高校以来、諸君は微分積分という科目を勉強している。これまでは、変数や関数がとる値はすべて実数だったはずである。この授業では、「変数や関数のとる値を複素数にしたら、どうなってしまうのか?」について講義する。一見、これまでの微分積分を一般化したものを学ぶ気になるかもしれない。しかし、これまで学んできた微分積分とは全く異なる一面を見ることになるだろう。それだけではなく、複素数の世界から見るとこれまで学んできた微分積分では解けなかった問題が解けるようになったり、その理論自体の見通しが非常に整然とする。人間がロケットに乗って宇宙に飛び出したときに、はじめて地球が丸かったことを実感するような経験ができるであろう。「なぜこうするのか?」という(数学的)発想を学ぶとともに工学においても必要な計算技術の習得を目標とする。