E0733500

ディジタル計測制御

Digital Control and Measurements

開講部

工学部

開講学科

電気工学科

開講学年

3年次

開講時期

後期

単位数

2

単位区分

選択

系列区分

専門

講義区分

講義
准教授安孫子 聡子この先生のアンケート一覧を参照

授業の概要

現在、家電、オーディオ機器、自動車、ロボット,生産システム、交通システムなどのあらゆる場面で、コンピュータが利用されている.このコンピュータの中では情報はディジタル化して表現され、記憶し、処理される。ところが,実世界の信号はアナログ値で出来ており、たとえば、センサも普通はアナログ信号を出力する.したがって、これをコンピュータで処理するには,まずアナログ信号をディジタル化して、次にそれを演算処理し、今度はそれをアナログ化して信号を出力する、という一連のプロセスが必要である.そのために使われるデバイスや技術、ディジタル化によってデータはどのような影響を受けるか、ディジタル化された信号の処理技術、などを扱うのが、この科目である。この授業では、とくに、いろいろなシステムの計装やロボットの制御系などの設計に必要なセンスと基礎的な知識・技術を身につけることを目的とする。そのため、AD 変換の手法や、ディジタル信号に対する基本的な演算方法、ディジタル信号の特性を解析する方法、ディジタル情報に基づいて直接アクチュエータを駆動する方法などについて、実例を示し、演習を組み合わせながら授業を進める.

達成目標

1.アナログ信号とディジタル信号の特徴,ディジタル化のメリットや問題点などをについて,理解し説明が出来るようになる。
2.アナログ信号をディジタル化して取り扱うときに必要なサンプリングレートや量子化のビット数を設計出来るようになる。
3.センサ信号をAD変換し、演算処理して,アクチュエータを駆動するまでの一連の流れを理解し、コンピュータを使った制御系の構成法を身につける。
4.ディジタル化されたデータに対する演算処理としての、ディジタルフィルタとディジタルフーリエ変換の理論と手法を理解し、それについて必要な数式をC言語のプログラムとして記述できるようになる。
5.モ−タなどのアナログ機器をディジタル的に制御する手法としてのPWM制御について理解し、PWM信号を用いた制御システムを設計出来るようになる。

授業計画


【授業計画】【授業時間外課題(予習および復習を含む)】
1.アナログ信号とディジタル信号。
・ この授業の目的、アナログ信号、信号とシステム、情報処理と信号処理、アナログ信号のディジタル化
[予習]:世の中でアナログ信号がディジタル化されて扱われている例を10通り考える
2.コンピュータを用いた信号の処理、通信、システムの制御
・ コンピュータを用いた信号処理システムの構成、プログラムによるデータの入出力、リアルタイム処理とバッチ処理、センサデータの取り込み
[予習]:リアルタイム処理とバッチ処理の違いを調べ、それがなされるケースを考える。
3.アナログ信号とディジタル信号の変換
・ DA変換とA/D変換、逐次比較型AD変換器の構成、その他のAD変換器の原理、DA変換の手法.
[予習]:何通りかのAD変換とDA変換の手法について調べる。逐次型AD変換の回路構成を調べる。
4.信号のディジタル化の理論
・ 量子化とサンプリング(離散化)、サンプリング周波数とサンプリング定理、量子化による誤差、信号の周波数成分とサンプリングによる誤差
[予習]:サンプリング定理について調べておく。
[復習課題]:ディジタル化により必然的に発生する誤差の要因をまとめよ。
フーリエ変換とパワースペクトルについて調べよ。
5.話題提供:航空ロボットの飛行技術 − ディジタル計測制御システムの例(1) 
・ 航空ロボットの構成、センシング、飛行制御
[予習]インターネットなどを利用して,いろいろなロボットの制御システムについて調べてみる。
移動ロボットの例を見つけ、その構成について調べてみる。
6.ディジタル信号のリアルタイム処理:ディジタルフィルタ(1) 
・ ディジタルフィルタの構成、移動平均,たたみ込みと積和計算、FIRフィルタ
[予習]:移動平均の効果を考える。たたみ込みとはないかを調べておく。
7.信号と処理の理論(1) − フィルタリング
・ アナログ信号とディジタル信号、フィルタリングとたたみ込み、フィルタの特性と信号の特性
[予習]:ラプラス変換の定義と手法を思い出しておくこと、逆フーリエ変換の定義を思い出しておくこと
8.信号と処理の理論(2) − 連続信号とディジタル信号の周波数成分、Z変換
・ フーリエ級数展開とフーリエ変換、信号の周波数成分、パワースペクトル、フィルタの周波数特性:振幅と位相角、Z変換
[予習]フーリエ級数展開とフーリエ変換について再度復習しておく。
9.ディジタル信号のリアルタイム処理:ディジタルフィルタ(2)
・ フィルタのインパルス応答と周波数特性、ローパスフィルタとハイパスフィルタ、IIRフィルタの構成、IIRフィルタの周波数特性、
[予習]:ローパスフィルタとハイパスフィルタ、バンドパスフィルタについて、その働きを調べておく。
10.プログラミング演習
・ディジタルフィルタのプログラムを作成
[予習]:ディジタルフィルタを復習しておく。C言語の基礎を復習しておく。
11.ディジタル信号のバッチ処理:DFTによる信号の解析(1)
・ 離散フーリエ変換(DFT)、逆変換、信号の区間とサンプリング周期、エリアジング、FFT入門
[復習課題]・FFTのサンプルプログラムを見つけて読んでみる。
・いくつかの信号について、フーリエ変換し、その周波数成分を計算する。
12.ディジタル信号のバッチ処理:DFTによる信号の解析(2)
・ FFT、FFTの計算量、窓関数、信号の周波数特性、オーバサンプリングと補間。
[復習課題]窓関数の効果を検討する。
いくつかの信号について、フーリエ変換し、その周波数成分を計算する。
13.コンピュータを用いた制御系の構成
・ 制御システムの構成、動作の決定、フィードフォワード制御とフィードバック制御、離散制御システムの理論
[予習]フィードフォワード制御系とフィードバック制御系の各々についての性質と特長を調べる。
14.スイッチングによる駆動制御(PWM制御)
・ PWMによるモータ駆動、スイッチングを使わないとしたら(DA変換とアナログ増幅)、PWM周波数とPWM比、Hブリッジによるスイッチング
[予習]トランジスタ(FET)のスイッチングによる制御回路(Hブリッジ)について調べる。
15.話題提供:ロボットの制御 − ディジタル計測制御システムの例(3)
・ ロボットの制御システム、センサとアクチュエータ、なぜディジタル化が重要か
[予習]インターネットなどを利用して,産業用ロボットの例を見つけ、その構成について調べてみる。

評価方法と基準

【評価方法】授業中の演習課題および4回のレポートにより評価する。評価点60点以上を合格とする。

教科書・参考書

必要に応じて、プリントなど資料を配布する。

履修登録前の準備

(必須)数学の各科目の内容を思い出しておくこと。
(必須)C言語によるプログラミングが出来るよう準備しておくこと。
(任意)フーリエ変換について復習しておくこと。
(任意)AD変換について,過去に行なった実験テキストを復習しておくこと。

学習・教育到達目標との対応

1.D3:ハードウェアとソフトウェアを包含する複雑な電気・電子デバイス、システムの解析と設計に必要な知識を駆使することにより、与えられた課題を解決できる。

オフィスアワー、質問・相談の方法

原則として、講義終了後に質問を受ける。
それ以外の時間は電子メールでアポイントを取って下さい。
簡単な質問は電子メールで随時受け付ける。

環境との関連

環境に関連しない科目

地域志向

地域志向ではない科目

社会的・職業的自立力の育成

対自己基礎力を育成する科目

アクティブ・ラーニング科目

能動的な学修への参加を取り入れた授業が1コマ分以上

最終更新 : Thu Jun 09 08:29:28 JST 2016