ベクトル解析の主題は「場」である.
さまざまな自然現象, 電磁気学, 力学, 流体力学などは, すべて「場」という視点で扱うことができる. こうした普遍的な「場」を数学的に記述し, 解析することを, ベクトル解析で学ぶ.
大まかにいえば, ベクトル解析は, 多変数関数(場)の微積分の続きである. 微積分2では偏微分, 全微分, 重積分の考え方が中心であった. しかしこれらは場を記述するのに十分な道具を与えない.
ベクトル解析では, さらに進んで「勾配」「発散」「回転(渦度)」などの微分演算が導入される. この中で, 座標変換に関する微分演算の変換則の理解が, 基礎としても応用上でも重要になってくる. さらには, 線積分, 面積分, 体積分を微積分2より高い視点で学び, 微積分の公式(=一変数関数の定積分はその原始関数の積分区間の端点における値の差)の多変数の微積分版といえる, ガウスの定理, ストークスの定理に至る.
ベクトル解析は微分積分2と線形代数2に続く科目である.
上でも述べた, 偏微分, 全微分, 多変数のテイラー展開, 線積分,重積分などを(単に知っているというだけでなく), きちんと身につけておくことが, 受講の前提である.
また行列式やヤコビアンの図形的な意味, 基などの線形空間についての基礎的事項についても, ベクトル解析の学習の中で, 適宜自ら復習することが必要になろう.
注意点として, ベクトル解析を微分や積分の記号の列として, 機械的に丸暗記するのでは不十分であり, 応用の利く理解にはいたらない. 単に計算して終わりではなく, 図を描きながら, 学んでいくように留意してほしい.
尚履修希望者が多数の場合は人数制限が行われる場合がある.