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文学論

Lectures on Literature

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五島慶一この授業の2009年度のアンケートを参照

授業の概要

 文芸(文学作品)の創作という行為は、第一義的には個人の関心・動機づけに基づいてなされるものであるが、(特にその発表ということを前提にした場合)その背後には多く社会・制度的あるいはイデオロギー的な同時代諸事情との関連がある。今日の学生の多くが彼らの所謂「昔の」(この言い方自体、至極乱暴ではある)作品に興味が持てないのは、そうした背後関係への配慮・理解不足にも一因があるだろう。
本講では、明治・大正期を中心にほぼ時系列に沿って文学史上の幾つかの項目を追い、創作活動の背景として存在する個人の、また社会的動機に関して改めて確認することで、作家や作品への理解を深める一助とする。

達成目標

1.近代文芸史の流れを理解すること。
2.文学が決して(社会的・日常個人的)実生活から遊離した別次元の存在ではないことを知ること。
3.(1)古今の文芸作品を含め、それ以外にも自らの意思によって選択的に多くの文章に接してそれらを時に味わい、
(2) それらを何かしらの糧として自らの眼と頭で物事を見、考えられるような動機づけと習慣を身に着けること。

授業計画

1.ガイダンス・導入
履修・単位認定に関しての諸注意。文学の存在意義。
2.近世から近代へ—「文明開化」と文学
仮名垣魯文ら、幕末から明治にかけて活躍した戯作者たちの動きとその作品。
3.新(ニュー)メディア「新聞」と文芸
連載「続き物」から新聞「小説」が生まれるまで。
4.近代文学の黎明(1)—言文一致と「小説」の成立
坪内逍遥・二葉亭四迷の理論と実践。
5.近代文学の黎明(2)—尾崎紅葉と硯友社
明治前中期の流行作家。文学の〈場〉としてのメディアの確立。
6.中間試験(1)・日清戦後文学の様相
1〜5の授業内容に関する試験。
紅葉の弟子筋の活躍と、文学が同時代の社会状況を反映する様について。
7.自然主義概説
西洋の自然主義と日本型「自然主義」との相違。日本での初期自然主義運動とその顚末。
8.日本型自然主義者たち(1)—田山花袋
彼がそれを提唱するまで。及び、その反響に関して。
9.日本文学と「家」・家族
日本型自然主義作品その他に描かれた家族制度、その制度的・慣習的また描写上の問題点について。
10.日本型自然主義者たち(2)— 島崎藤村
出発点としての詩歌と散文への流れ。「破戒」「新生」にみる発想の問題点。
11.中間試験(2)・夏目漱石
6〜10の授業内容に関する試験。
新聞小説作家という生き方。彼の中の「西洋」。
12.森鷗外
鷗外の創作活動全般(前・後期、含翻訳)に関して。
13.明治から大正、そして昭和へ—時代の中の鷗外・漱石・芥川龍之介・谷崎潤一郎
作家と作品に見る、時代思潮とそれぞれの対応の仕方。
14.直木・芥川賞創設の背景とその波紋
菊池寛—文芸春秋による仕掛け。両賞が文壇的権威に成り上がる経緯と現在までの状況。文学と資本主義・大衆社会の相関について。
15.期末試験
全授業内容に関する試験。1〜5・6〜10の内容からそれぞれ30%ずつ、他に11〜14の内容が40%。

評価方法と基準

中間試験(1)(2)併せて25%、期末試験70%、平常点5%。評定は以上三つの点数の合計(100点満点)に基づいて行う。合計100%として60%以上取得を合格とする。

教科書・参考書

教科書:特になし(プリントを適宜配布する)
 参考書:年表の会編『近代文学年表』(双文社出版 一九八四) 浅井清・佐藤勝編『日本現代小説大事典』(明治書院 二〇〇四) 小田切秀雄『日本文学の百年』(東京新聞出版局 一九九八) 前田愛・長谷川泉編『日本文学新史 近代』(至文堂 一九九〇) 奥野健男『日本文学史 近代から現代へ』(中公新書 一九七〇) 猪瀬直樹『作家の誕生』(朝日新書 二〇〇七)   他は講義の中で示す。

履修前の準備

 対象は必ずしも文学作品に限らなくともよいが、広くもの(文章)を読む習慣を身につけておくこと。開講後はほぼ毎回、こちらで指示したものを読んできてもらうことになる。それらは基本的にはプリントで用意するが、他に例えば、森鷗外「舞姫」・夏目漱石「こゝろ」については講義の後半で言及するのでそれまでには必ず通して読んでおく必要がある。
 尚、近代(日本なら明治以降)の(一般的な)歴史の流れを押さえておくと、講義理解の助けとなるだろう。

学習・教育目標との対応(機械工学科)

1.(D-2)文化・芸術・歴史・国民性など広い視野から機械技術の役割を捉えることができ,それらを柔軟な発想で設計や開発に生かすことができる.

学習・教育目標との対応(機械工学第二学科)

1.(C)技術・工学が地球環境と生態系との共生・共存を無視して独走することがないように,「技術・工学が社会に果たす役割」を強く自覚するための基礎知識と総合能力を習得する

学習・教育目標との対応(応用化学科)

1.(D)社会・文化と人間のかかわりを理解し,異なった立場からの考えを理解する柔軟性.

学習・教育目標との対応(電気工学科)

1.A1:種々の文化および社会の発展の歴史を理解して、説明することができる。

オフィスアワー

授業終了後、教室あるいは講師室にて。

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Mar 28 07:55:22 JST 2013