認知工学入門 |
Cognitive System |
准教授 | 榎津秀次 | ![]() |
1. | モノづくりには人間の理解、特に、心の仕組みの理解が欠かせないことを確認する(授業計画全てにわたっての目標)。 |
2. | モノづくりという視点から人間の心の仕組みについて理解する(主に授業計画2から7にて達成する)。 |
3. | 確かな知識に基づき、ユーザ中心のモノのデザイン原則を確認し、実例を通して応用力を身につける(主に授業計画7から14にて達成する)。 |
【授業計画】 | 【授業時間外課題(予習および復習を含む)】 | |
1. | 認知工学とは ・モノづくりとモノづかい ・応用認知科学としての認知工学 | インターネットなどを利用し、認知工学について調べ、使いやすい道具のデザインに必要な知識とはどのようなものかについて考えてみよう。授業では、それぞれの受講者から必要な知識について、その理由とともに聞き、議論する予定である。 |
2. | 人間情報処理の理解(1):生理学的基盤 ・脳科学における最近の展開 ・基本的なニューロンの働き ・ニューロン間の相互作用 ・神経系の主構造と階層的機能 | 配布された資料を予習し、人間の認知過程(心)を支える生理学的基盤について関心を持ってほしい。脳科学や神経科学など最近の基礎、応用研究についても調べてみよう。そこに認知工学を超えた新しい工学的課題があることを知ることを勧めたい。 |
3. | 人間情報処理の理解(2):感覚過程-基本的情報処理- ・経験主義と生得主義 ・精神物理学の展開 ・信号検出理論 ・感覚コーディング | 配布された資料を読み、人間観の違いが、心の仕組みのとらえ方、そして、道具のデザインに反映されることを確認しよう。授業では、特に、物理的世界と経験的(心でとらえられるところの)世界について議論する。 |
4. | 人間情報処理の理解(3):感覚過程-基本的情報処理- ・運動感覚と平衡感覚 ・皮膚感覚 ・味覚 ・嗅覚 ・聴覚 ・視覚 | 配布された資料を読み、それぞれ感覚について固有な特徴と共通する特徴について整理してきてほしい。授業では、歴史的によく研究されてきたことから視覚と聴覚を中心に話題を提供することになるが、他の感覚について調べ、その工学的応用についても考えよう。 |
5. | 人間情報処理の理解(4):知覚過程-人間と機械による認識- ・機械によるパターン認識 ・人間によるパターン認識の基本的過程 ・視覚パターン認識 ・音声パターン認識 ・文字と単語の認識 ・対象の認識 ・顔の認識 ・出来事の認識 | 視覚、聴覚パターン認識は、最も工学的応用の対象となっている。特に、人間と機械のコミュニケーションのデザインにおいて欠くことのできないものとなっている。アシモなどロボットと人間のコミュニケーションを例として、どのように応用されているか前もって調べてほしい。 |
6. | 人間情報処理の理解(5):思考と言語-人間と機械の知- ・思考の様式 ・問題解決過程 ・認知アーキテクチャ−思考の仕組み−と人工知能 ・言語理解と言語生成 ・コンピュータによる自然言語処理 | 人間の高度な知の働きを機械(コンピュータ)によって実現しようとする挑戦が工学の分野でなされてきた。ここでは、思考と言語を取上げ、その仕組みを機械(道具)のデザイン、または、人間と機械とのインタラクションを支えるインタフェイスのデザインという側面から解説する。前もって配布される資料に目を通し、人工知能の歴史やコンピュータと人間との自然言語を通しての会話というような最新のトッピクスを調べてきてほしい。 |
7. | 人間を対象とした実験 ・科学的アプローチ ・仮説−独立変数と従属変数− ・実験群と統制群−実験参加者の抽出− ・データの収集と解析 ・経験的妥当性と概念的妥当性 | 人間にとって使いやすい道具、人間と機械のインターフェイス・・・、それらのデザインの提案は、人間を対象とした実験を通して評価される。授業での議論において、検討したい仮説を与え、それに必要なのに実験について提案する機会を与える。前もって配布される資料を読み、人間を対象とした実験の難しさと面白さについての考えてきてほしい。 |
8. | 理解しやすさと使いやすさのためのデザインの原則 ・誰のためのデザイン? ・“The psychology of everyday things”のインパクト ・「記憶と注意」の研究者D.A.ノーマン | 認知工学の提唱者D.A.ノーマンについて調べ、彼の学問的基盤とともに、認知工学の展開の歴史を知り、そして、未来について展望しよう。これは、認知工学の広がりと質の変化について確認することとなる。 |
9. | 行為の7段階理論 ・人間の思考と説明の性質?誤った原因帰属「何のせい?」 ・人間はどのように作業するのか ・実行と評価における障壁 | 行為の7段階理論は、道具のインタラクションにおける人間の心の過程を言及したものである。この理論は、道具のデザインに必要な原理を与えるものである。前もって配布される資料を参照し、日常的にどのように道具を使用しているかを理論に基づいて分析できるようにしておく。 |
10. | 道具使用における知識のありか ・頭の中にある知識と外界にある知識 ・知識のトレードオフ ・デザインの中の知識 | うまく道具を使うには、すでに人間が持っている知識と外部(道具も含め)から与えられる知識が必要となる。何気なく使用している道具を例に、それを使うのに必要な知識を確認しよう。 |
11. | アフォーダンスと制約 ・道具のアフォーダンスと制約 ・可視性とフィードバック | アフォーダンス、制約、フィードバックという用語の意味を調べておこう。道具のデザインには、さまざまな学問分野が関わっていることを確認しよう。 |
12. | ヒューマン・エラー ・スリップとミステーク ・注意とエラー ・エラーに備えたデザイン | ヒューマン・エラーは、人間の心の仕組みと道具のデザインによって導かれる。人間の心の仕組みについてここまで議論してきたことを復習し、前もって配布された資料に与えられているさまざまなヒューマン・エラーが導かれる過程について考えよう。 |
13. | デザイナーを取り巻く問題 ・デザインの自然な進化 ・デザインのプロセス ・機能追加主義と誤ったかっこよさ ・コンピュータを使いにくくしているデザイン | 道具は、ただ使いよさに基づいてデザインされているわけではない。デザイナーは、さまざまな要求を考慮しなければならない。何が道具を使いにくいものにしているのか、配布された資料を読み、考えてみよう。 |
14. | ユーザ中心のデザイン ・難しい作業を単純なものとする7つの原則 ・デザインと社会 | 人にやさしい、使いやすい道具のデザインに必要な原則について、これまでの講義で学んだこと、自ら調べたことを関連付けてみよう。さらに道具のデザインが社会に対してどのような影響を与えているのかについて考えてみよう。 |
15. | まとめ | 講義全体を通して、どんな点に興味を持ったか、こんな話題について知りたかったなどの意見を用意しよう。 |
1. | (D-3)機械を製作し運用するために必要な工学特有の手法(計測,制御,設計,加工,ICTなど)に習熟し,それらを問題の状況に応じて適切に使うことができる. |
1. | (D)技術・工学の根幹をなす「物質」,「エネルギー」および「情報」を基盤とした機械工学の基礎的な知識と応用能力を習得する |
1. | (A)確かな基礎と化学の専門知識に基づいて問題を解決する。 |
1. | A1:種々の文化および社会の発展の歴史を学ぶことにより説明することができる。 |
1. | (A)豊かな教養を持ち、幅広い視点から物事を考え理解する基礎的能力を身につける。 |
2. | (B)技術が社会に対し負っている責任と技術者としての責務を理解し、高い倫理観を身につける。 |
3. | (J)電子工学を含めて総合的に物事を見通す能力を身につける。 |
1. | C:数学および自然科学などに関する工学基礎知識を習得し、土木工学分野において応用・利活用できる能力を身につける |
・ | 大宮校舎で開講される講義であることから、2年生までの学生との直接的コンタクトは、講義日に限定される。ただし、e-mailをとおして質問や意見が伝えられるように環境づくりをしようと考えている。 |