E0200500

高電圧工学

High Voltage Engineering

開講部

工学部

開講学科

電気工学科

開講学年

4年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

選択

系列区分

専門

講義区分

講義

横山茂この授業の2013年度のアンケートを参照

授業の概要

絶縁物に高電圧を印加すると、電極の形状で決まる高電界が生じ、絶縁破壊が生じる。電力会社の設備などに用いられる変圧器や遮断機などの機器やケーブル、碍子などで簡単に絶縁破壊が生じては、電力の輸送の妨げになるため、これを防止することが重要である。空気を含む気体、油などの液体、ケーブルなどに用いる固体絶縁材料で生じる放電現象と、絶縁破壊機構について学ぶ。
また、高電圧の発生源として最も重要な雷放電について、その性状と、落雷したときのサージの伝わり方について理解する。さらに、碍子や機器などの絶縁性能の評価のための、高電圧の試験法、すなわち、高電圧の発生、測定、絶縁強度の評価法について学ぶ。

達成目標

1.高電圧の基礎的な知識を身につけ,将来高電圧を扱う技術者になった場合その知識を実地の場で適用・応用できる。
2.気体放電についての基本的知識を身につけ,それを種々の場面で遭遇する気体の放電や絶縁破壊に関する実際の問題を理解し解決できる。
3.液体・固体の放電についての基本的知識を身につけ,それを種々の場面で遭遇する液体や固体の絶縁破壊に関する実際の問題を理解し解決できる。
4.高電圧の発生・測定についての基本的知識を身につけ,それを実際の問題に適用・応用できる。
5.高電圧の応用について、実例を学ぶ。

授業計画


【授業計画】【授業時間外課題(予習および復習を含む)】
1.気体放電の基礎になる静電界
  ・静電界の性質
  ・各種電極配置における電界
  ・数値電界計算法の概要
電界と電気力線について、説明できること。
2.気体の放電
  ・気体放電の開始
  ・タウンゼントの理論
身近な気体放電現象の例を列挙しておくこと。
3.気体の放電
  ・ストリーマ理論
  ・コロナ
蛍光灯の点灯原理と、蛍光管の発行のメカニズムを調べておくこと
4.気体の放電
  ・火花電圧、パッシェンの法則
  ・雷放電
雷放電について知ることをまとめておくこと
5.気体の放電
  ・高ガス圧
  ・気体の種類
  ・定常気体放電
  ・グロー放電、アーク放電
絶縁に用いられている身近な気体の例と用途を列挙しておくこと。
6.液体の放電
  ・液体の電気伝導
  ・液体の絶縁破壊の理論
  ・破壊電圧
絶縁に使用されている絶縁油について、種類と特徴をまとめておくこと。
7.固体の放電                中間レポート実施
  ・固体誘電体の性質
  ・固体誘電体の電気伝導
  ・固体の絶縁破壊理論
  ・破壊電圧
絶縁に用いられている固体材料について、種類と概要をまとめておくこと
8.複合誘電体の放電
  ・複合誘電体の性質
  ・複合誘電体と電界
  ・沿面放電、汚損フラッシオーバ
  ・部分放電
多媒質における電界の計算方法を復習しておくこと。
身近な複合誘電体の実例を列挙しておくこと。
9.高電圧の発生
  ・交流高電圧の発生
  ・直流高電圧の発生
  ・インパルス高電圧の発生
  ・インパルス大電流の発生
試験用変圧器、高電圧直流電源、インパルス電圧発生回路の概要を把握しておくこと。
10.高電圧の測定
  ・高電圧の測定
  ・交流高電圧の測定
  ・直流高電圧の測定
  ・インパルス電圧の測定
交流、直流、インパルスのそれぞれの電圧を測定するにはどのような方法があるかをまとめておく。
11.インパルス電流の測定
  ・分流器
  ・その他の測定法
  高電圧機器
  ・がいし
  ・ブッシング
  ・高電圧電力ケーブル
インパルス大電流の大きさを100kAと仮定した場合、どのようなことが技術的課題となるかをまとめておくこと。
12.高電圧機器
  ・避雷器
  ・サージ計算
  ・避雷器の適用
避雷器とは何か、について知ることをまとめておくこと
13.高電圧機器
  ・遮断器
  ・変圧器、回転機、他
断路器、遮断器、開閉器の違いについて知るところをまとめておく。
また、電力機器の絶縁について、考慮すべき事項をまとめておくこと。
14.高電圧変電機器の実際(特別講演)
  ・実際の高電圧変電機器の実態
・高電圧変電機器の開発
国内外の機器メーカーやユーザーについて、知るところをまとめておくこと
15.高電圧工学の最新動向と今後の課題 低炭素化社会を実現する上で、電力・エネルギー分野で今後何をすべきかをまとめておく

評価方法と基準

毎週レポートを課すのでこの結果と、教室での質疑応答も加味して評価する。

(レポート:100点)×0.9 + (質疑応答:100点)×0.1

総合得点が60点以上を合格とする。

教科書・参考書

教科書:河野照哉「新版 高電圧工学」(朝倉書店、1994年)
参考書:
(1)日高邦彦「高電圧工学」数理工学社 ISBN978-4-901683-59-3
(2)河村達雄、河野照哉、柳父悟、「高電圧工学」電気学会ISBN4-88686-237-3

履修登録前の準備

電気磁気学を復習しておくこと
電気材料を履修しておくことが望ましい。
統計解析の基本(正規分布、ワイブル統計)を学習していることが望ましい。

学習・教育目標との対応

1.D3:電気工学の専門知識を駆使することにより、与えられた課題を解決することができる。

オフィスアワー、質問・相談の方法

授業後30分:講義室で
E-mailでの質問も常時受け付けます。
Adress:rai.yokoyama@hb.tp1.jp
またはi031018@sic.shibaura-it.ac.jp
E-mailでの質問も常時受け付けます:
Adress:matu0704@sic.shibaura-it.ac.jp

環境との関連

環境教育科目 (環境教育割合30%)

最終更新 : Fri Sep 19 12:37:45 JST 2014