解析学の歴史は非常に古く、Archimedes にまで遡ると言われている。また、その発展には常に他の科学技術分野が深く関わってきた。特に Newton や Leibniz 以来体系化されてきた微分積分法はその代表的なものであり、それに関連する微分方程式、ベクトル解析、複素関数論など諸君のよく知っている分野も多い。一方、解析学は長い時間を通して議論の厳密性をたびたび見直し、今日の学問体系へと至っている。微分積分法に現れるε-δ論法は長い解析学の歴史の結晶であり、そこには現代数学の厳密性に対する考え方が顕著に現われている。この科目では、現代解析学の基礎を支える集合論・位相空間論に焦点を当て、現代数学が主張する数学的厳密性とは何か?について講義する。