G0141700

アナログ電子回路

Analogue Electronic Circuits

開講部

工学部

開講学科

電子工学科

開講学年

2年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授小林孝和この授業の2012年度のアンケートを参照

授業の概要

<授業の概要と目的>
現代社会は、コンピュータ、携帯電話、家電製品などのエレクトロニクス技術に支えられている。このエレクトロニクス技術の基盤を支えているのは電子回路である。トランジスタをはじめとする素子はIC、LSI、超LSIへと発展し指数関数的な速度で技術革新が進んでいる。それ故、最先端の電子回路で構成された電子機器を理解することは非常に困難である。本講義ではトランジスタやFETをもちいた基本的増幅回路を理解し、その等価回路への変換による解析や、負帰還増幅器や高周波回路の概念の理解等、その基礎となる事柄を十分理解することにより、新しい素子や回路に対応できるようにすることを目的とする。

達成目標

1.電気回路の基本的知識の復習と電子回路の特有な基本的考え方ができる。
(授業計画1ー2)
2.トランジスタ・FETの動作原理、トランジスタ・FETの小信号基本増幅回路の概念を
理解できる。等価回路への変換ができ回路解析ができる。(授業計画3ー5)
3.トランジスタの高周波等価回路の特徴とミラー効果が理解できる。多段小信号増幅器の
周波数特性が理解できる。負帰還増幅器の原理とその効果が説明できる。安定性、位相補償
の概念が理解できる。(授業計画7−9)
4.基本電子回路の集積化の意義と特徴が理解できる。演算増幅器(OPアンプ)の基本的特性が理解できる、(授業計画10ー12)
5.発振回路、変復調回路の概念が理解できる。
(授業計画13ー14)

授業計画


【授業計画】【授業時間外課題(予習および復習を含む)】
1.電子回路とは
 ・電子回路とは
 ・電子回路発展の歴史
 ・受動素子と能動素子のちがい
 ・電源 
   電圧源、電流源
   理想電源、制御電源
 電子回路と電気回路の違いは何か、
 電子回路はどのように発展してきたか、
 受動素子と能動素子にはどのようなものがあるか。
電源について
2.電子回路に必要な基礎
 ・重ねの理
 ・テブナンの定理
 ・電力比、電圧比、電流比の考え方、
 ・周波数特性の表現
   RC回路の周波数特性(低域通過型、高域通過型、
   複合型)
 重ねの理とは何か。テブナンの定理とは何か整理する。
 電力比、電圧比、電流比の定義は何か。
 RC回路の周波数特性について
低域通過型、高域通過型についてどう違うのか。直流回路の
微分・積分回路との関係は
3.トランジスタの動作と特性
 ・バイポーラトランジスタの動作と特性
   動作原理、静特性、増幅作用
 ・FETの動作と特性
   接合型、MOS型の動作原理、静特性
 ・トランジスタの等価回路
   交流等価回路、T形等価回路、hパラメータによる
   等価回路

 ・レポート課題
 バイポーラトランジスタはどのように動作するのか。
 FETとは何か、FETの種類と大まかな動作原理を理解する。
 トランジスタの等価回路とは何か。ベース接地とエミッタ接地のT型等価回路について調べる。h-パラメータとは何か。
 レポート課題は授業の終わりに示す。
4.小信号増幅回路1
 ・直流と交流の分離
  動作点
 ・トランジスタのバイアス回路
  2電源バイアス、1電源バイアス、
  ナレータ・ノレータモデル
 ・FETのバイアス回路
  固定バイアス、自己バイアス
 ・増幅器の特性を表す諸量
  入力インピーダンス、電圧利得、電流利得、電力利得
  出力インピーダンス
 動作点、バイアスの意味は何か、入力信号をどのように加えるべきか。
 2電源と1電源化の違いは何か。
 ナレータ・ノレータモデルとは何か。
 FETのバイアスはどのようにするのか調べる。
5.小信号増幅回路2
 ・トランジスタの基本増幅回路
  ベース接地回路、エミッタ接地回路、コレクタ接地回路
 ・FETの基本増幅回路
  ソース接地回路、ドレイン接地回路、ゲート接地回路
 ・基本増幅回路の縦続接続
 トランジスタの基本増幅回路であるベース接地回路、エミッタ接地回路、コレクタ接地回路
について等価回路に変換ができ、計算ができるようにする。
同様にFETの基本増幅回路についても行う。
6.トランジスタの高周波等価回路1
 ・トランジスタの高周波等価回路
   寄生素子、T形高周波等価回路、π形高周波等価回路
   FETの高周波等価回路
 ・増幅器のミラー効果
 ・ミラー効果を考慮した小信号増幅器の周波数特性
   エミッタ接地高周波増幅回路
低周波等価回路でしっかり練習した上で、高周波等価回路に拡張して考える。このときミラー効果を考慮して、まずエミッタ接地について等価回路を描けるようにする。増幅度を計算してみる。
7.中間試験
中間試験の解説、講評
1−6について出題する。復習を良くすること。細かい指示は
6の授業の終わりで与える。
8.トランジスタの高周波等価回路
 ・ミラー効果を考慮した小信号増幅器の周波数特性
   エミッタ接地高周波増幅回路の復習 
 ・多段増幅器の周波数特性
   利得の折れ線近似、入力容量と遮断周波数の低下 
 ・広帯域増幅器
   直列ピーキング、並列ピーキング
 ミラー効果を考慮したエミッタ接地小信号増幅器の周波数特性に再度行ってみる。
 多段増幅器の周波数特性については2のRC回路や複合型の周波数特性を参照し計算してみる。
9.負帰還増幅回路
 ・負帰還の原理、効果
   正帰還、負帰還、利得変動・非線形ひずみ低下
 ・負帰還回路の種類
   負帰還による入出力インピーダンスの変化
 ・負帰還回路の実際
   直列-直列帰還、並列-並列帰還
 ・負帰還回路の安定性
   負帰還回路の安定条件
 ・負帰還回路の位相補償
 負帰還の概念。増幅器の利得が大きければ減衰器の量だけで系全体の利得が決まることを理解する。負帰還をかけることによるメリットについて検討する。負帰還により入出力インピーダンスを変化できることを理解する。
 負帰還回路の安定条件とは何か、不安定になるとき位相補償
をどうするか考える。
10.集積基本電子回路
 ・直流電流源回路
   カレントミラー回路
 ・差動増幅回路
   同相利得、差動利得、同相除去比(CMRR)
 ・高利得増幅回路
   能動負荷
 ・ダーリントン接続回路、
 ・直流増幅回路
   レベルシフト回路


・レポート課題
 電子回路を集積化するためには、何が問題になるか。そのために取られた工夫について考える。
 微少信号を増幅するとき差動増幅回路が何故必要となるのか。
 能動負荷、ダーリントン接続、レベルシフト回路について特徴を調べる。


レポート課題は授業の終わりに
示す。
11.集積基本電子回路
 ・乗算回路
   アナログ乗算回路
 ・大信号増幅回路
   A級電力増幅回路、B級プッシュプル電力増幅回路
   
アナログIC増幅回路
 ・理想演算増幅器と等価回路
   理想特性、単位利得周波数、利得帯域幅積
   負帰還回路、オフセット、スルーレート
アナログ乗算回路の原理を理解する。A級、B級電力増幅回路の
特徴と違いは何か調べる。

 理想演算増幅器とは何か、
負帰還増幅器との関連性について考える。
12.アナログIC増幅回路
 ・演算増幅器の基本回路
   反転増幅器、非反転増幅器、電圧フォロワ
 ・演算増幅器の線形回路への応用
   加算回路、減算回路、高入力インピーダンス差動増幅
   回路、積分回路、微分回路
 ・演算増幅器の非回路線形回路への応用
   対数変換回路、逆対数変換回路、振幅圧縮回路
   振幅伸長回路、半波整流回路
 演算増幅器の基本動作を理解し、実践的に使えるよう分からないことを調べる。

 演算増幅器の線形回路や非線形回路へ応用は、どのような演算が出来るか整理してみる。
13.発振回路
 ・発振回路の発振条件
   周波数条件、電力条件
 ・低周波RC発振回路
   ウィーンブリッジ発振回路、RC移相形発振回路
 ・高周波RC発振回路
   同調形発振回路、コルピッツ発振回路、ハートレイ
   発振回路、水晶発振回路
 ・電圧制御発振回路とPLL
   可変容量ダイオードによる発振回路、PLLによる発振
   回路、周波数シンセサイザ
発振回路の発振条件が理解できる。
低周波RC発振回路と高周波RC発振回路にはそれぞれどのようなものがあるか整理する。

可変容量ダイオードによる発振回路、PLLによる発振回路、周波数シンセサイザとはどのようなものか調べる。
14.変復調回路
 ・振幅変調回路
   振幅変調波、占有帯域幅、上下側帯波、変調度
   SSB、平衡変調回路、ベース変調回路
 ・振幅変調波の復調回路
   包絡線検波回路、二乗検波回路、PLLによる復調回路
 ・周波数変調回路
   周波数変調波、位相変調波、リアクタンスTrによる、
   可変容量ダイオードによる周波数変調、
 ・周波数変調波の復調回路
   スロープ検波回路、ピークデファレンシャル検波
   回路、クワッドラチャ検波回路、PLLによる復調回路
 振幅変調回路とその復調回路の理論が理解できるようにる。
 具体的にどのように変復調するのか動作原理について調べる。
 同様に周波数変調回路とその復調回路についても検討する。
15.期末試験
期末試験の解説、講評
8−14について出題する。復習を良くすること。細かい指示は
14の授業の終わりで与える。

評価方法と基準

レポート課題30%、中間試験30%、期末試験40%を100点とし、総合得点60点以上を
合格とする。

教科書・参考書

教科書:集積回路化時代の「アナログ電子回路」藤井信生 発行/昭晃堂

履修登録前の準備

電気回路の復習および予習をしてくること。

オフィスアワー、質問・相談の方法

講義直後に大宮校舎にて対応する。

環境との関連

環境に関連しない科目

最終更新 : Fri Sep 19 12:51:06 JST 2014