制御工学２

　制御工学２では，制御工学１で学んだ古典制御では扱いの難しい「多入力多出力系」を対象とする現代制御理論を学ぶ．古典制御は，システムを伝達関数を用いた表現に変換し，周波数領域において制御系を解析・設計するが，現代制御理論は，状態変数の概念に基づく時間領域における解析と設計の方法論を与える点が特徴である．
　本講義では，はじめに現代制御理論のベースとなる状態変数表現を導入し，線形システムの動特性を状態方程式で記述する方法について説明する．また，システムが制御可能か否かを判定する可制御性，システムの状態を知ることが出来るかの指標である可観測性について解説する．さらに，安定性の解析法の説明の後，直接観測できない状態量を推定する状態観測器，評価関数を最小化する最適制御設計法を解説する．

本講義では，制御工学1で学んだ周波数領域における解析とは異なる
時間領域における解析をベースとした現代制御理論の基礎を修得することを目的とする。また，制御工学1で学んだ古典制御に比べ，現代制御理論が多入力，多出力系のシステムの解析，設計に有利な点を，実際に設計を行うことで体感する。

1.	システムの状態変数表現を理解し状態方程式が導出できる．
2.	状態方程式の線形変換が行える．
3.	システムの可制御性，可観測性の意味，判定が行える．
4.	線形システムの安定性が判別できる．
5.	状態フィードバックによってシステムの挙動を制御できる．
6.	最適レギュレータによる最適制御の設計法が理解できる．
7.	状態観測器（オブザーバ）を構成し，直接観測できない状態を推定できる．

	【授業計画】	【授業時間外課題（予習および復習を含む）】
1.	古典制御の復習と現代制御の概要	教科書P1〜P18およびプリントの予習
2.	状態変数と状態方程式　　　　状態変数の導入と動的システムの状態方程式の導出	教科書P19〜P29およびプリントの予習
3.	状態方程式の求め方　　　　微分方程式，伝達関数，ブロック線図から状態方程式を求める　　　　演習	教科書P29〜P37およびプリントの予習
4.	伝達関数と伝達関数行列　　　　状態方程式から伝達関数を求める．多入出力の場合は伝達関数行列を求める．既約分解．	教科書P37〜P42およびプリントの予習
5.	状態方程式の解　　　　状態遷移行列の定義と状態遷移行列による状態方程式の解法　　　　演習	教科書P42〜P51およびプリントの予習
6.	安定性理論と線形変換　　　　安定性の概念と安定判別．リャプノフ安定理論．システムの線形変換	教科書P51〜P56およびプリントの予習
7.	中間試験試験範囲：第1回〜第7回試験終了後：解答を解説	教科書P〜Pおよびプリントの予習
8.	可制御性，可観測性　　　　システムが制御可能か否かを判定する可制御性，システムの状態を知ることができるかの指標である可観測性について	教科書P57〜P68およびプリントの予習
9.	極零消去，可制御・可観測標準形　　　　不可制御，不可観測，実現性との関連性，双対性の定理，可制御・可観測標準形　　　　演習	教科書P68〜P84およびプリントの予習
10.	状態フィードバック　　　　状態フィードバックによる極配置	教科書P84〜P97およびプリントの予習
11.	最適レギュレータ　　　　最適フィードバック制御系とリカッチ方程式の解法　　　　演習	教科書P97〜P107およびプリントの予習
12.	状態観測器（オブザーバ）　　　　直接観測できない状態量を推定するための観測器（オブザーバ）の設計，最小次元観測器	教科書P107〜P123およびプリントの予習
13.	状態観測器を用いたフィードバック系とカルマンフィルタ　　　　状態観測器を用いたフィードバック系，カルマンフィルタ　　　　演習	教科書P123〜P130およびプリントの予習
14.	全体のまとめ	教科書P57〜P130およびプリントの予習
15.	期末試験試験範囲：第8回〜第14回	教科書P57〜P130およびプリントの予習

演習・レポート 20％，中間試験 30％，　期末試験 50％
の配分で評価し、総合点60％以上を合格とする。

白石昌武著　「入門現代制御理論」　日刊工業新聞社

制御工学１を履修し内容を理解していることを前提とする．
また，線形代数２（数理専門基礎科目）を履修していることが望ましい．

1.	(D-3)機械を製作し運用するために必要な工学特有の手法（計測，制御，設計，加工，ICTなど）に習熟し，それらを問題の状況に応じて適切に使うことができる．

・	授業終了後および平日午後随時（事前にメール等で連絡のこと）．

環境に関連しない科目

地域志向ではない科目

・	知識活用力を育成する科目

能動的な学修への参加を取り入れた授業が1コマ分以上

(D-3)機械を製作し運用するために必要な工学特有の手法（計測，制御，設計，加工，ICTなど）に習熟し，それらを問題の状況に応じて適切に使うことができる．

最終更新 : Thu Jun 09 09:35:15 JST 2016

開講部	工学部
開講学科	機械工学科
開講学年	3年次
開講時期	後期
単位数	2
単位区分	選択
系列区分	専門
講義区分	講義
教育目標	D-3

A0470300

授業の概要

授業の目的

達成目標

授業で使用する言語

授業計画

評価方法と基準

教科書・参考書

履修登録前の準備

学習・教育到達目標との対応

オフィスアワー、質問・相談の方法

環境との関連

地域志向

社会的・職業的自立力の育成

アクティブ・ラーニング科目

授業の到達目標と各学科の学習・到達目標との対応