Z1096200

代数学B

Algebra B

開講部

工学部

開講学科

教職専門

開講学年

2年次

開講時期

前期・後期

単位数

2

単位区分

自由

系列区分

教職

講義区分

講義
教授横田壽この先生のアンケート一覧を参照
講師福島延久この先生のアンケート一覧を参照

授業の概要

  代数学Bでは、代数学Aに引き続き、抽象代数の重要な基本概念である環と体を講義する.整数・多項式・行列などがもつ共通な構造を公理化したものが環である.具体例を通して、イデアル、多項式環を詳しく解説する.可換環は代数幾何、整数論、組み合わせ論と深く関わりをもつ重要な分野である.本講義の目的は,環の準同型定理を理解することである.それにはイデアルの概念を導入し,群論と同様に剰余環の理解が大切である.時の流れとともに、群・環・体は工学部情報系の学生に必要な分野となった.また、この講義は群論と可換体の理論を結び付けるGalois理論(代数学特論で講義する予定)への準備でもある.

達成目標

1.環の概念の理解
2.イデアル・剰余環の理解
3.環の準同型定理の理解
4.多項式環の理解
5.有限体の理解

授業計画


【授業計画】【授業時間外課題(予習および復習を含む)】
1.環とその例(1)
      ・可換環 ・有理数環 ・自己準同型環
整数には,加法と乗法があります.加法においては,群となります.では,乗法ではどうでしょうか.調べておいてください.
2.環とその例(2)
      ・整域 ・可換体 ・部分環
整数は乗法において群にはなりませんでした.しかし,2つの整数をかけて0になれば,必ずどちらかが0であるという性質を持っています.では,正方行列ではどうでしょうか.調べてください.
3.環のイデアルと剰余環(1)
      ・左(右)イデアル ・両側イデアル ・根基 ・ベキ零元
群について学んだときに,正規部分群というものがありました.環Rの部分環Hには,Rのどんな元をかけてもみなHに取りこんでしまうものがあります.一つ,そのような部分環を有理整数環Zで見つけておいてください.
4.環のイデアルと剰余環(2)
      ・単項イデアル環・素イデアル環・極大イデアル環
有理整数環Zのイデアルでたった一つの元によって生成されているものがあります.そのようなイデアルを一つ探しておいてください.
5.有理整数環
      ・単項イデアル整域 ・既約剰余類環 ・Eulerの定理 ・Fermatの定理
ある整数を7で割ったときの余り,1〜6の数字のどれでもいいから取り出して,6乗してから,7で割ってみてください.あまりは必ず1になるはずです.理由を考えてみよう.
また,7の83乗を12で割ったらあまりがいくつになるか,考えておいてください.
6.環の準同型写像(1)
      ・環の準同型写像 ・環の同型写像
群の準同型写像のときは,2項演算は1つしかなかった.しかし,環の場合には,2つの2項演算が必要となる.加法と乗法である.この両方で準同型写像となるものが,環の準同型写像である.群の準同型写像を参考に,一つ環の準同型写像を見つけておいてください.
7.環の準同型写像(2)
      ・環の準同型定理
テキスト183ページの環の準同型写像の定義は,環Rの単位元が環R’への単位元に移ることを条件としていて,すこし強すぎる.私たちの定義には含まないことに注意しておくこと.
8.中間試験(範囲は1〜7)おyび講評 ここまでで学んだことを確認しておくこと.
9.多項式環(1)
      ・次数 ・1変数多項式環 ・代入の原理
多項式についても,加法と乗法が成り立つことから,環を構成することができる.そこで,1変数で最高次数が3次の多項式の集合が確かに環になることを確かめておくこと.
10.多項式環(2)
      ・除法の定理 ・モニック ・既約多項式
整数で成り立つ性質の多くが多項式環でも成り立つ.このことから,整数での問題を多項式環での問題に置き換えて解くことができるようになる.
11.商体、一意分解整域(1)
      ・埋め込み ・商体
整数と有理数の関係を見ていると,一般の環にも分数を定義したくなってくる.そこで,有理数の性質を用いて,環に対して分数と同じような働きをするものを考えてみよう.
12.商体、一意分解整域(2)
      ・既約元 ・素元分解の1意性 ・原始多項式 ・Eisenstein既約判定法
整数が素数の積で表されることは知っている.では,整域もみな素元の積で表されるのだろうか.素元の積で表されるものを一意分解整域というので,調べてみよう.
13.有限体(1)
      ・拡大体 ・代数拡大 ・超越拡大
環の中で乗法に対しても群となるものを体という.その中で,元の個数が有限なものを有限体という.有理整数環の素元での剰余環は有限体であることを確認しておくこと.
14.有限体(2)
      ・代数閉包 ・代数学の基本定理
2次方程式は判別式を用いることで,解が実数なのか,複素数なのかの判断ができる.ここで,重要なことは実数と複素数の間には2次式が必要であるということである.そこで,拡大体と既約多項式の関係について調べておこう.
15.期末試験(範囲は1〜14)および講評 ここまでで学んだことを復習しておくこと.

評価方法と基準

 総得点を100点とし,期末試験70%,中間試験30%の割合で採点し,合計得点が60点以上を合格とする.

教科書・参考書

教科書:「群・環・体 入門」 新妻・木村共著、 共立出版
参考書:「代数系入門」 松坂和夫、 岩波書店

履修登録前の準備

線形代数1、線形代数2、代数入門,代数学A

オフィスアワー、質問・相談の方法

授業終了後,研究室・講師室にて45分

環境との関連

環境に関連しない科目

地域志向

地域志向ではない科目

社会的・職業的自立力の育成

知識活用力を育成する科目

アクティブ・ラーニング科目

能動的な学修への参加による授業が大部分

最終更新 : Thu Jun 09 08:38:45 JST 2016