G0914700

情報伝送回路

Signal Integrity for High-Speed Digital Designs

開講部

工学部

開講学科

電子工学科

開講学年

3年次

開講時期

前期

単位数

2

単位区分

選択必修

系列区分

専門

講義区分

講義
教授前多正この先生のアンケート一覧を参照

授業の概要

【授業の概要と目的】電子機器を構成するデジタルCMOS回路のハードウェアの設計手法の基本について説明する。現在システムの高速化、高精細化が進んでいる。それに伴い必然的にチップ間の信号伝送速度は速くなり、ただ単純に配線をつないだだけでは動作しなくなっている。ここでは伝送線路の挙動として、反射、クロストーク、信号損失などの信号品質設計と、差動信号回路、クロック回路、及びグラウンドバウンスや不要電磁放射(EMI)、システムの周波数応答と時間軸応答の関係とSパラメータによる回路網の評価法についても概説する。

達成目標

1.高速デジタルシステムの基本となるCMOS回路動作と伝送線路の特性インピーダンス設計法とインピーダンス整合の考え方を修得し説明できる。(授業計画1〜4に対応)
2.反射とクロストークノイズの発生メカニズムとその数学的扱い方を理解市説明できる。
(授業計画5〜7に対応)
3.高速デジタル回路に使われる差動回路、CMOS回路のデカップリング、リターン電流を修得し説明できる。(授業計画8〜10に対応)
4.回路網応答の基礎として、Sパラメータ、周波数応答と時間軸応答の関連性について修得し説明できる。(授業計画11〜14に対応)

授業計画


【授業計画】【授業時間外課題(予習および復習を含む)】
1.コンピュータ・通信機器の高速化とノイズ問題
・コンピュータの高速化と高機能電子機器の出現
・信号伝送能力の指標(バンド幅)
・半導体、パッケージの進化
・部品およびプリント基板の進化
・LSIの進化(ECLからCMOS回路へ)
・回路の高速化に起因する副作用(ノイズ)
システムの基本構成を調べておくこと
2.CMOS回路の構造と基本動作
・MOSトランジスタの種類と基本特性
・CMOS回路の基本構成と動作
CMOS回路の基本動作を復習しておくこと
3.CMOS回路の電流駆動能力と分布定数線路
・CMOS回路の電流駆動能力(等価出力抵抗)
・CMOS駆動能力と負荷波形
・CMOS回路のシミュレーションモデル
・集中定数回路と分布定数回路の境界
分布定数線路について復習しておくこと
4.分布定数線路と特性インピーダンス
・分布定数線路の例
・分布定数線路の等価回路と特性インピーダンス
・特性インピーダンスの測定法
分布定数回路を復習しておくこと
5.反射とインピーダンス整合
・反射現象
・送端での反射
・分岐点での反射
・多重反射
・整合(マッチング)による反射の防止
分布定数回路の反射の原理を復習しておくこと
6.クロストークノイズ
・クロストークの分類
・クロストークの発生メカニズム
・クロストークノイズの伝送路解析
・クロストークノイズの決定要因
クロストークの発生メカニズムを予習しておくこと
7.中間まとめと中間試験 中間までの復習をしておくこと
8.電源ノイズとコンデンサ
・ノイズ源としてみたCMOS回路
・同時スイッチングノイズ
・電源バウンス
・デカップリングキャパシタ
・基板共振
・電磁放射
CMOS回路に対するデカップリングキャパシタの役割を調べておくこと
9.差動信号伝送回路
・シングルエンド伝送との比較
・差動伝送の利点と課題
・高速差動インターフェース
・差動伝送の伝送線路理論
・差動線路の終端方法
差動信号伝送の伝送理論を予習しておくこと
10.高周波損失
・信号の劣化、損失要因
・導体損失と誘電損失の起源
・表皮効果
・誘電正接(tand)
・シンボル間干渉(アイパターンとは)
・回路による損失改善
・疑似ランダム信号及び、その発生回路
高周波での信号損失要因を予習しておくこと
11.Sパラメータ
・Sパラメータの必要性
・Sパラメータの定義
・反射損失と透過係数
Sパラメータを予習しておくこと
12.スミスチャート
・スミスチャートとは
・スミスチャートでできること
・インピーダンス整合の方法
スミスチャートを予習しておくこと
13.回路の周波数応答
・線路および回路の周波数応答
・シンボル間干渉(ISI)とアイパターン
・回路による波形劣化の改善
・線形時不変システム(LTIシステム)
・信号パルスの周波数応答
線形システムの伝達関数を予習しておくこと
14.電磁波の発生と電磁干渉
・EMCとEMI
・電磁波の測定方法
・近傍電磁界の評価による可視化
・リターン電流と電磁波の発生
リターン電流とは何かを予習しておくこと
15.全体のまとめと期末試験 全体を復習しておくこと

評価方法と基準

中間試験と期末試験とレポート課題により評価する。試験は80点、レポート課題は20点とし、総合得点60点以上を合格とする。なお試験は電卓使用可とする。

教科書・参考書

適宜資料を配布する。

履修登録前の準備

電気回路、電子回路、電気数学を履修していることが望ましい。

学習・教育到達目標との対応

1.(E)専門2分野(物性デバイス・知能情報回路)に関する基礎知識と応用する能力を身につける。

オフィスアワー、質問・相談の方法

大宮キャンパスでの講義や実験日以外は、豊洲の研究室(10I32)。

環境との関連

環境に関連しない科目

地域志向

地域志向ではない科目

社会的・職業的自立力の育成

知識活用力を育成する科目

アクティブ・ラーニング科目

能動的な学修への参加を取り入れた授業が1コマ分以上

最終更新 : Sat Sep 24 07:26:59 JST 2016