ダイオードやトランジスタ、ICなどの各種電子デバイスは半導体で作られているが、半導体中での微視的な電子の振る舞いを説明するためには量子論が必要不可欠になる。また、半導体工学の分野だけにとどまらず、最近では量子暗号通信の実用化や量子コンピュータの実現に向けても量子論の原理が利用されている。このように量子論は、エレクトロニクスを始めとして電子情報の分野の重要な基礎を担っている。
本講義では、ハイゼンベルグの不確定性原理、波動性と粒子性、波動関数の意味などの量子論の基本的な考え方から始め、簡単なシュレーディンガー方程式とその解について紹介し、量子論の基礎的な事柄を説明する。