C0871100

固体物性論

Solid State Physics

開講部

工学部

開講学科

材料工学科

開講学年

4年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授永山勝久この先生のアンケート一覧を参照

授業の概要

(授業の概要)
「材料学(Materials Science)」は本来理学領域に属し、先進欧米諸国においては、工学と理学を融合する先端科学分野として位置付けられている。
本講義は、上記視点に基づいて、材料における基礎研究・開発の指針となる固体物性論を中心に、量子論ならびに電子論の基礎を組み込んだ新しい観点から物質のミクロ構造、特に電子の量子化状態に対する基礎的理解を目的に紹介・講義し、種々の物性発現の支配因子となる学問的背景全般についての修得を目指す。また、種々の先端機能物性についても紹介し、その物理的な側面ならびに基礎となる学問について講義する。さらに物性研究における先端の測定手法および原理等についても紹介し、新たな材料科学研究と開発に対する基礎的知見の修得を目指す。
(到達目標)
20世紀初頭に確立された、量子力学の基礎となる「量子論」を理解し、併せて「物質波の基本概念」と「波動力学(波動関数)」について修得する。また、「電子論」に対する古典論とエネルギーバンド理論の根本的違いを理解し、量子力学に基づいた「新たな固体状態の物性論」に対する学問の修得を目指す。

達成目標

1.古典的固体物性論から量子論を踏まえた「新たな固体物性論」への歴史的推移を理解し、併せて先端材料の研究と固体状態の物性論の関係を理解・修得する。
2.固体物性論の基本概念となる「量子論」および「量子力学」の基本概念に対し、理解・修得を目指す。
3.固体状態が示す先端機能物性を支配する、電子構造および価電子状態について理解・修得する。
4.固体が示す新たな機能物性発現を支配する、d電子およびf電子を中心とした遍歴および局在型電子について、理解・修得する。
5.固体物性論の中心となる、磁性状態、半導体物性などについて理解・習得を目指す。さらに、固体が示す諸性質を計測する手法についても本講義で理解・習得する。

授業計画

1.講義の概要と学問的背景
  1.固体物性論とは何か
2.現代物理学と固体物性論の関係
 工学領域における物性論の意義(材料・物質研究と固体論の関係)
3.量子論の基礎(1)
  1.古典的原子、電子構造の概念
  2.量子数とは何か
4.量子論の基礎(2)
  1.量子数の物理的定義
  2.エネルギー準位
5.固体(金属)電子論の基礎(1)
  1.自由電子論の基礎
  2.自由電子論における電子の運動
6.固体(金属)電子論の基礎(2)
  1.固定構造の概念
  2.固体電子論の背景
7.エネルギーバンド
  1.エネルギーバンドとは何か
  2.シュレディンガーの波動方程式
  3波動ベクトルと波動方程式の導出
  4エネルギーバンドの特徴
  5ブリュワンゾーン,フェルミ面
8.量子力学の基礎1
  1.量子力学の概要と歴史的推移
  2.工学領域への応用
9.量子力学の基礎2
  1.物質の二重性と量子力学
  2.量子力学における物理量と演算子の基礎概念
10.量子力学による固体の比熱理論
  1.デュロン・プティの法則
  2.アインシュタインによる比熱理論
  3.デバイによる比熱理論
11.量子統計
  1.古典統計(マックスウェル・ボルツマン統計)
  2.ボーズ・アインシュタイン統計
  3フェルミ・ディラック統計
12.磁性体物理と電子物性(量子物性の基礎と応用)
  1.磁性の種類(スピンの概念)
  2.強磁性体における交換相互作用
  3.超伝導特性(マイスナー効果、BCS理論)
  4.半導体特性と物性
13.固体物性の測定手法
  1.構造解析法(XRD,SEM,TEM,AFM,STM)
  2.熱分析法
  3.磁気測定法
  4.メスバウアー分光測定法
14.固体物性論の新たな展開
  1.新物質の探索と創製に対する指針
  2.未知なる非平衡物質と物性の探索
15.期末試験

評価方法と基準

レポート30%(課題を提示し、全員提出)、中間試験30%、期末試験40%

教科書・参考書

プリント教材を配布(担当者作成)

履修前の準備

共通科目の「物理」及び「物性論」および担当者の専門科目(材料工学入門、材料工学入門、セラミックスなど)を履修しておくことが望ましい

学習・教育目標との対応

物質(固体)が示す様々な物性に対し、量子力学に基づき、その基本事項を学び、併せて量子力学の基礎事項となる固体の電子状態、バンド構造、波動方程式の物理的意味について十分理解しこれを修得する。また、代表的事項となる、固体の比熱理論、量子統計および電子間の結合状態と磁性状態発現についても理解と修得を目指す。

オフィスアワー

・大宮校舎での講義日(前期 毎週水曜日)以外であれば、随時豊洲校舎研究室(10−M−25)で対応します。

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Sep 20 07:54:31 JST 2012