F0845600

情報通信ネットワーク2

Communication Network 2

開講部

工学部

開講学科

通信工学科

開講学年

3年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
准教授森野博章この先生のアンケート一覧を参照

授業の概要

 インターネットを中心とするパケットベースの情報ネットワークはこの10年で飛躍的に進歩し,現在では産業・生活を支える社会基盤となっている.インターネットの通信プロトコルの核であるTCP/IPの原型は,1970年代,米国ARPANETの実験プロトコルとして誕生した.以降,プロトコルの機能を,物理ネットワークにできる限り依存しないように構成するレイヤ化の概念と,交換機・ルータによる制御を可能な限り単純化して,端末による自律分散制御制御を主体として構成するStupid Networkの概念が成功して,計算機の処理速度が大きく向上した今日でも基本設計が大きく変わることなく運用されている.

 本講義ではTCP/IPプロトコル体系について,上記の発展の歴史をふまえながら基本技術を解説する.また,マルチホップ無線ネットワーク,P2Pネットワークといった新しいネットワーク形態について,学会での研究動向を交えながら解説し,今後のネットワークシステムの展望について議論する.

達成目標

1.インターネットシステムを支えるTCP/IPプロトコル体系の設計思想と,各プロトコルの基本技術を理解する.
2.IP電話をはじめとする,会話型通信をインターネットで実現するためのネットワークの品質保証技術を理解する.
3.今後のネットワークの有望なパラダイムである,自律分散ネットワークとその可能性について自分なりに考察できるようになる.

授業計画

1.情報通信ネットワークの概論

 ・パケットネットワークの役割
 ・インターネットの発展の歴史
 ・現状のインターネットの技術課題
2.パケットネットワークの基礎(1)

 ・インターネットプロトコルとは
 ・アドレス割り当てと経路制御
 ・サブネットの概念
3.パケットネットワークの基礎(2)

 ・グローバルアドレスとプライベートアドレス, NAT
 ・通信プロトコルの階層化
4.データリンク層プロトコル(1)

 ・MACアドレス形式,パケット形式
 ・Ethernetの仕組み
 ・リピータ,ブリッジ,スイッチングハブの動作
 ・ルータとスイッチングハブの役割分担
5.データリンク層プロトコル(2)
  
 ・無線LANのアクセス制御 - CSMA/CA, ポーリング -
  
アドレス解決技術(DNS)
6.端末移動制御

・携帯電話網における移動制御
 ・パケットネットワークにおける移動制御の課題
 ・DHCP
 ・Mobile IP
7.ネットワーク層の経路制御

 ・静的経路制御と動的経路制御の違い
 ・距離ベクトルルーチングとリンク状態ルーチング
8.トランスポート層プロトコル

 ・トランスポート層の役割(コネクション識別と再送制御)
 ・TCPとUDP
 ・アプリケーションに応じた各プロトコルの適用範囲
9.マルチキャストルーチング

・一対多,多対多のルーチング
10.音声・映像の品質保証のためのルータ制御

 ・遅延優先制御
 ・送信レートを保証するための制御
11.コンテンツ配信のためのネットワーク技術

 ・Webキャッシュ
 ・コンテンツ配信ネットワーク CDN
 ・P2Pネットワークの検索サーバ配置方法
12.次世代に向けた無線ネットワーク技術
 
・マルチホップ中継技術
・無線メッシュネットワーク
 ・マルチホップ中継によるセルラシステムのエリア拡張
13.グラフ理論(1)

 ・序論
 ・連結グラフ 点連結と枝連結
14.グラフ理論(2)
 
 ・フロー問題
 ・最小カット・最大フロー定理
15.グラフ理論(3)

 ・最短木と最小全域木
 ・アルゴリズム
   ー ダイクストラアルゴリズム
   ー プリムアルゴリズム

評価方法と基準

各回で行う演習と数回のレポートにより評価する.

教科書・参考書

講義開始時に指定する.

履修前の準備

情報通信ネットワーク1,情報理論1,2の知識を前提とする.

オフィスアワー

講義終了後

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Thu Sep 20 07:55:40 JST 2012