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芸術学

Art

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授業の概要

美しいものに感動する気持ち、またそうした感動を詩に書いたり歌に詠んだりして言葉や文章によって表わしたい、あるいは絵に描いたりものを作ったりして具体的に表現したい、と思う気持ちはおそらく誰でも体験したことではないだろうか。しかし、芸術学は、制作に直接関わるものではなく、美の経験や芸術の理念を客観的・論理的に考察する学問である。ここでは美的体験と芸術作品との関連性を取りあげ、芸術学の基本的問題に対する理解を深めることを目指す。この授業では美術や建築、工芸を含む芸術作品が当時の政治・社会と密接に結びついていること、すなわち芸術が人々の様々な意識を反映しうることを考えてもらいたい。毎回、多数のスライドを使用。

達成目標

1.「美しい」という言葉だけで片付けられない視覚芸術の多様性に目を向け、柔軟に捉えること。
2.これまで高く評価されてきた芸術(作品)がなぜそう呼ばれうるのか考えること。
3.好き嫌いを越えて客観的に芸術作品と向き合い、表現手段の一つとして芸術が存在することを理解し、そこにこめられた意味や主張を考えるよう努めること。

授業計画

1.ルネサンス美術1・・・初期ルネサンスからボッティチェリの作品を中心に、遠近法など中世の絵画との違い、図像にこめられた意味を探る。
2.描かれた時間・・・ジョット・ディ・ボンドーネの作品を主として、異時同図法など、中世と近代での時間表現の相違を読む。
3.ルネサンス美術2・・・レオナルド・ダ・ヴィンチの主要作品を解釈する。
4.ルネサンス美術3・・・ミケランジェロの彫刻と絵画を解釈する。
5.ルネサンス美術4・・・ラファエロの代表作を解釈する。
6.キリストの磔刑とピエタ(哀悼)・・・十字架に処せられたキリスト。キリストの死を悼み、亡骸を抱く聖母。時代や地域で異なる表現がうまれた背景、図像に込められた意味を探る。
7.裸体像の変遷・・・古代ギリシア・ローマから中世キリスト教世界を経てルネサンス時代に受け継がれた男女の裸体表現。近代美術にも反映する表現の自由と約束事をみる。
8.近代へのまなざし・・・19世紀アカデミスムの美の概念を遵守するサロンへの挑戦。クールベとマネの作品を解釈する。
9.風景画1・・・ルネサンス以降、科学や自然へのまなざしが強まり、風景も重要な役割を果たすようになる。19世紀のドイツ・ロマン主義までの風景画を考える。
10.風景画2・・・ドイツとイギリスのロマン主義の風景画を検討し、当時のアメリカ美術への導入をみる。
11.風景画3・・・モネを中心に、19世紀フランスの風景画を考える。
12.ジャポニスム・・・日本の文化・芸術が19世紀末〜20世紀初頭の西洋美術に与えた影響をみる。
13.自画像の解釈・・・自画像は己を描いた/彫った肖像であるが、「こう見られたい」という気持ちが、意識しているにせよ無意識であるにせよ入り込む。古今東西の自画像をとりあげて、そこに潜む自意識や欲求を読み解く。
14.戦争と芸術・・・近代兵器によって想像以上の惨状を呈した第一次大戦。当初戦争による浄化を唱えた文化人や芸術家たちの絶望を作品によって紹介し、次いでナチス・ドイツ政権の文化統制を取りあげ、戦争と芸術のかかわりを考える。
15.定期試験

評価方法と基準

小テスト(いずれかの授業中に行う。A・B・Cで評価)、レポート(A・B・C)20%、定期試験(60点満点)を課し、小テスト20%、レポート20%、定期試験60%を基準に、授業態度(毎回、授業の理解度をみる)を加えて総合的に判断し、総合得点が60%以上を合格とする。

教科書・参考書

プリントを配布。参考書等は教場で指示する。

履修前の準備

知識は問わないが、心得としていくらかでも芸術と歴史に興味があることが望ましい。

学習・教育目標との対応(機械工学科)

1.(D-2)文化・芸術・歴史・国民性など広い視野から機械技術の役割を捉えることができ,それらを柔軟な発想で設計や開発に生かすことができる.

学習・教育目標との対応(機械工学第二学科)

1.(C)技術・工学が地球環境と生態系との共生・共存を無視して独走することがないように,「技術・工学が社会に果たす役割」を強く自覚するための基礎知識と総合能力を習得する

学習・教育目標との対応(応用化学科)

1.(D)社会・文化と人間のかかわりを理解し,異なった立場からの考えを理解する柔軟性.

学習・教育目標との対応(電気工学科)

1.A1:種々の文化および社会の発展の歴史を理解して、説明することができる。

オフィスアワー

講義終了後に、豊洲校舎教室棟2階の書記センターにて。

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Mar 28 07:55:19 JST 2013