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ラプラス変換

Laplace transformation

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新保経彦

授業の概要

 英国の電気技師Heavisideは,回路を流れる電流の微分方程式の初期値問題を代数計算のみで解く「ヘビサイド演算子」を考案した.この方法の原理はラプラス変換によって説明される.以後,ラプラス変換の応用可能分野は,電気,機械,過渡現象論,自動制御,情報理論,熱,音響等々工学の極めて広範囲に亘っている.講義では,ラプラス変換の基本法則・定理・公式等の無味乾燥な羅列に終始するのではなく、将来の応用への広い展望を持つために,基礎と応用の調和ある解説に心がける.時には,厳密な条件や証明よりも,先ずその意味や使い方に習塾することも大切である.逆ラプラス変換の一意性を証明するには留数定理を用いるため,ラプラス変換を複素関数に拡張する.過渡現象論等において微分方程式の解の特性を調べるとき,ラプラス変換を複素関数と解釈すると見通しが良くなる場合が多々ある.また,デルタ関数を通じて超関数理論の一端に触れる.信号解析ではラプラス変換を離散化したz変換が重要で,線形差分方程式を代数的に解くのに用いられる.電気系,機械系というように応用の対象によって分類せず,常(偏)微分方程式,積分方程式,差分方程式というように応用の手法によって分類して講義する.

達成目標

1.ラプラス変換の基本法則の理解
2.簡単な関数の像関数の求め方の理解
3.ラプラス変換対応表による逆ラプラス変換の求め方の理解
4.常(偏)微分方程式のラプラス変換による解法の理解
5.積分(差分)方程式のラプラス変換による解法の理解

授業計画

1.ラプラス変換の定義
     ・無限積分 ・ガンマ関数
2.複素関数としてのラプラス変換
     ・収束座標 ・存在定理
3.ラプラス変換の基本法則(1)
     ・線形法則 ・相似法則 ・移動定理
4.ラプラス変換の基本法則(2)
     ・微分法則 ・積分法則
5.ラプラス変換の基本法則(3)
     ・合成法則 ・周期関数のラプラス変換
6.Diracのデルタ関数
     ・デルタ関数と物理的解釈 ・Heaviside関数 ・インパルス応答
7.演習1(範囲は1〜6)
8.逆ラプラス変換
     ・Bromwich積 ・Heaviside展開定 ・留数定理
9.演習2(範囲は8) ・中間試験
10.常微分方程式の解法(1)
     ・初期値問題 ・境界値問題
11.常微分方程式の解法(2)
     ・連立常微分方程式
12.積分方程式の解法
     ・第1種Volterra型積分方程式 ・第2種Volterra型積分方程式
13.偏分方程式の解法
     ・熱伝導方程式 ・波動方程式
14.差分方程式の解法
     ・z変換
15.演習3(範囲は10〜14) ・総合課題演習

評価方法と基準

期末試験70%中間試験やレポートなど30%を100点とし、総合得点60点以上を合格とする。

教科書・参考書

各担当教員が最初の講義で紹介する.

履修前の準備

微分積分1・2、線形代数1・2

学習・教育目標との対応(機械工学科)

1.(F)機械に関わる諸現象を物理の原理から数学的に導くことができ,機械の設計や性能評価に必要な技術計算ならびに統計処理を正確に適用することができる.

学習・教育目標との対応(機械工学第二学科)

1.(E)機械工学における基盤分野の理解に必要な基礎的な数学の知識と応用能力,実験・分析の遂行に必要な確率・統計,情報処理の基礎的な知識や自然現象を数学的にモデル化し,シミュレーションする基礎的な知識と応用能力を習得する (1) 基礎的な数学の知識 (2) 実験データの分析能力 (3) 情報リテラシの習得 (4) 自然現象をモデル化し,シミュレーションする能力

学習・教育目標との対応(応用化学科)

1.(A)応用化学をささえる工学一般・自然科学・情報技術に関する知識と,その応用能力.

学習・教育目標との対応(電気工学科)

1.C1:自然科学全般の基礎的な考え方を理解し、技術の基盤となる自然科学の原理を説明できる。

オフィスアワー

各担当教員が最初の講義で発表する.

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Mar 28 07:51:06 JST 2013