D0611100

技術と倫理

Engineering ethics

開講部

工学部

開講学科

応用化学科

開講学年

3年次

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

必修

系列区分

専門

講義区分

講義
講師飯田汎この先生のアンケート一覧を参照

授業の概要

(1)「社会の実像について概略的な理解なくして、いかなる専門教育も役立つことはない」との前提にたって、技術者の目でみた社会像と倫理観について講義する。
(2)成長と衰退の分水嶺にたつニッポンは、今大きな岐路に立ち、積極的にイノベーションの推進と人材教育を進めねばなりません。先進技術と伝統文化を基盤にした新しい先進文化立国:ニッポン”を建設するために、現代社会が知識創造社会・環境調和社会・生活文化創造社会であるとの前提のもとに、技術者が日本あるいは国際社会の中で、何に応えねばならないのかという問題を通じて、社会に潜む課題、科学技術の役割、環境問題、少子高齢化問題などを理解し、技術者の使命とリーダーシップを学び、併せて社会規範を考察します。
(3)同社会のもとで「文・知・環融合型ビジネス」の創造に向けて、技術者が何をなさねばならないかという問題をなげつつ、企業として、また技術者としての倫理を学びます。
(4)明治維新以来150年の歴史(科学技術の歴史を含む)を通して、日本国家の歩みを学び、現代社会の考察に必要な歴史認識や日本の未来の姿とともに、国際的な視点から日本の役割を学びます。
(5)先進社会と科学技術のフロンティアを通じ、産業のあり方や社会規範とすべき基礎知識、そして技術者が身につけるべき不可欠な技術者倫理を学ぶよう指導します。

達成目標

1.先進技術文化立国ニッポンの姿とイノベーションの社会的意義を理解する。
文化創造・知識創造・環境調和社会の理解を通して、日本社会の現状と将来の
あり方、イノベーションの牽引力として何が不可欠かを理解する。(個人と社会)
2.国際社会と産業社会の理解
米国・中国を通して国際社会と産業競争力の不可欠さを理解し、併せて日本の特 
徴(プラスのマインド、負のマインド)を理解する。(国際的な視点でみる日本)
3.事業創造の意義と技術者の使命の理解
企業の役割、事業の創造を通して、イノベーションの意義と創造性について理解 
する。
4.企業倫理と技術者倫理の理解
事業の創造を通して、技術者としての倫理感を理解する。 (企業技術者と倫理)
5.社会規範を理解し、技術者としての使命感を理解する。 (社会規範の理解)

授業計画

  課題『ニッポン技術者の使命』
   イノベーションを牽引する技術者の使命と倫理

1.先進技術文化立国ニッポンとイノベーション        【日本の未来】
     知識・環境・文化融合型社会の形成と日本の未来
2.先進技術文化立国ニッポンと技術者の役割         【社会と技術】
     社会と技術の関わり、構想力の涵養
3.グローバル社会と日本の産業技術(1)         【国際社会と日本】
     アメリカ社会とニッポン  欧米社会の視点から日本の特徴を考える。
4.グローバル社会と日本の産業技術(2)         【アジアと日本】
     東アジア社会とニッポン  中国・韓国社会を通じて日本の役割を考える
5.パラダイムの転換と技術革新              【社会の変化】
     技術革新、イノベーション概念を理解し、創造性について考える
6.産業をリードした技術と現代社会のフロンティア     【化学産業の使命】
     化学産業の役割、機械産業の役割、産業の果す使命を考える
7.知識創造社会と技術者                 【知識社会の倫理】
     情報技術のフロンティア、知識の創造と活用を考える
8.環境調和社会と技術の課題               【環境調和の倫理】
     環境保全、資源・エネルギーの課題から、これからの技術者の使命を理解する
9.生活文化の創造と技術者の役割             【生活文化と倫理】
     少子高齢化社会の課題を理解し、技術者としての使命を理解する
10.産業社会と企業の仕組み(1)            【企業倫理】
    日本のモノづくりと企業の役割を通して企業倫理と技術者倫理を理解する
11.産業社会と企業の仕組み(2)             【企業倫理】
     マーケティングと新事業の開拓 起業の意義を理解する
12.ニッポンの歴史150年と科学技術の進歩(1)      【日本の歴史教育】
     黒船から太平洋戦争、明治・大正・戦前の昭和を通して、歴史認識と倫理観
13.ニッポンの歴史150年と科学技術の進歩(2)      【日本の歴史教育】
     戦後の発展と社会の変遷を通して、現代社会の成り立ちを理解する。
14.先進技術文化立国ニッポンの未来とリーダーシップ    【リーダーシップ論】
  未来の日本における社会規範とリーダーシップを理解する
15.最終テスト

評価方法と基準

【評価方法】
(1)毎回のアンケート設問への対応・自由記述
(2)受講時の対応  質問・意見など積極的な参加
(3)小テスト 4回程度  技術と倫理に関する記述テスト
(4)最終テスト  テキスト持込みによる記述テスト

【評価基準】
(1)小テスト  20%
 4回程度、15分間、前回の講義内容についての倫理的な考察をする。
(2)Q&A(講義内容についての質疑応答)、アンケート、自由記述  10%
 アンケート設問・自由記述内容の特に優れた者に、その都度1〜5点の得点を与えます。
(3)最終テスト  70%
  講義全体にわたる理解度テスト(テキスト持込可)

本講義に確立された手法はありません。また、専門教科と異なり、教官の価値観に根差すところが大きいことが特徴です。これまでに得た信頼感に基づいて、講義を行なうので、必然的に受講することに意義があります。従って、評価方法も受講して得た成果が問われます。

それぞれの教育目標に対する割合は、C:50%、I:50%

教科書・参考書

<教科書>
(必携)飯田「ニッポン技術者の使命」丸善(2005)
<参考書>
岩村秀・東千秋・飯田汎「物質の科学と先端技術」放送大学教育振興会(2004)
札野順「技術者倫理」放送大学教育振興会(2004)
加藤尚武「技術と人間の倫理」NHK出版(1996)
尾身幸次「科学技術で日本を創る」東洋経済新報社(2004)
北澤宏一「科学技術者のみた日本・経済の夢」アドスリー(2003)

履修前の準備

(1)現代社会の問題として、以下のことについて、予め知識を整理しておくことを望む
1.なぜ、今、教育再生なのだろうか?
2.なぜ、今、イノベーション25なのだろうか?
3.なぜ、今、社会倫理が問われるのだろうか?
(2)講義『ニッポン技術者の使命』受講後の感想(応用化学科事務にて保管)を一読し、受講の心構えを明確にしておくこと。

学習・教育目標との対応

1.(C)人類が生存している自然環境を理解し,化学技術者として技術が社会や自然に与える影響を判断できる能力
2.(I)自らの力で社会における問題点を認識し,その情報を社会と共有できる能力.

オフィスアワー

*講義終了後30分、教室にて対応
メールも可能

環境との関連

環境教育科目 (環境教育割合50%)

最終更新 : Thu Mar 28 07:54:29 JST 2013