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フーリエ解析

Fourier transformation

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授業の概要

 19世紀の初め,フランスのFourierは熱伝導方程式の解の構成に画期的な方法を提案した.それは,関数は三角関数の無限和,つまり今日のFourier級数で表されると主張した.これ以降,フーリエ解析は数学面では実解析学の発展に貢献し,物理学・工学では自然現象を解析し解釈する強力な手段となり、数理物理学の分野が独立した.周期関数を正規直交系(三角関数など)で展開したものがフーリエ級数であり,微分方程式の求解や解析の手法を提供する.一般の関数にフーリエ級数を拡張したものがフーリエ変換で,それは関数の時間領域での性質・挙動を周波数領域での性質・挙動に対比させ,これにより物理学や工学は深さと豊かさを獲得たのである.講義では,数学としての厳密性にも留意し,応用を念頭においた現象解析と計算ツールとしてのフーリエ解析の理論・考え方・応用をバランス良く講義する.最近の技術革新に対処するにはこのバランスが絶対必要なことである.今日では,離散化され局所化された関数にフーリエ変換を拡張したものが離散フーリエ変換であり、これを計算するための高速フーリエ変換(FFT)の開発により,科学の多くの分野が革新された.この講義は離散フーリエ変換や高速フーリエ変換への入口でもある.

達成目標

1.直交関数とフーリエ級数との関係の理解
2.(複素)フーリエ級数の計算の習熟
3.フーリエ級数からフーリエ積分への移行の理解
4.フーリエ変換の計算の習熟
5.フーリエ変換による偏微分方程式の解法の理解

授業計画

1.フーリエ級数の基本性質(1)
     ・直交関数系 ・三角級数
2.フーリエ級数の基本性質(2)
     ・正弦級数 ・余弦級数 ・一般周期関数のフーリエ展開
3.フーリエ級数の基本性質(3)
     ・フーリエ級数の収束 ・Besselの不等式 ・Parsevalの等式
4.フーリエ級数の基本性質(4)
     ・複素型フーリエ級数 ・フーリエ級数の項別微分と積分
5.演習1(範囲は1〜4)
6.フーリエ積分の基本性質
     ・フーリエ級数からフーリエ積分へ ・フーリエ積分の収束
7.フーリエ変換の基本性質(1)
     ・フーリエ正弦(余弦)変換 ・反転公式(逆フーリエ変換)
8.フーリエ変換の基本性質(2)
     ・基本性質 ・畳み込み ・デルタ関数 ・Parsevalの等式
     ・フーリエ変換とラプラス変換の関係
9.演習2(範囲は6〜8) ・中間試験
10.偏微分方程式(1)
    ・1次元熱伝導方程式の初期値・境界値問題
11.偏微分方程式(2)
     ・1次元波動方程式の初期値・境界値問題
12.偏微分方程式(3)
     ・2次元ポテンシャル ・非斉次方程式の形式解
13.積分方程式
14.演習3(範囲は9〜13)
15.総合課題演習(範囲は1〜13)

評価方法と基準

期末試験70%中間試験やレポート30%を100点とし、総合得点60点以上を合格とする。

教科書・参考書

各担当教員が最初の講義で紹介する.

履修前の準備

微分積分1および2,線形代数1および2

学習・教育目標との対応(機械工学科)

1.(F)機械に関わる諸現象を物理の原理から数学的に導くことができ,機械の設計や性能評価に必要な技術計算ならびに統計処理を正確に適用することができる.

学習・教育目標との対応(機械工学第二学科)

1.(E)機械工学における基盤分野の理解に必要な基礎的な数学の知識と応用能力,実験・分析の遂行に必要な確率・統計,情報処理の基礎的な知識や自然現象を数学的にモデル化し,シミュレーションする基礎的な知識と応用能力を習得する (1) 基礎的な数学の知識 (2) 実験データの分析能力 (3) 情報リテラシの習得 (4) 自然現象をモデル化し,シミュレーションする能力

学習・教育目標との対応(応用化学科)

1.(A)応用化学をささえる工学一般・自然科学・情報技術に関する知識と,その応用能力.

学習・教育目標との対応(電気工学科)

1.C1:自然科学全般の基礎的な考え方を理解し、技術の基盤となる自然科学の原理を説明できる。

オフィスアワー

各担当教員が最初の講義で発表する.

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Mar 28 07:51:08 JST 2013