dynamics of Structure

開講部

工学部

開講学科

建築学科

開講学年

3年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

選択

系列区分

専門

講義区分

講義
准教授林正司

授業の概要

構造物の設計に関する講義のほとんどは静的な力について考えるが、地震国である日本の場合は、建物の設計は動的な力に支配されることが多い。動的な力は多くの要素があり、動力学の原理的な内容から理解してゆくことがこれらを把握する近道と考える。
この講義では動的な設計を考える上で基礎となる振動理論に重点を置いている。
また運動方程式(2階線形常微分方程式)の工学的な意味と、微分方程式の解と実際の現象との関連を理解することに重点が置かれる。また、微分方程式のコンピュータによる直接(近似)解法の基本を学ぶことになる。
ここでは建築に限らず一般的な振動する構造物の様々な基本的な性質について学び、またこれらを基に建物の地震時の挙動はどのような性質を持つのかを検討するとともに、これらの結果を如何に現在の設計に取り入れられているかについてもふれる。また多質点系の構造物が持つ動的な基本的性質についても説明を加える。今後、構造だけでなく技術係に進む者は重要な振動の概念を会得するために受講することが望ましい。

達成目標

1.動力学の基本と、建築の地震時の振動に関する基本的な事象について、定量的、定性的に理解し、工学の可能性とこれを用いる時に考慮すべき事柄を考える能力を身につける。
2.振動現象と数学によるこの現象の表現および解法についてその基礎を学ぶ。

授業計画

1.地震と建物
  ・地震の基礎知識
  ・建物の地震被害例
  ・耐震規定の概要、歴史
2.構造物のモデル化
  ・質点系のモデル化
  ・1質点系の運動方程式の誘導
   (D'Alembertの原理)
3.1質点系非減衰自由振動
  ・微分方程式の解法
  ・固有周期、振動数、角振動数、初期条件について
4.減衰自由運動
  ・減衰の意味、仕組み、モデル化
  ・減衰定数と減衰振動
5.振動とエネルギー
  ・エネルギー保存の法則の基礎
  ・運動方程式の求め方
6.調和外力による振動1
  ・非減衰系での調和外力対する応答
  ・共振、うなりなどの現象について
7.調和外力による振動2
  ・減衰のある場合の応答(定常応答と過渡現象)
  ・入力と応答の関係
  ・応答倍率
8.任意外力に対する応答
  ・パルス入力に対する応答
  ・デュハメル積分の意味
9.応答スペクトル
  ・地震応答スペクトルの意味、求め方
  ・応答スペクトルの応用
10.減衰と復元力特性
  ・特価粘性減衰と複素減衰
   (摩擦や履歴減衰と粘性減衰の関係)
11.数値積分
  ・数値積分法の考え方
  ・線形加速度法・平均加速度法
12.コンピュータによる応答計算
  ・演習とその結果の評価
13.多質点系の運動1
  ・多層建物(多質点系)の運動方程式
  ・振動数方程式の誘導
14.固有周期とモード、固有値の意味、振動応答の特性
15.多質点系の運動2
  ・自由振動と強制振動
  ・モーダルアナリシス

評価方法と基準

数回の課題レポート、及びコンピュータによる演習レポートの結果で評価。

教科書・参考書

教科書
Structural Dynamics (John Wiley & Sons,ROY R.CRAIG,Jr)
参考書
最新耐震構造解析(森北出版、柴田明徳)
振動理論(鹿島出版会、大崎順彦)

履修前の準備

「材料力学」、「構造解析」、「マトリクス法構造解析」、「建築材料・構造実験」を履修しておくこと
また、共通科目の、微分積分、微分方程式、マトリックスに関する講義を受講しておくこと

オフィスアワー

開講日終日

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Sep 20 07:47:22 JST 2012