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科学技術史

History of Science and Technology

開講部

システム理工学部

開講学科

共通科目

開講学年

学年共通

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

選択

系列区分

総合科目

講義区分

講義
講師小林学この授業の2015年度のアンケートを参照

授業の概要

最先端の科学・技術を学ぶにあたって,さしあたりそれらの歴史を学ぶ必要はありません.それは有名無名を含めた先人たちの試行錯誤の末で出来上がった成果を我々は学ぶことができるからです.科学の起源は約2500年前まで,また技術は人類の誕生までさかのぼることができます.システム理工学部で学ぶ学生諸君が,科学・技術で多くの成果を残した先人たちの苦労と葛藤を知ること,また自分の専門の起源や歴史を知ることは,有意義でしょう.
本講義では,科学と技術の発展の歴史を概観し,人間,社会,環境との関わりに留意しながら,近代科学の成立過程,英国産業革命,システム史を含め,大局観の涵養を目指すことを目的とします.

達成目標

1.ギリシアの自然哲学者からニュートンにいたる近代科学の成立過程を学習する.(科学の学説の歴史)
2.イギリス産業革命を例に技術発達メカニズムを学習する.特に,ある工程のイノベーションが他の工程に及ぼす影響について理解する.(技術史)
3.19世紀,20世紀の科学・技術の発達について学習する.特に科学・技術と戦争との関係やコンピューターとシステムに関わる歴史も学習する.

授業計画


【授業計画】【授業時間外課題(予習および復習を含む)】
1.ガイダンス 科学とは何か、技術とは何か。科学史・技術史を学ぶ意義とは。 科学と技術の違いについて質問するので自分なりの解答を考えておく.
2.ギリシア・ローマ時代の科学・技術(1) 科学の起源—イオニアの自然哲学者たち 高校世界史のギリシア時代を学習する(特に哲学関係を中心に).
3.ギリシア・ローマ時代の科学・技術(2) プラトンとアリストテレス,アルキメデス 高校世界史のローマ時代を学習する.特に,アテネの発展,アレクサンドロスの東征といった通史的理解の中で,自然哲学の展開を時間的・地理的に理解できるよう準備しておくこと.さらに,ローマの領土拡大とと自然哲学の展開を時間的・地理的に理解できるよう準備しておくこと.
4.中国の技術 製紙法・印刷術・羅針盤・火薬 中国の歴史については,各自予習するおくこと.
5.近代科学の誕生(1)ベサリウス、コペルニクスの衝撃.ケプラー,ガリレオの天体観測 トーマス・クーン(常石敬一訳)『コペルニクス革命』講談社学術文庫,1989年,第一章,第二章を読んでおく。
6.近代科学の誕生(2)ガリレオによる地上の力学 力学の基本的事項を復習しておくこと。
7.近代科学の誕生(3)ガリレオの宗教裁判 ガリレオの後継者たち 配付資料もしくは指示した資料を読んでおく.
8.近代科学の誕生(4)フランシス・ベーコン,デカルトの宇宙.ニュートン・天地を貫く万有引力 ハーバート・バターフィールド(渡辺正雄訳)『近代科学の誕生 上・下』講談社学術文庫,1978年,第6章,第8章を読んでおく.
9.イギリス産業革命(1)産業革命を準備した背景,綿工業における技術革新(技術的システムの発展メカニズムの学習)ジェームズ・ワットによる蒸気機関の改良1—分離凝縮器の発明 配付資料もしくは指示した資料を読んでおく.
10.イギリス産業革命(2)ジェームズ・ワットによる蒸気機関の改良2—工場用原動機としての改良 配付資料もしくは指示した資料を読んでおく.
11.18-19世紀におけるイギリス製鉄業の発展、近代溶鋼法の成立(製鉄技術システムの展開の歴史) 配付資料もしくは指示した資料を読んでおく.
12.帝国主義と技術 アヘン戦争と蒸気船,マラリアの克服とアフリカ征服,機関銃による戦争様式の変化 戦争と技術の発達について自分なりに考えておく.
13.アメリカの大量生産技術と大衆消費社会の誕生 互換性部品の生産、耐久消費財の生産、テーラーとフォード 森 杲『アメリカ職人の仕事史—マス・プロダクションへの軌跡』中央公論社,1996年を読んでおくことが望ましい.ただし,この本は品切れの可能性があるので,デーヴィッド・A. ハウンシェル(和田 一夫, 藤原 道夫, 金井 光太朗訳) 『アメリカン・システムから大量生産へ 1800‐1932』名古屋大学出版会,1998年,第6章を読んでもよい.
14.電力システムの歴史 エジソンの栄光と挫折
二度の世界大戦とその後の科学・技術の展開 航空機,原爆,レーダーの開発,コンピューターの発達.
システムの歴史 部分から全体へ.ウィーナー「サイバネティックス」.ベルタランフィ「一般システム理論」など
配付資料もしくは指示した資料を読んでおく.
15.期末試験と講義のまとめ 配付資料もしくは指示した資料を読んでおく.

評価方法と基準

期末試験によります.ただし,単位の認定には,10回以上の出席を要します.学生証を使っての打刻をもって出席としますので、毎回必ず学生証を持参してください.

みなさんの講義の理解度を確認するためと講義改善のために,各講義の最後に5分から10分程度の時間を割いて講義の感想等を書いてもらいます.成績には一切関係ないので自由に書いてください.

教科書・参考書

科学史分野については,次の教科書を指定します.
渋谷一夫,河村豊,小林武信,徳本琴代,北林雅洋『科学史概論』ムイスリ出版,1997年

参考文献としては,次の書籍をあげます.そのほか,講義中に適宜提示します.

山崎正勝,小林学編著『学校で習った「理科」をおもしろく読む本』JIPMソリューション,2010年
ハーバート・バターフィールド(渡辺正雄訳)『近代科学の誕生 上・下』講談社学術文庫,1978年
トーマス・クーン(常石敬一訳)『コペルニクス革命』講談社学術文庫,1989年

技術史分野とシステム史については,教科書は指定せず,その都度,参考文献を提示します.

履修登録前の準備

ぜひとも履修して欲しい人:知的好奇心がある人.歴史が好きな人.みなさんが勉強・研究している学問領域の起源(ルーツ)を知りたい人,自ら学ぶ意欲がある人など.1年生はもちろん,2,3,4年生も大歓迎.大学での専門の勉強・研究が進んでくると,この講義はより一層理解が深まると思います.

履修制限をする場合があるので,初回の講義には必ず出席してください.

世界史に関する基礎的な知識は,予習するようにお願いします.

オフィスアワー、質問・相談の方法

講義終了後に教室で質問を受けます.その際,十分な時間がとれない場合は,電子メールでの回答や,別な日程を設定して質問を受けるようにします.
もし講義内容の一部を変更するような場合には,前もって連絡します.

環境との関連

環境に関連しない科目

地域志向

地域志向ではない科目

最終更新 : Thu Jun 09 07:55:10 JST 2016