A0743400

機械工学の基礎

Introduction to Mechanical Engineering

開講部

工学部

開講学科

機械工学科

開講学年

1年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授角田和巳

授業の概要

本授業は機械工学科が創成科目として企画したもので,その目的は主として
(1)自ら目標をもって積極的に授業へ参加し,創造力や企画力を身につけるきっかけとしてもらうこと.
(2)入学してまだ日の浅い学生諸君に,工学の様々な事例や側面を紹介し,大学での学習に対する目的意識をもってもらうこと.
(3)機械工学の知識体系の概略について認識してもらうこと.
の3点にある.したがってこの授業では,前半12週のオムニバス形式の講義を通じて機械工学の全体像を俯瞰し,それらをもとにしたプレゼンテーションを実施することで,創造活動の一環を体験する.
また本学科では,機械工学の専門知識を(1)材料(2)流体(3)熱・エネルギー(4)振動・制御(5)設計・加工(6)医用生体 の6分野に大別しているが,各分野と機械工学全体との関わりを十分理解することは,入学してまだ間もない学生諸君にとって困難であろう.そのため本授業では,具体的なテーマを毎週提示することにより,全講義を聴講した時点で6分野のイメージが把握できるような構成をとった.このことを念頭において,毎回の授業に臨んでもらいたい.
なお,本科目の詳細については,学科のWebサイト(http://www.mech.shibaura-it.ac.jp/)で関連情報を公開しているので,そちらも参照すること.

達成目標

1.課題に対するプレゼンテーションの草案をまとめることができ,これをもとに必要事項を簡潔にまとめた説得力のある発表資料を作成することができる(主に評価方法と基準の(3)を評価)
2.課題に対する調査結果を整理・考察し,プレゼンテーションを通じて論理的に発表することができる(主に(3)を評価)
3.工学を学ぶために必要となる共通科目,専門科目の重要性を認識し,それらの継続的な学習の必要性を理解することができる(主に(1),(2)を評価)
4.本学科が定める主要6系列の基礎知識を,互いの分野と関連づけて学習することができる(主に(1),(2)を評価)
5.課題に関する参考文献や情報を自主的に調査し,より高度なレベルに向かって自らを導くことができる(主に(1),(2)を評価)
6.機械工学に関連した分野の新たな問題点に対して,それを解決するための手法を調査し,提案・遂行することができる(主に(1),(2)を評価)

授業計画

1.「序論」
(担当:角田和巳)
科学技術の中で機械工学が扱う主要分野を紹介し,本講義との関連について詳述する.また,レポートのまとめ方について簡単に解説する.
2.「社会で求められる技術者像」
(担当:近森 順,角田和巳)
次回からの個別テーマに関する講義に先立ち,機械系エンジニアに要望される技術者像について考える.特に,機械工学科ではJABEE受審を予定しているので,その背景を受講者全員が共有するため,社会が技術者に期待する能力,企業における実務教育と大学における工学教育,技術者育成のための社会システムとJABEEとの関わりなどについて説明する.技術者として社会に貢献するため,大学時代に実行するべきことを熟考してもらいたい.
3.「固体の力学の基礎」
(担当:小谷邦夫)
力の釣合いについて,特に力のモーメントの釣合いについて,例題により説明する.創成科目としては,各自で力の釣合いを発見させることにより,解析対象→立式→解析 による流れを経験させる.力の種類としては,資料の8ページを参照のこと.
4.「工学的視点からの血圧測定」
(担当:藤本哲男)
体内の血液循環系は心臓というポンプと血管という管路系から成る流体回路とみなすことができます.流体回路は機械工学において重要な研究対象となります.さらに機械工学的な視点は血液循環系の機能・形態を考えるときに役立ちます.この授業では「血圧」を例にとり圧力の意味,単位,測定方法等を工学の基礎として考えていきます.
5.「流れと生体」
(担当:山口隆平)
自然界は様々な流れにより営まれている.身近なところでは大気の流れ,川の流れ,足下を見れば我々の人体では呼吸や血液の流れがある.このように,流れは身近な現象であり,工学的観点から取り扱われる主要な分野である.ここでは,流れの基本現象と心臓血管系に代表される循環器内流れ,さらに循環系に発生する病理学的異変との関わりを大まかに話す.
6.「もの作り −設計・材料・加工−」
(担当:垣内邦昭)
身の回りの品物を作るためにどのような工学の知識が必要か,身近にある自転車を題材に選び,構想,設計から製品となるまでの流れについて設計と材料の強さを主眼に概説する.
7.「細胞のバイオメカニクス −計測法とその応用−」
(担当:工藤 奨)
従来までは,生化学的な手法により,細胞の機能に関する研究が行なわれてきたが,近年,新しいバイオイメージング装置の開発により,ミクロン及びナノレベルでの細胞のメカニズムに関する研究が急速に広がっている.この講義では細胞の力学刺激に対する応答や力学感知機構について概説します.特に,顕微鏡などのバイオイメージング装置を用いた画像からその機能を解析する手法や結果について概説します.
8.「加工機械の歴史」
(担当:植木忠博)
日常生活のなかで,金属を加工して作られている品物は数かぎりないほどある.きわめて簡素,単純なものから複雑な品物まで,あるいは小さなものから,大きなものまで文明の進歩とともに金属を加工した品物はますます複雑化している.このような高度な機械文明を支えている原点は「ものづくり」で,「ものづくり」とは素材を加工してものを作り上げるということで,加工を行なうという作業が必要となる.特に金属を加工する機械を工作機械といい,工作機械の中で,穴を精度よく加工する機械「中ぐり盤の発達の歴史」について述べる.
9.「2010年のエネルギーフロー」
(担当:矢作裕司)
私たちの豊かな生活を支えるためにエネルギーは欠かすことができません.しかしながら,この先もエネルギーを継続的に消費していくことが可能である保証はなく,むしろ,化石燃料の枯渇や二酸化炭素の排出による地球温暖化などの悲観的な現実と取り組んでゆかなければならないことは,誰もが認識していることです.この講義では,現在私たちの抱えているエネルギー問題を一連の流れ(フロー)として取り扱う概念とその技術展望について優しく解説します.この講義から,今後のエネルギー消費方法の見直しにつながり,熱エネルギー環境について学習する動機となれば幸いです.
10.「色つやのお話し」
(担当:山田 純)
私たちは太陽からの恵み(光,熱ふく射ともいいます)で,この地球上で生きて行けるだけなく,日の光に照らされたものを見ることができます.その質を判断することもできます.それに加えて,我々はそのスペクトルを感じ取れる能力のおかげで,色を楽しむことができます.ここでは,色つやに関わる工学に関するお話しをします.
11.「ロボットを制御する」
(担当:内村 裕)
近年,人の形をした2足歩行ロボットをはじめとする各種ロボットが脚光を浴びているが,実は,我が国は工場の中で働く産業用ロボットの生産台数が世界一のロボット大国でもある.こうしたロボットが,どのように仕組みで動いているのかを計測(センサ)と制御の観点から解説する.
12.「計算機による熱流体工学へのアプローチ」
(担当:角田和巳)
自然科学や工学の研究では,長年にわたって実験からのアプローチと理論からのアプローチという2つの手法がとられてきました.しかし20世紀後半以降,コンピュータとその利用技術がめざましく進展したことで,数値計算からのアプローチという第3の研究手法が登場します.
今回の講義では,機械工学における熱や流れの問題を切り口として,最近のトピックスを踏まえながら,計算機を利用して工学の問題に取り組むときの基本的な考え方について紹介します.
※講義終了後にプレゼンテーションの班分けを行います.
13.「発表準備(1)」
(担当:全教員)
最終日のプレゼンテーションに向けた準備を行なう.効果的なプレゼンテーションを行なうために必要となる資料の収集方法やまとめ方など,最小限抑えておくべき知識を紹介する.
14.「発表準備(2)」
(担当:全教員)
前週で紹介したプレゼンテーションの技法を参考に,各自に割り当てられたテーマについて,最終プレゼンテーションの草案をまとめる.担当教員の指導に従って修正等を行い,次週のプレゼンテーションに備える.
15.「プレゼンテーション」
(担当:全教員)
各自のテーマについてプレゼンテーションを行なう.一人当たりの発表時間は,質疑応答も含めて10分程度を予定している(詳細はあらためて連絡する).

評価方法と基準

毎回の講義で出題される課題・レポート40%((1)問題設定力20%,(2)構想力・構想表現力20%),最終プレゼンテーション60%((3)コミュニケーション力60%)によってデザイン能力の一端を評価する.

教科書・参考書

必要に応じてプリント等を配付する

履修前の準備

特別な準備は必要としないが、高等学校で修得した数学・物理の基礎知識を確認しておくこと。

学習・教育目標との対応

1.(A)材料,流体,熱・エネルギー,振動・制御,設計・加工,応用領域の6分野を柱として専門基礎知識を活用できるとともに,それらを互いに関連づけてデザインの基本概念を理解することで,技術的・社会的要求の実現に向けた具体的なプロセスを発案し,計画を遂行することができる.
2.(G)世界中に分散する情報資源の中から,機械の設計・開発に必要な情報やツールを取得し,それらを創造活動に応用することができる.
3.(I-1)学習・発表・討議のプロセスを通じて身に付けた論理的な思考とプレゼンテーションスキルにより,他人の考えを理解し,自らの考えや意見を伝達することができる.
4.(J-1)インターネットを活用した自己学習や情報収集に習熟し,知的好奇心に基づいて自主的に学習を継続することができる.
5.(J-2)様々な視点からの技術探求が,新たな工学的発展につながることを理解し,より高い技術の修得へ自らを導くことができる.

オフィスアワー

担当教員によって異なるので、教員プロフィール記載のオフィスアワーを参照すること。

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Sep 20 07:53:57 JST 2012